1週間前にNHK BSで放送された
John Mayer TrioのLIVE、良かったですね。このLIVE映像、元々はBS hiの番組で放送されて、自宅がハイビジョン環境にない僕は “チクショー、これ観てえなぁ・・・”などと悔しい思いをしていたんですが、BSのNY特集の一環として放送された番組内で無事観ることが出来ました。常日頃の行いが良いと、どこかで報われるものですね。・・・欲を言えば、一緒に放送されたプログラムが、最近の余りロックしていない
ロッド・スチュワートではなくて、
アニ・ディフランコがゲスト出演したシンディ・ローパーのLIVEだったりすると最高だったんですが(こっちの方がNYっぽいですしね~)、John Mayer Trioの貴重なLIVE映像が観れたんで良しとします。それにしても、素晴らしい演奏でした。まあ、スティーヴ・ジョーダンにピノ・パラディーノという鉄壁のリズム隊を擁するこのトリオに、“素晴らしい演奏をするな”と言う方が無理な話ですが。・・・でも、ジョン・メイヤー君は、若いのにホント大したものですよね。プロ中のプロ、Topアーティストにさえ一目も二目も置かれている2人のベテランプレイヤーとトリオを組んで、彼等とタメを張る演奏を聴かせているんですから。今回放送された、NYのBowery Ballroomという狭いクラブで演奏している3人の姿も、このバンドでプレイすることを凄く楽しんでいるように見えました。良い音楽を演奏するのに、その人の年齢やキャリアなんて関係ないですねぇ・・・。
・・・と、今ではすっかりジョン・メイヤー君のことを認めている僕ですが、彼がデビューしてしばらくは、まったくのノーマークでした。実を言うと。・・・と言うのも、2ndアルバムをリリースした頃までのジョン君って、えらい優等生チックなルックスしてたじゃないですか。最近でこそ髪も長めになって、ロックミュージシャンっぽいルックスに変貌したジョン君ですが、それまでの彼って髪もスッキリ短くて、全米お母さん協会が “娘のボーイフレンドにしたい有名人ナンバーワン”として挙げそうな感じだったでしょう?全米お母さん協会なんてものが存在するのか分かりませんが。実際、ミュージシャンとしても優等生、バークリー音楽院出身だったりするし。そんな彼だったので、少なくともアルバムジャケットをレコード屋の店頭で観るだけでは聴いてみようという気にはなれなかったんです。僕の場合。それが思いがけず
このDVDで彼の演奏を目にすることになって、“おぉ、ギターも上手いという噂はホントだったんですなぁ~” なんて思った訳です。・・・彼が
スティーヴィー・レイ・ヴォーンに憧れてギターを本格的に始めたというのは有名な話で、確かにそのプレイからはスティーヴィーからの影響は強く見て取れますが、僕に言わせれば、ジョン・メイヤーの方がずっと“大人なギター”を弾きますね。1954年生まれで35歳の時に亡くなったスティーヴィーより、 1977年生まれで今年ようやく30歳に成ろうかというジョン君の方が(笑)。これには2人の性格の違いというのも勿論あるんでしょうけど、ジョン君の場合、自分で曲を書いているというのが大きいと思うんですよ(スティーヴィーも書いていますが、彼の有名曲は殆ど他人のペンによるものですよね)。あくまでも曲の為にプレイするジョン君に対して、ギターそのものとブルースの為にプレイするスティーヴィーといった印象を受けます(僕はどちらも好きですが)。また、良い曲書くしなぁ~。ジョン君は。
・・・そして、その優れたコンポーザーとしての魅力が、スティーヴ・ジョーダン、ピノ・パラディーノという百戦錬磨のつわものとトリオを結成出来た最大の理由かと思いますが、ジョン君としては“プレイヤーとしてのエゴも多少は出してみたかった、ギターをおもいっきり弾いてみたかった”みたいな気持ちもあってトリオ結成に動いたんじゃないでしょうか。あれだけ弾けるギタープレイヤーであれば、若いおねえちゃん達を前にヒット曲をプレイするだけでは物足りなくなっていたと思うんですよね。やっぱり。そんなジョン君のギタープレイがたっぷり詰まった(LIVE)アルバムがこれなんですが、あくまでも中心にあるのは楽曲です。バンドの3分の2を優れたプロデューサーとしての一面も持ったプレイヤーが占めているんですから、それもまた当然ですが。ソロでのヒット曲
“Daughters”から後のスタジオ(ソロ)アルバム
“Continuum” にも収められた
“Gravity”“Vultures”、
ジミ・ヘンドリックスのカバー曲
“Wait Until Tomorrow”にレイ・チャールズの
“I Got A Woman”・・・と、良い曲、そして良い演奏がバランス良く配置されてます。客席の盛り上がりもバッチリ(やはり女性が多いみたいですね。先日放送された映像でも、前の方に陣取っているのは殆どが女性で、皆さんウットリしてました・笑)。“いや~、ギターがいっぱい弾けて楽しいなぁ~”みたいな様子が伝わってくるジョン君がプレイしているのは、いつものように
ストラトが中心で、ブルースナンバー
“Out Of My Mind”等ではハムバッカー付のギター(NYでのLIVEと同じギターを使っているのであればES-335・・・これは
エリック・クラプトンモデルの
Crossroads 335らしいですが)を登場させているようです。また、どれもそのギターらしい良い音出してるんですよね(クリス・ペプラーは “ノーエフェクトであるところが凄い”とか言ってましたが、ジョン君はエフェクターを自作するほどの機材オタクなので、このトリオでもいつもよりは少ないとは言え、色々繋いでます。確かに生音に近いけど、映像にもおもいっきり映ってたし・笑)。ジョン君はそんな調子でギターを取っ替え引っ替えしているんですが、ドラムのスティーヴ ・ジョーダンも曲に合わせてスネアを交換しているんですよ(これは
クラプトンのLIVEでも目撃された)。こういうのを観ると(聴くと)、彼等がまさに曲の為に演奏しているというが伝わってきますよね。
“TRY!”、素晴らしいミュージシャンが素晴らしい曲を演奏している、とってもナイスなアルバムだと思います。