ダニー・カーワンの
“Ram Jam City”、Fleetwood Macの
“Then Play On”と、初期Mac関連の記事を続けたからでしょうか。このところ、“
ピーター・グリーンという人が素晴らしいミュージシャンであるのは良く分かりましたが、今はどうしているんですか?”という問い合わせが殺到して、嬉しい悲鳴を上げています。・・・というのは残念ながらウソですが、“皆さん、恥ずかしくて中々言い出せないんだろうな”と心配している今日この頃です。今日はそんなシャイな人達の疑問に答えましょう。長い隠遁生活から奇跡的なカムバックを果たしたピーターは、こんな感じで活動しています。1998年5月5日に、ロンドン、ソーホーのクラブ、Ronnie Scott'sで行われた、
Peter Green Splinter Groupのショーの様子を収めた2枚組のLIVEアルバムです。・・・あれ?“今のピーター”と言った割に、既に8年前ですね(汗)。・・・まあ、良いか(笑)。・・・このアルバム、オリジナルリリースは1999年で、当初は全世界で20,000枚の限定プレスでした。僕が持っているのは、2001年に再発されたものです。収録曲等、アルバムの内容は同じだと思いますが、ジャケットが異なります。・・・ただこれ、再発されたと言っても、中々見かけなくてですねえ。僕もちょっと入手に苦労したんですよ。・・・つっても、必死に探してた訳では全然ありませんが(笑)。これ、数年前にも一度買ったことがあるんですけど、そのCDのディスク2に買った時から傷が付いていて、音飛びしたんです。さすがに音飛びして先に進まないCDを持っていてもしょうがないので、返品したことがあるんです。同じCDの在庫がなかったのでやむなく。そしたら、それからずっと見かけることもなくなって、“う~ん、あれでも持っていた方が良かったかなぁ・・・”みたいにも思っていたんですが、今年に入って(もう終わりますけどね・・・)久々に見つけたので即GETしたんですが。・・・で、何年かぶりに聴くことが出来たという、曰く付きのアルバムです。僕にとっては。
・・・と、さっきから音楽とは関係のない話ばかりしていて、“最近のピーターについて書く”と言ったくせに、何だか気が進んでいないっぽいでしょう?実はそうなんですよ(笑)。ピーター・グリーンというギタリスト/ミュージシャンは、僕にとって凄く大きい人なんですが、それはやっぱり、Fleetwood Macや、
ジョン・メイオールのバンドに在籍していた頃の彼なんです。この頃の彼を知っている者からすると(勿論、実際に観た訳じゃないけど)、今の彼が出している音はどうにも弱々しく感じてしまうんですよね。ギターの音も、その歌声も・・・。まあ、全盛期の彼が出していた音は、半端ではなく凄かったですからねえ。・・・何だか悲しくなってきたんで、気分を盛り上げる為に “Boston Tea Party”でも聴きますわ。・・・
うわっ、ピーター最高!“Part 3”の
“Jumping At Shadows”、これは何度聴いても凄いな。こんな20代嫌だなぁ(笑)。当時の同年代のミュージシャンの中で、“最も完成された人”なんじゃないですかね?この人の場合、ギターのみならず、ボーカルも素晴らしいですから。ジミー・ペイジだって、“僕はピーター・グリーンを全面的に支持”みたいに言ってましたもんね。The Black Crowesと一緒にツアーしてた時に。あのツアーでは
“Oh Well” のカバー演ってたし。・・・そんなに凄い人だったので、今のピーターが出している音を聴くと、やはり多少の悲しさを感じてしまうんですよ。殆ど世捨て人のようになっていた人なので、再びギターを持って歌おうと考えてくれただけでありがたいし、ホントに嬉しいんですが、“もっと出来るでしょう?あんなに凄かったのに・・・”という風に思わずには居られないんです。Mac時代、あれだけ自信に満ち溢れた音を聞かせてくれたピーターなのに、今の彼の演奏からはそれが殆ど感じられないんです。妙に慎重になっていて、ミスすることを恐れているように感じるんです。特にギター。・・・何だかんだ言っても、僕は彼のファンなので、彼が奇跡の初来日を果たした時(とその次に来た時も)、観に行きましたが、“今のピーターが、一番自信を持ってプレイしているのはハーモニカなんじゃないかな?”と思ってしまいました。ルックスも昔とはまるで変わっているので、“これがあのピーターなのか?!”とも思ったりしましたが、その声や横顔などに昔の面影を感じて“あぁ、ピーターだ・・・”と、ウルウルきたり。
・・・と、ここまで書いてきたことを読んでみて、このアルバムを聴いてみたいと思う人が現れるとは思えなくなってきましたが(笑)、今のピーターは今のピーターで良いところもあるし、このLIVE盤だって中々良いんです。間違っても気合が入ったりはしないだろうけど、和むことは出来るんです。まずピーターの歌、これが渋い。“しょぼい” とも言うけど、渋い。若い頃より味があるんです。声は出てません。ハッキリ言って。でも、味が出てるんです。ブルースマンとして深みを増したとでも言いましょうか。カムバックしたあとに(若い頃にも共演した)
B.B.キングと再会、共演を果たしたらしいんですが、B.B.はそれを“その年で凄く嬉しかった出来事”として挙げていたりもしました。この辺は今のピーターの良さを感じるところですね。ピーター、流石です。・・・あとバンドですが、このバンド・・・Splinter Groupが、今のピーターには合っていると思います。派手さとは無縁のバンドで、見た目も非常に地味ですが、今のピーターには彼等のようなバンドが必要でしょうね(と言っても、ピーターは既に脱退しているらしいですが)。・・・僕は、ピーター・グリーンと
ブライアン・ウィルソンという2人のミュージシャンに、どこか通じるものを感じているんですが(2人とも、若い頃から天才と呼ばれていたにも拘らず、様々なプレッシャーから精神に異常をきたして引退生活を送り、その後、復活・・・という道を辿っているし)、ブライアンが鉄壁の演奏力を誇るバンドをバックに現在の音楽活動を行っているのに対して、ピーターは“そこそこのバンド”と活動を共にしています。この気楽さみたいなものが今のピーターに必要だと思うんですよ。ブライアンのように、メチャメチャ上手い完璧なバンドをバックにしていたら、彼はまたしてもプレッシャーを感じると思うんです。・・・だからこれで良いんです。下手なバンドでは決してないし。・・・このアルバムの中でも、かつてのピーターを彷彿させるようなギターの音が聴こえたりしますが、それは実はバンドのもう1人のギタリスト、
ナイジェル・ワトソンのものだったりするんですよ。“あ、ピーター、まだまだ出来るじゃないか”と思わないようにして下さい(涙)。・・・そんなバンドをバックに、
“Black Magic Woman”や
“Albatross”、
“Green Manalishi”、 といったMacのヒット曲、ロバート・ジョンソンのカバーを含む古いブルース曲、更にはピーター・グリーンというギタリストを世に知らしめることになったBluesbreakers時代の
“The Supernatural”といった曲を演っているアルバムなので、聴く方もリラックスして臨みたい感じです。