ジミー・ヴォーンの3rdアルバムです。2001年発表ですが、まだ新譜のアナウンスもないので、今のところの最新アルバムという事になりますね(一昨年ベストアルバムが出たみたいですけど)。それにしても、昨日紹介したKISSとはえらい違いです(笑)。今となっては、
KISSみたいな子供騙しなバンド、ちゃんちゃら可笑しくて ・・・。やっぱり音楽はハートですよ。ブルースですよ・・・。なんて事、僕は勿論思ってないですけど、そう思ってる人も多いんでしょうねぇ・・・。そういう人は、KISSを聴いてロックミュージシャンに憧れて、実際にそうなった凄いミュージシャンも沢山いるという事実を知らないんでしょうか?・・・すんません、初っ端から話が逸れました。まあ、僕はKISSのようなバンドも好きだし、ジミー・ヴォーンのようなブルースマンも好きなんです。どっちもカッコ良いですから。なので、KISSの次にジミー・ヴォーンを紹介するという殆んど暴挙に近い事も平気 でやってしまうんですねえ(笑)。
・・・まあ、そんな事言っても、
The Fabulous Thunderbirdsのところで書いた通り、僕は最初ジミー・ヴォーンのギターの良さや、彼が演っているような音楽の良さが分かっていませんでした。ごめんなさい・・・(うそ泣き)。でも、この人達、ホントに地味ですからねぇ。
地味っちゅうか、
年寄りくさいっちゅうか。そんな風に思っていたので、The Fabulous Thunderbirdsの貴重なLIVE映像を消去してしまうという、思い出す度に自分の愚かさを責めたくなるような事までしてしまったんですね ・・・(涙)。←これは本物の涙。T-Birdsのビデオを消してしまった馬鹿な僕が、その後彼等の音をちゃんと聴いたのは、トム・クルーズ主演の映画
“Cocktail”のサウンドトラックでした。この映画、内容はどうでも良いんですけど(笑)、サントラは中々良かったんですよ。The Beach Boysの“Kokomo”や、The Georgia Satellit-
esの “Hippy Hippy Shake”といった曲が収められていましたからね。僕の場合、殆んどThe Georgia Satellitesの曲目当てでそれを買ったようなものでしたが、そこにはT-Birdsの
“Powerful Stuff”という曲も入っていたんです。これはカッコ良いと思いましたね。遅れ馳せながら・・・。ジミー・ヴォーンのギターの音も素晴らしくパワフルで。でも、やっぱり地味なバンド、地味なギターという印象を拭いきる事はできませんでしたかねぇ・・・。
弟があれでしたからねぇ・・・。
ジミー・ヴォーンのギターをアルバムでしっかりと聴いたのは、スティーヴィーの遺作ともなった
The Vaughan Brothersの
“Family Style”が最初という事になります。申し訳ない・・・。あのアルバムでは、ステイーヴィーも お兄ちゃんのスタイルに合わせるかのように派手なギターは弾いていませんでしたが、そこで聴ける彼のボーカルは “今までで一番”と思わせるものでした。ジミー・ヴォーン(以下
ジミー兄ちゃん)は、プロデュースをしていたナイル・ロジャースの説得によって、あのアルバムで初めて歌ったらしいんですが、彼の歌も中々味があって気に入りましたね。ジミー兄ちゃんのギターは派手さこそないものの、1音1音の説得力は凄いし、歌の伴奏をする時にも凄く巧いものがあるんですね。こんな言い方が適当かは分かりませんが、ある意味、スティーヴィーより
ジミー兄ちゃんの方が黒人ブルースマンに近いような気がします。彼のそういったところが、エリック・クラプトンや
ロバート・クレイといった同業者から高く評価されているんだと思いますね。このアルバムはスティーヴィーが亡くなったあとに発表された訳ですが、そのジャケットや雑誌に載っていた2人の顔が本当に楽しそうで、それを観る度に残念さが増しました。真偽の程は分かりませんが、アルバム発表後にはThe Vaughan Brothersでの来日公演も予定されていたと、当時どこかで読んだ憶えがあります。
弟の死という深い悲しみから立ち直ったジミー兄ちゃんが、初のソロアルバム“
Str-ange Pleasure”をリリースしたのは'94年、プロデュースはThe Vaughan Br-
othersと同じ(もっと言えば、スティーヴィーがデヴィッド・ボウイの“Let's Dance” のレコーディングに参加した時のプロデューサーもこの人)ナイル・ロジャース。このアルバムはゴキゲンでしたね。オープニングの
“Boom-Bapa-Boom”から元気いっぱいで、“お~、ジミー兄ちゃん 元気じゃ~ん、良かった良かった。ってか、メチャメチャカッコ良いし~”と思いました。その頃、ナイル・ロジャースが
“ジミーの音楽は子供の頃ラジオで聴いていた音楽のようで大好きだ”みたいな事を言っていたんですが、50年代をNYで過ごした僕もそう思いました。・・・勿論これはうそですけど。ソロになってからのジミー兄ちゃんは、バンドにベースプレイヤーは置かず、オルガン奏者にベースパートを任せているんですが、そのバンドサウンドも素晴らしく心地良いものでしたね。・・・いや~、僕も大人になったもんですねぇ。この1stアルバムでの僕のFavoriteトラックは、
“(Everybody's Got) Sweet Soul Vi-
ve”、ジミー兄ちゃんとナイル・ロジャースの共作によるこの曲は、ホント“Sweet Soul Music”という感じで素晴らしいです。
・・・中々このアルバムまで辿りつかないので、2ndアルバム
“Out There”の話は省略しますが(笑)、このアルバムも素晴らしかったぞという事でよろしくお願いします。と言うか、3rdアルバムが一番ジャケットがカッコ良いんで紹介したんですが、アルバムの内容はどれも甲乙つけがたいほど充実してます。2ndでの僕のお気に入りは、
“Lost In You”や
“Can't Say No”といったビブラホーンをフィーチャーした曲ですね。ギターの音も 更に鋭さ太さを増していて最高ですよ。そして3rdアルバム
“Do You Get The Blues?”、もうメチャメチャカッコ良いです。聴いた瞬間最高だと思いましたね。オープニングの
“Dirty Girl”はインスト曲なんですが、このギターの音が最高でねぇ。
“ストラトというギターはこんな音がするんだぞ!” と言われているような気になりますよ。昔のアイク・ターナーやジョニー・ワトソンもそういった音を出していましたが(カバー曲をいくつも演っているところからもそれは明らかですが、ジミー兄ちゃんはジョニー・ワトソンから強く影響されていると思います)、今生きている人で、ここまで
“生ストラト”な音を出す人は 他に何人もいないんじゃないでしょうか。あとはロバート・クレイとか。
このアルバムの発表後、Japan Blues Carnivalで久々に来日したジミー兄ちゃんを僕は初めて観たんですが、
1発目の音で鳥肌立ちましたね。まじで。ステージはアルバムと同じく、“Dirty Girl”で始まったんですが、鳥肌立つは、目はうるうるするわで(この間のブライアン・ウィルソンと言い、俺は泣き虫か~・笑)、ホント感動しました。スティーヴィーを観た時にもそうはならなかったのに。・・・ところで、最近のジミー兄ちゃんがレコーディングでもLIVEでもメインで使っているストラト、あれってメキシコ製なんですよね。“プロは良いギター使ってるから音が良くて当り前”とか“高いギターの方が音が良いに決まってる”とか思ってる人は、ジミー兄ちゃんを聴いてその考え改めて欲しいあるね。“ジミーが使ってるギターは、メキシコ製と言ったってビルダーが丁寧に作ったやつだろう?”と思った人もハズレです。あれは
正真正銘レギュラー品のFender MEX ジミー・ヴォーンモデルです。日本でも実売10万円を切るギター。その証拠にボディ裏のコンターが黒く塗りつぶしてある“手抜きサンバースト”でしたから(笑)。
僕は観ました!“高ければ良い音がする”という考えはまったくの素人考えとしても、少しギターに対するウンチクが溜まってくると、今度は “Fenderみたいな大量生産のギターは全然駄目・・・、作りは雑だし塗装も厚くて ・・・”みたいな事を言い始めるようになるんですよね(笑)。そういう事言ってる人も、一度ジミー兄ちゃんを観てきて下さい。アルバム聴くだけでも良いけど。・・・まあ、ジミー兄ちゃんも、アンプは高級なやつ(Matchless)使ってましたけどね。でも、間違いなく今まで聴いたストラトの音でベストと呼べるもので、
音は弾き手が作るものというのを改めて実感しました。
このブログで一番最初に紹介した
“Crossroads Guitar Festival”の中でも書きましたが、バンドのドラマーがこれまた渋いんですよ。
この熟年ドラマーは最高です。ドスッと腰の据わったドラムで、凄く音楽的なんです。そういうドラムや全編に渡って流れているハモンドオルガンの音のせいもあって、
どこか古いJAZZの香りもするアルバムなんですよね。ジャケットも昔のブルーノートのレコードのように見えますが、ジミー兄ちゃんもそれを意識したと言ってました。なので、“スティーヴィー・レイ・ヴォーンは聴いた事あるけど・・・”という人は勿論ですが、普段はあまりブルースを聴かないジャズファンや、“KISSファンの少年にもいつかは聴いてもらいたいアルバムなのです(・・・まあ、ジャズファンでこのブログ読んでくれてる人は殆んどいないでしょうけどね・笑)。ジミー兄ちゃんが弟スティーヴィーと同じぐらい優れたギタリスト/ミュージシャンであるというのが分かると思います。元々は
Double Troubleのアルバム
“Been A Long Time”に収められていた(なので、この曲だけベース入り)メアリー・ルー・アン・バートンとのデュエット曲
“In The Middle Of The Night”(ジョニー・ワトソンのカバー)も凄く良いです。ジミー兄ちゃんと一緒に、この人も来日もしましたが、2人ともホントにカッコ良かったですよ。