それでは今日もギターネタでお願いします。このところ、ギターの話をする時は、次から次へと新製品をリリースするGibsonについて書くことが多くて、Gibsonのギターと同じぐらいFenderのギターも好きな僕としてはちょっと心苦しいと言うか、“Fenderも何か面白いやつ出せよ~!”なんて思っていたんですが、今日、いつもの習慣でFenderのHPを覗いてみたら出てました(少し前に発表されていたようですが、今日になって気づきました・汗)。人気ギタリストの愛器を再現するTributeシリーズの最新作(またしてもこれです・笑)として、
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのかつての愛器
“Lenny”が12月12日にリリースされるようです。今回は限定185本、現地価格は17,000ドル。 ・・・思ったほど高くはないですね。買おっかな~。って、そんなの勿論ウソですが。高いなぁ~。新品なのに傷だらけの
ストラトが17,000ドルって。このギターの詳細はリンク先の特設サイトに詳しいですが、ごく簡単に特徴を記しておくと、上の写真(これは今回作られたレプリカですが)からも分かるように、3プライ11点止めのピックガードを持つボディは60年代のもの('65年製で、入手した時点で既にブラウンにリフィニッシュされていたらしい)、・・・となると、普通はローズ指板を持つネックが付いている筈ですが、ここにはメイプルのワンピースネックが付いています。これはギターを入手した時に付いていたその(ローズ)ネックのトーンが気に入らなかったスティーヴィーが、メイプルのものに交換したんだそうです(ちなみにそのメイプルネックは、ZZ Topのビリー・ギボンズからもらったもので、Fender純正品ではないらしい)。“Lenny”というニックネームは、このギターをスティーヴィーにプレゼントしてくれた彼の(当時の)奥さんの名前です(これは有名な話ですが)。・・・で、このギター、3年前に行われた第1回
Crossroads Guitar Festivalに伴うオークション・・・
クラプトンのブラッキーが85万ドルで落札されたオークションに出品され、こちらは623,500ドルで落札されたことでも有名な1本です。 ・・・とか言ってますが、実はすっかり忘れてました~(笑)。当時、“あ、レニーも出品されるのか”と思ったんですけど、完全に忘れてました~。ブラッキーもレニーも、米楽器販売最大手Guitar Centerが落札したんですよね(・・・あ、クラプトンの335もそうだったか・・・どんだけ儲かってんねん・汗)。今回のLennyレプリカもFenderとGuitar Center、そしてスティーヴィー・レイ・ヴォーンのコラボレーションと言うことらしいですが、それは一体どういう意味なんでしょうか?Guitar CenterがLennyの貸出し料でも取ったんでしょうか?(笑)
・・・で、このLennyというギター(勿論オリジナルの方)、音色的にも特徴を持っていて、スティーヴィーの持つ他のストラトに較べて、音が非常にクリアで繊細なんですよね。これは映像等でもハッキリ確認出来ますが、スティーヴィーに言わせると、“ソフトに弾けば弾くほど本領を発揮するギターで、ジャジーな曲には持ってこい”ということらしいです。これには勿論、各パーツの組み合わせ、ギター自体が本来持つトーンも関係していると思いますが、そのセッティングもかなり影響していると思うんですよ。僕は。まあ、それは当たり前のことでもあるんですけどね。・・・このギター、LIVEに措いては、それをプレゼントしてくれた奥さん・・・当時はラブラブだった(後に離婚問題で関係は泥沼化・・・)奥さんに捧げられた曲
“Lenny”(そのまんま・・・)をプレイする為の専用機として使われていたと思うんですが、実はこのギターだけスティーヴィーの他のストラトとは違うセッティングが施されていたと推測します。スティーヴィーの場合、ストラトに.013から始まる極太の弦を張っていたことでも有名ですが、ブリッジはボディにベタ付けが基本なんですよね。スティーヴィーにしろ、
ジミー兄ちゃんにしろ、エリック・ジョンソンにしろ、テキサスのストラト使いは、それぞれの愛器にこのセッティングを施している場合が多いんです。実際、そういう感じのしっかりしたストラトサウンドに聴こえるんです。アタック音が“ゴツン”と出ているような。でも、このLenny・・・少なくとも“Lenny”をプレイする時のLenny(ややこしい・・・)に限っては、ブリッジがフローティング状態に調整されていたと思います。・・・“思います”というのはですね、実際にそれがバッチリ写った写真というのを観たことがないんですよ。それについてハッキリ語っていたインタビューもなかったと思うし。なので、その曲とLIVE映像から推測するに留まるんですが、きっとそうだと思います(ってまあ、LIVE映像を観れば、ある程度明らかなんですけどね)。・・・僕がこのことに気づいたのは、スティーヴィーの来日公演を観に行った時で(・・・すみません、自慢したい気持ちもちょっとだけあります・笑)、アンコールで演奏された“Lenny”を聴いて、その良い意味でちょっと軽めのトーンとアーミングビブラートの感じから、“あ、このギターだけフローティングにしているっぽいな”なんて思ったのでした(これって、レコードを聴いている時は、そんなことまるで気にも留めていなかったということの裏返しでもありますが・笑)。そして、その推測を裏付けてくれるような写真が当時のPlayerに掲載された右上の写真です。少し分かりにくいかもしれませんが、このストラトにはトレモロユニットのスプリングが3本張られているでしょう?スティーヴィーの他のストラトよりスプリングの数が少ないんですよ(当時の他のストラトはスプリング4本掛け)。ストラトを自分で調整したことがある人なら分かると思いますが、スティーヴィーが使っていたようなゲージの弦と3本のスプリングで、ブリッジをベタ付けにすることって殆ど不可能なんですよね。なので、この写真を観た時は、“あ、やっぱりね・・・”などと独り満足していたのでした(笑)。この写真を
[証拠1]として提出します。
・・・まあ、このギターが元々持っているトーンを更に生かす為、若しくは“Lenny”という曲をプレイする為・・・滑らかなアーミングビブラートを得る為にこういうセッティングを施したのかもしれませんが、今回のLennyレプリカがブリッジベタ付けの状態で出荷されるらしいのを確認して(生前のスティーヴィー・・・“Lenny”を演奏しなくなってからの彼がそうしたのか、それとも彼の死後ギターを管理していたジミー兄ちゃんがそうしたのかは定かではありませんが、現在のセッティングがそうなっているんでしょうね)、“せっかくレプリカ作るなら、この辺もしっかり再現してくれれば良いのにな~、そっちの方がLennyらしいのにな~”なんてことを考えたのでした。まあ、どれも知っている人は知っている、分かる人には分かる話ではあるんですが、敢えて書いてみました。一足先に同じTributeシリーズで製品化された“No.1”について詳しく書かれている記事は多数存在しても、Lennyに関するそれ・・・特にそのセッティングに言及したものは余り見かけることがなかったし(海外サイトではたまに見かけますが)。・・・それにしても、良く出来てますね~。センター付近ではなく、もの凄く中途半端な位置で接がれたボディや、割れたのをニカワで補修したヘッドストックまで再現してあるようです。・・・どっちも余りありがたくないけどなぁ(笑)。・・・と言うか、こういうレプリカモデルに注ぐ情熱や技術を少しでも良いからレギュラー品に使ってもらった方が、こっちとしてはありがたいけどなぁ(そういった意味では、先日発売された
ストラマキャスターが、メキシコ製で比較的安価だったことは評価したいですが)。何度も言うけど。でもまぁ、Fenderだしな(笑)。・・・それでは最後にYouTube動画を[証拠2]として提出して、この記事を終わらせたいと思います。長々と失礼しました。
[証拠2]SRV &
Double Trouble “Lenny” ・・・やっぱりこれはどう観てもブリッジ浮かせてるでしょう。どう観てもっちゅうか、どう聴いてもっちゅうか。異論のある方いらっしゃいますか~?・・・いつにも増してオタク度全開ですみません(汗)。ってか、長すぎるし・・・。