前回は(まるでThe Policeの再結成に合わせるかのように)Fenderがリリースした
アンディ・サマーズモデルのテレキャスターをダシに、ギターの話を長々としたんですが、あのギターと、このギター(→)は基本的に同じ仕様ですよね。・・・てことで、今日は
アルバート・コリンズです。“そりゃ2本ともテレキャスターなんだから、同じでしょう”と言う話ではなくて、もう少し細かいところまで一緒なんです。どちらもバインディングの付いたボディでメイプルネック、更にフロントPUがGibsonのハムバッカーに交換してあるところまで同じです(パッと見、どちらも60年代のカスタム・テレキャスターにハムバッカーを載せたもののようですが、アルバート・コリンズの方は、ノーマルボディのテレキャスターにバインディングを後付けしたようです・・・けど、Fenderから出ている
シグネチャーモデルの説明には、“'66年のカスタム・テレキャスター”と書いてあるんですよね~。年配 ミュージシャンって、インタビューで適当なこと言うしなぁ・・・。真偽の程は如何に?ハムバッカーは入手した時点で既に付いていた模様)。・・・でも、出てくる音はまるで違うんですよねえ。って、当たり前ですが・・・と言うか、比較の対象が違いすぎる(笑)。それにしても違う。ギターという楽器が如何に弾く人の個性を表すものであるか、エレキギターが使い方によって如何に色んな音が出せるかという証明みたいなものです。この2人の音の違いは。・・・いや、すみません、適当に言ってみました。今の今まで、そんな風に考えたことありません(笑)。
・・・様々な環境の違いで、日本と較べて、欧米には(ピックの持ち方ひとつ取ってみても)個性的なギタリストが多いですが、それが黒人アーティスト/ブルースマンになると更に強まって、“最初に普通の弾き方を教えてもらえなかったんだろうなぁ・・・” みたいな人も少なくありませんよね。チューニングにしても、独自のものを持っていたりして。そういった人達は、人と同じであることを良しとする日本では、“変なの~”で 片付けられそうなそんな弾き方を、ひとつの芸として磨き上げているところが凄いと思います。そして、その中でもTOPクラスに個性的なのが、この人、アルバート・コリンズです。ギターをオープンFmにチューニングして、曲のkeyに応じてカポタストを上下させ(上のジャケット写真では7フレットにカポが付けられていますが、場合によってはもっと上・・・11フレットぐらいに付けることもあります。アホです・笑)・・・と、ギターを弾く前の準備段階で既に個性的、更には
“Ice Pickin'”とも称される強烈なトーンは、ピックではなく、彼の指(主に人差し指)から出るものなんです(簡単に言うと指弾きのベースプレイヤーのような弾き方)。普通じゃないってカッコ良いですよね~。・・・あ、この人の普通じゃないところ、もうひとつありました。この人、えらく長い ・・・数10メートルもあるシールドを使って、ギターを弾きながら客席に乱入して行くことでも有名なんです(笑)。ワイアレスシステムが登場/発達してからは、シールドは止めてしまったんですが、僕が彼のことを初めて知ったのは、この逸話と共にです。70年代後半・・・自分がギターを始めるか始めないかという時期に、(現在もPlayer誌で連載が続く)吾妻光良のブルースギター講座でそれを読んで、“凄い人が居るな~”と感心したものでした。実際に音を聴いたのは、もっと後になってからですが、こういった話を聞くだけで、この人の凄さは伝わってきますよね。それだけでファンになってしまうと言うか(笑)。・・・おっと、もうひとつあった。ギターの持ち方、ストラップの使い方も変わってるんでした。普通、右利きの人であれば、ストラップは左肩に乗せるように使いますが、この人の場合、右肩に引っ掛けるだけなんですよ(少し前に腕を怪我をしたリッチー・サンボラが真似してましたが)。もう何から何まで個性的。
・・・そんな話を読んでいると、単に変わった弾き方をする人、下手すりゃただの馬鹿みたいに思われそうですが(笑)、ギターもホントに個性的で素晴らしいんです。・・・って、そんなの当り前ですが。やっぱり、そのトーンが素晴らしいんです。まさに突き刺さるような音で、“パキーン♪”とか“ゴキーン♪”とか演られるだけで、グッと来ます。“参りました・・・(涙)”です。テレキャスター欲しくなります。“ルックスから受ける印象そのままの音”と言っても良いでしょう。このジャケット写真も恐ろしい顔してますが(DonDokoDon山口を観ると、いつもこの人思い出すんですけど)、実は凄く良い人らしいです。以前読んだインタビューでも、ドラッグは大嫌いで、かつては若者にドラッグの無益さを説いて回ったとも言ってました。人は見かけによりません。そんな人柄が表れているような、鋭さの中にも温かさを感じるトーンが最高なんです。・・・残念ながら、彼は1993年に亡くなってしまったんですが、僕は一度だけ彼のLIVEを観たことがあるんです。場所は大阪は枚方市の枚方パーク野外ステージ。枚方パークと言えば、関西の人には菊人形で有名なところですが、同時に関西ブルースのメッカでもあるのです。って、そんなの勿論ウソですが、とにかくそこで観たんです。これを書く前にちょっと調べてみたら、それは今から19年前(汗)、'88年の話(ブルースカーニバルの第3回として行われたステージ)で、他には憂歌団やリル・エドが出てました。・・・アルバート・コリンズとリル・エド、野獣と珍獣です(笑)。・・・で、そのコンサートはどんなだったかと思い出してみると、リル・エドのショボさと、アルバート・コリンズ・バンドの女性ギタリスト(デビー・デイヴィス)の上手さが印象的で、肝心のアルバート・コリンズは余り残ってないんですよね。何ででしょう?(笑) 客席への乱入もしてくれたと記憶してるんですが、僕の近くには来てくれなかったからでしょうか?まあ、良いんですが。・・・そして、その枚方公園ならぬ枚方公演の3年後、'91年にVirgin傘下のpointblankレーベルからリリースされたのが、この
“Iceman” ですが、もういい加減長くなってしまったので、アルバムの解説はパスします(笑)。どうせ“トーンがどう”ってことばかり書きそうなので、たまにはこんなのもアリかなと ・・・。ただ、この時期のpointblankが、アルバート・コリンズの他にも、
ジョン・リー・フッカーや
ジョニー ・ウィンターを擁していたりで、中々凄いブルースレーベルだったことには触れておきたいと思います。・・・ジョニーと言えば、
ジョニー・ラングもアルバート・コリンズからの影響を強く感じさせるギタリストですよね~。
YouTubeに
タイトル曲の動画がありました。これ観てもらえば、話が早い(笑)。