“Soul Man”を歌ったソウルマン、先頃行われた来日公演もやっぱり凄かったという脅威の71歳(1935年生まれ・汗)、
サム・ムーアが、豪華なゲストを招いて作ったアルバムです。何でも、これは34年ぶりの新録アルバムになるらしいんですが、そういうデータ的なことよりも、サム・ムーアの強力な歌声にまず驚きます。・・・(例えば、このアルバムや
SANTANAのアルバムのように)最近、ベテランアーティストが、現代の人気アーティストをゲストに迎えて作ったアルバムが増えているように思いますが、それらは決して年寄りの思い出作りにはなっていなくて、それぞれが若手を圧倒するようなパフォーマンスを披露しているのが凄いと思いますね。・・・まあ、商売っ気も確かに感じるんですが(笑)、とりあえず売れておかないことには話になりませんから。力のあるアーティストには、常に第一線で活躍していて欲しいですからね。このアルバムでのサム・ムーアの歌も本当に強力、70超えてこんな風に歌われたのでは、アルバムに参加したゲストもたまったもんじゃありません。・・・それでは、収録曲とそこに参加しているゲストを書いて行くことにします。・・・けど、僕が知らない人、いっぱい居ます(汗)。
アルバムのオープニングは名曲
“I Can't Stand The Rain”、この曲を一緒に歌っているのは、ワイノナです。もういきなり知らない(汗)。ブティックで万引きする人なら知ってますが、スペルが違うみたいですね。カントリーシンガーらしいです。初めから適当なこと書いてますが、歌も演奏も素晴らしいです。・・・このアルバム、今年亡くなった名キーボード奏者、ビリー・プレストンが最後に演奏を残したアルバムでもあるそうですが、ここでもハモンドオルガン弾いてます。2曲目は
“Better To Have And Not Need”、ブルース・スプリングスティーンをゲストに迎えた曲です。この人は知ってます。“ボス、力入ってるぜ”って感じの仕上がりです。3曲目も良い曲ですね。
“Blame It On The Rain”。一緒に歌ってる人は知りません。またしても。Fantasia?・・・お~、“American Idol”出身なんですか~。全然観たことないけど、凄いな、あの番組。・・・あ~、それでか~、このアルバムのプロデューサーは
ランディ・ジャクソンで、僕なんかはあの人を“Journeyでベース弾いてた人”と言う風に思っていたんですが、最近の彼は、あの番組の審査員として有名なんだそうですね。なるほどね~。その繋がりもあるんだな~。・・・いや、それでねランディ・ジャクソンのプロデュース、確かに少し現代的ではあるんだけど(ゲストとサム・ムーアが一緒に作業することは殆どなかったんだそうです。ファイル交換で済ませたらしい)、その音作りの中心にあるのはやはり歌そのものなんですよ。“この辺は、さすがミュージシャン出身のプロデューサーだな・・・”なんて思っていた訳ですが。って、それだけですが。・・・そして4曲目は、
ジョン・ボン・ジョヴィをゲストに迎えた
“Lookin' For A Love”、ジョン張り切ってます。でも、新人の方が歌上手いです(笑)。いや、彼の歌は嫌いではないし、彼の先輩達に対する態度にも好感持ってますけど、如何せん相手が悪い。線の細さが際立ってしまうんですよね~。
・・・5曲目は、かつて黒人のように歌う白人少年だったスティーヴ・ウィンウッドがゲストの
“Ain't No Love”。ここでスティーヴはオルガンも弾いていますが、これは馴染んでますね~。この2人、声質が似てますよね。・・・次の曲も良いですよ~。僕はこれが一番好きかな。
スティングをゲストに迎えた
“None Us Of Free”、なんちゅうかこう・・・クールな哀愁があって良いですね。これは元々誰が演ってたんですか?レイ・チャールズ?・・・え?
Lynyrd Skynyrdも演ってるの?知らんかった~。この曲では、シーラ・Eもパーカッションで参加してます。続く7曲目は
“It's Only Make Believe”、この曲のゲストはマライア・キャリーとヴィンス・ギル。ただ、ここでの彼等の歌は、デュエットという感じではなくて、ハモリのパートを付けたりするのに留まっています。マライアは例の超高音も披露してます。・・・8曲目は、べッカ・ブラムレットとの
“Don't Play That Song (You Lied)”。サム・ムーアは、今回のアルバムの中で自分がソウルと呼べるのは、この曲と“Better To Have And Not Need”ぐらいかな?という風に言っているんですが、僕なんて“そんな硬いこと言わないで下さいよ~”と思ってしまいます(笑)。だって、どれもソウルフルでカッコ良いんですもん。・・・はい、次も半分知りません(汗)。ヴァン・ハントとニッカ・コスタがゲストの
“If I Had No Loot”、ヴァン・ハントを知りません。ニッカ・コスタはアルバム1枚分知ってます。L.A.在住の某コメンテイターから“ニッカ・コスタのLIVEはスゲーぞ”と聞いているんですが・・・その人、女性なので“スゲーぞ”とは言ってないけど(笑)・・・“スゲーんだろうなあ”と思わせるメチャメチャファンキーな歌を聴かせてくれています。あと、この曲では、“トーンで殺す男”ビリー・F・ギボンズがギターソロを弾いています。凄くシンプルで、ちょっとトボケた感じのソロですが、トーンで殺されます。・・・次のゲストも知らないんです(うそ泣き)。トラヴィス・トリットと歌う
“Riding Thumb”、海のトリトンなら知ってるんですが・・・。“おっ、これは誰だ?このカッコ良いギターは?”と思ったら、これは
ロバート・ランドルフ。やっぱり出て来たか・・・。
・・・ラストの2曲も良いですよ~。11曲目
“We Shall Be Free”は、
ポール・ロジャースがゲストです。Queenの(笑)。ここでのポールは“ウッ!”とか“ハッ!”とか言わずに、凄く軽い感じで歌っていますが、それが却って上手さを引き立てていると言うか、パワフルなサム・ムーアとの対比が素晴らしいと言うかです。こういうのを聴くと、やはりポールは英国を代表するスーパーシンガーの1人であると実感します。 ・・・ってか、何なのよ?この歌の上手さは。・・・そしてラストは感動的な
“You're So Beautiful”。この曲、イタリアのズッケロもゲストで歌っていますが、ここで大きくフィーチャーされているのは、曲の作者でもあるビリー・プレストンです。“ベタ”と言えば、おもいっきりベタですが、サム・ムーアだから良いんです。ビリー・プレストンの最後の演奏になったらしいし・・・。枯れた音のギターソロ(“loving guitar solo” とクレジットされています)は、
エリック・クラプトン、ペダル・スティールはロバート・ランドルフです。・・・と、おもわず全曲解説してしまいましたが(この人知りませんの連発でしたが・汗)、素晴らしい歌と素敵な演奏が沢山入ったアルバムだと思います。 ・・・何かねえ、僕は最近歌が一番好きなんですよ。人の声が。ギタリストもギターも他の楽器も勿論好きだけど、人の声に一番ぐっと来てしまうんですよね~。なので、このアルバムも凄く楽しめます。“企画盤”と言われればそうかもしれないけど、こんな企画盤なら、僕は何度でも聴きたいですね。・・・で、このアルバム、最近になってグラミー賞の“Best Traditional R&B Vocal Performance部門”(長い・・・)にノミネートされたんだそうです。どうせなら受賞して欲しいですね~。