イギリスで出版されている音楽雑誌で
UNCUTというのがありますが、最近のこの雑誌にはCDが付録として同梱されているのが大きな特徴となっています。ライバル誌であるMOJOにしてもそうですね。どちらも特定のテーマに沿って選曲された楽曲を収めたCDがオマケに付いています(たまに別のオマケの場合もあるようですが)。僕はこの“テーマに沿った選曲”というのが良いと思うんですよね。例えば“ファンク特集”、“サイケデリック特集” みたいな感じで組まれている訳ですが。・・・最近では、日本の音楽雑誌もCDを(恩着せがましく)付録にすることがあるようですが、それらにはレコード会社の影がチラついているんですよね。担当者から“これプッシュして下さいよ~”とか言われているんだろうなぁ・・・みたいな選曲ばかりで(ギター誌に付いているCDやDVDは、提灯記事丸出しの企画が多いし・・・)。それに較べると、UNCUTとMOJOの2誌が付録にしているCDには、企画や選曲に編集者の拘りが見えてきて、そこが素晴らしいと思うんですよね。僕も時々ではありますけど、そのオマケCD聴きたさに買っていたりします(笑)。・・・で、その企画のひとつに、有名アーティストに選曲させるというのがあって、これがまた面白いんですよ。非常に興味深いと言うか。
そして今日取り上げたCD・・・
“Bring It On Home”というタイトルも付いていますが・・・これは写真を観れば分かるように、
ロバート・プラントが選んだ15曲を収録したものです(密かに続くZep特集・笑)。UNCUT 2005年5月号の付録です。この時のUNCUT、
ジミー・ペイジが表紙のやつと、ロバート・プラントのそれの2種類が出ていたらしくて(向こうの雑誌はこういうこと良くやりますね)、当然、この号の特集はLed Zeppelinなんですが、前者にはこのロバート・プラントが選曲を担当したCDが、後者にはジミー・ペイジと並ぶ伝説的なギタリストを特集したCDが付いていたようです。・・・“ようです”と言うのはですね、僕がその本を買った新潟の○MVには、ジミー・ペイジが表紙の1冊しか置いて無かったんですよ。なので、ロバート・プラントが表紙のUNCUT実物は観てもいないし、僕に選択の余地は無かったんですけど、 “ジミー・ペイジCD”の方の選曲はUNCUT編集部でしょうから、仮に2冊ともあったとしても、こちら(“ロバート・プラントCD”が付いている方)を選んだと思います。両方買うほど熱心なZepファンじゃないし。・・・で、表からは見えなかったその選曲が凄いんです(本に載っていた“ジミー・ペイジCD”の方は王道を行く選曲でした)。ロバート ・プラントの音楽的なルーツと嗜好が良く分かる深~い選曲がなされています。・・・せっかくなので、ちょっと書き出してみましょうか。
Solomon Burke / Home In Your Heart
Vernon Garrett / Shine It On
Tinariwen / Imidiwaren
The Staple Singers / Too Close
Otis Rush / Double Trouble
Blind Lemon Jefferson / Matchbox Blues
The Black Keys / Grown So Ugly
Scott Walker / Farmer In The Sky
The Berber Tribesmen / Untitled
Ralph Stanley / Oh Death
Bukka White / Fixin' To Die Blues
Robert Plant & The Strange Sensation / Somebody Knocking
Roy Harper with Jimmy Page / The Same Old Rock
Tarit / Ikbayene
King Solomon Hill / The Gone Dead Train
・・・どうですか、この15曲。ブルースあり、ワールドあり、最近のロックあり、スコット ・ウォーカーありで、凄いですよね(最初の2つは予想付きますけどね)。ぶっちゃけ、全然知らない人や“名前は知ってるけどアルバム持ってません・・・”みたいな人が殆どです。僕の場合(汗)。この選曲を観て、そして実際にCDを聴いて、僕はロバート・プラントに尊敬の念みたいなものを持ちましたよ。“ロックの歴史を作った偉大なアーティストとしてだけでなく、音楽ファンとしても凄いな、この人・・・”と思ったんです。当時リリースされたばかりの自分の曲が入っていたりもしますが、ここにその曲が入っていると凄く良く分かるんですよね。どうして彼が今こういう音楽を演っているのかが。“う~ん、やっぱりロバート・プラントすげ~な、Zep偉大だな・・・”とか思う訳ですよ。いくらLIVEではフェイクだらけでも、歳取って声がまるで出ないようになっていても(まあ、この人の声の全盛期って、極めて短かったですからねぇ・・・)、顔がシワシワになって性格の悪さが表面に滲み出ていても、やっぱり凄いんだな、この人も、この人が居た(あ、まだ居ることになるのか)バンドも・・・と思ってしまうんです。彼のようなプロのアーティストなら勿論ですが、いち音楽ファンとしても、こういう姿勢・・・新旧、ジャンルに捕われず音楽を聴く姿勢を持っていたいものです。