前回はトリビュート嫌いの方にも自信を持ってお薦め出来る(何もそういう人にまで勧めることないんですが・笑)アルバムを紹介したので、今日はそこまでは大きく出られないアルバムを紹介したいと思います。トリビュートの対象はジャニス・ジョプリン・・・と言いたいところですが、House of Bluesから出ているこのシリーズ(他にLed Zeppelinや
エリック・クラプトン、
ボブ・ディラン等があります)、ジャケットの下の方に“This Ain't No Tribute” と書いてあるので、トリビュートアルバムではないみたいです。“だったら何なの?” と訊きたい気もしますが、“トリビュートちゃいまっせ~”と言ってるんだから、ここは大人しく引き下がるしかありません。とりあえずストレートに“企画モノ”と呼ぶことにしますが、このシリーズは(僕はこれ1枚しか聴いたことないんですけど・・・)、白人ロックアーティストの曲を黒人を中心としたブルース系アーティストがカバーするという特徴を持っていて、普通とは逆とも言えるそのカバーの方法が、“トリビュートではない”と言い切る理由なのかもしれません。その辺、どうでも良いんですが(笑)。
・・・“それはやっぱりしょうがない”と言うか、“そりゃまあ当然だろうなぁ・・・”と言うか、こういったトリビュート/企画モノの場合、参加アーティストの豪華さ(=アルバム制作費の多さ)と、その内容/出来は直結していることが多いですよね。参加アーティストが豪華であればあるほど、アルバムの内容も優れている場合が多いです。誠に残念ながら。・・・まあ、先日の
ジョニ・ミッチェル・トリビュートや、以前紹介した
ドク ・ポーマス・トリビュートのようなアルバムと、
こんなのや
こんなの比べたって初めから勝負は見えているんですが(ってか、同じ土俵に乗せるなって話です)。・・・ただ、低予算=駄目トリビュートかと言うと、決してそう決まった訳ではなくて、参加アーティストの殆どが無名の
このアルバムなんて、僕にとってはホント最高ですけどね~。 ・・・それではこのアルバム、ジャニス・トリビュート(ではないらしいけど)の
“Blues Down Deep”はどうかと言うと、これがとっても微妙(笑)。参加アーティストも、老若男女を問わず誰でも知っているという人は居ないと思うし(エタ・ジェイムス、タジ・マハール辺りが一番有名かと思うんですが)、個々のパフォーマンスにしても、“この迫力は流石だ!”と思わせるものがあるかと思えば、“向こうのブルースクラブの箱バンっぽい演奏” の域を出ていないものがあったりします。・・・実際、このアルバム ・・・に限らず、低予算で作られた企画モノには多いですが・・・では、殆どの曲で同じミュージシャンが演奏していて、そのオケをバックにジャケットに名前の載るアーティストが歌っているものが多いんですが、“う~ん、この人知らんなぁ・・・”という人は、やはり“それなりのパフォーマンス”になっています。
・・・あらかじめ“そういう予想”がついても、自分の好きなアーティストの名前を見つけたりすると、聴きたくなってしまうのがオタクの悲しい性で、今回も“こりゃまあ、完全な企画モノだろうなぁ・・・”と思いながら買ってしまいました。安く売ってたし・・・。大体、ジャニスの曲を演るという時点で、本物を越えられる訳はないんですよね。ここに参加している人達の実力云々という話ではなくて、ジャニスの曲って、彼女の声あってのものじゃないですか。それ自体は凄くシンプルでストレートなものをジャニスのあの声と歌い方で個性的にしてますもんね。参加アーティストにしても、“頑張って歌います、聴いて下さい”と言うしかないと思います。・・・で、僕が聴いて“頑張ってるなぁ”と思うのは、
“What Good Can Drinkin' Do”のトレイシー・ネルソン、
“Ball And Chain”のエタ・ジェイムス、
“One Good Man”のルー・アン・バートン、
“Get It While You Can”の
ココ・テイラー、
“Mercedes Benz”のタジ ・マハールなどですかね。
“Piece Of My Heart”のオーティス・クレイも迫力あるんだけど、ちょっとストレート過ぎる感じがします。・・・特にルー・アン・バートンとタジ ・マハールが良いですかね~。ぶっちゃけ、ルー・アン・バートンの歌聴きたさにこのアルバム買ったようなところもあるんですが、
ジミー・ヴォーンのバンドの一員としてツアーすることも多い、このオバちゃん(失礼・・・)の声はホントカッコ良いです。・・・と言うことで、今挙げた人達に興味があって懐具合に余裕のある方なら、聴いてみても面白いんじゃないでしょうか。ジャニスのファンには決して薦めません(笑)。