一週間の御無沙汰でした。ほぼ全国的に好天が続き、大変過ごしやすい今日この頃ですが、僕は先週、
フィオナ・アップルを観てきたでござる。13日の金曜日、東京国際フォーラム ホールC。彼女のLIVEを観るのは今回が初めてでしたが、いつものように無駄口を始める前に、まず結論を言ってしまうと、“このコ(と言っても、いつの間にか彼女も29歳)はLIVEでもスゲーな”という感じのコンサートでした。・・・当然っちゃあ当然ですが、LIVEに措ける彼女の歌声はアルバム以上に生々しくてリアル、 “人前でこんなにさらけ出しちゃって良いんだろうか?大丈夫?元に戻れる?”といった余計な心配をしたくなるほど強烈なパフォーマンスを披露していました(大丈夫っぽかったけど)。・・・以下は、コンサートを観て印象に残ったことを交えた無駄口日記です。真面目なフィオナファンの方は、読まない方が良いかもしれません(笑)。
・・・開演時刻10分前、6時50分に地下鉄有楽町駅に到着、毎度のことながら、会場入りはギリギリです。でも、いくらギリギリであっても、東京国際フォーラムで行われるコンサートの場合、建物内にあるampmでジュースを買って、それを飲んでからホールに入るのが僕の中のルールです。・・・何故かと言うと、そうでもしないと脱水症状を起こしそうだから(笑)。最近では、ホントたまにしか東京には行かないので、例えコンサート当日であろうと、レコード屋のハシゴが必須です。なので、今回も昼食以降は何も口に入れず、ギリギリまでレコード屋巡りをしていたのです(・・・それにしても、しばらく東京に行っていない間に、渋谷のレコファンが1軒だけになっていたのには驚いた。“さあ、次のレコファンだ”と思って歩いて行ったら、ある筈の場所に無いんでやんの。1軒なんてスカしたカフェになってたわ(笑)。“CDが売れていない”ってホントなんですねぇ・・・)。水分補給を済ませ、足早にホールへと向かったのですが、フィオナ・アップルのLIVEを観るのが初めてだったのと同時に、この会場のホールCに入るのも初めてでした。やっぱり、これぐらい(1500人クラス)の大きさが良いですね~。フロアには緩やかな傾斜が付いているし、非常に観やすそうだなとホールに入った瞬間に感じました。・・・この日は当日券も出ていたようですが、3階席にもしっかりお客さんが入っていました。“ほぼ満席”といった感じです。僕の席は左側の前から数列目でしたが、前方を観ると、ピアノがデンと置いてあるんですよ。どんな編成のバンドで来るのかというのもまったく知らずに居たので、席に着いてから、“あ、ここにフィオナが来るんじゃ~ん”とか、妙に得した気分になりました(笑)。
・・・そして、定刻から10分遅れで場内が暗転、ゾロゾロっとステージに現れたバンドの男性メンバーに続いて、フィオナも登場。ここで彼女は、客席に向かって一応軽く手を振るんですが、そこからは見事に自分の世界に入ります。それ以降殆ど出てこなかった(笑)。コンサートの終盤、バンドのメンバーを紹介する時に、“曲の間に何も喋らなくてごめんなさい”と詫びたぐらい、何も喋りません。たま~に、客席から掛かった声に、低~い声で反応するぐらい。ホント、愛想なし。・・・まあ、客席の誰もが彼女のそういう面を理解している感じだったし、愛想の良いフィオナ・アップルって想像出来ませんが(笑)。・・・バンドは、ドラムにベース、キーボードが2人と、ギターレスの4人編成、左側・・・ピアノの奥に陣取るキーボードのお兄ちゃんは、The Black Crowesに居てもおかしくないような、ロッカー然としたルックスで、主にシンセで効果音的なフレーズ(CDではギターで出していたような音なんかも)を担当、もう1人のキーボーディストは、フィオナがスタンドマイクで歌う時にピアノのところに移ってきてそれを弾いたりと、“鍵盤らしいフレーズ”はこの人が担当という感じです。・・・オープニングは
最新アルバムから
“Get Him Back”、シンプルな黒のドレス・・・と言うか、長いワンピース(?)に赤いベルトという出で立ちのフィオナは、最初の数曲はピアノを弾きながら歌ってました。・・・数メートル先に居るフィオナは思っていた以上に小柄で、“持って帰ろうかな・・・”という考えが頭を過ぎったほどです。“ピアノの発表会に、お母さんの服を借りて出てきた子供”という風に想像してもらうと良いかもしれません(笑)。でも、ピアノはもの凄くパワフル。・・・やはり彼女の場合、曲やその歌声に耳が行ってしまうことが多いと思いますが、僕は彼女のピアノも好きですねえ。アタックが非常に強いんですよね。同じピアノを前途のキーボーディスト2号(この人も凄く上手かった)が弾いたりすると、そのタッチの違いが良く分かります。歌と同じように、“全身全霊で鍵盤を叩いている”という感じで、ピアノも極めて個性的です。
魂のピアニスト!・・・って、それ、フジ子・ヘミングじゃん(笑)。
4曲目辺りでステージ中央に置かれたマイクスタンドのところへ移動して歌い始めましたが、ここからの彼女もまた凄かった。ステージ上をうろつく(決して走り回ったりするのではなく、うろつく)、身をよじる、座り込む(その間も、バンドの演奏に合わせて頭を激しく振っていたりする)、自分の胸や頭を叩く・・・と、完全にその曲の中に入り込んで歌っていて、客席から誰かに観られているという事実は、どこかに飛んで行っているような感じです。そりゃ、MCなんて出来ませんわ・・・。彼女の曲作りやアルバム作り、バンドのリハーサルも、すべてこんな感じなんじゃないでしょうか。曲のアレンジは基本的にアルバムと変わりませんが、歌が強烈に生。CDでは“あぁ~♪” と歌っているのが、“ぅゎあぁ~~♪”に変わっているような、そんな感じです。分かりますかね?・・・まあ、簡単に言うと、LIVEでは叫びの部分が多い訳ですよ。CDで聴ける彼女の歌も非常にリアルですが、ステージではそれに輪を掛けて生々しいんです。CDに収められたものとは、また別物のように聴こえるんです。アルバム以上に生々しく激しい彼女の歌い方によって、“その時点にしか存在しないその曲”になっていると感じるんです。
魂の叫び!・・・って、それ、U2じゃん(笑)。・・・そんな彼女を支えるバック陣がこれまた上手くてですね、キーボードの2人(1人は最新アルバムでもプレイしていた
デヴィッド・パーマーでした)は、前途のように凄く効果的にパートを振り分けて、アルバムの音を再現していたし、ベースはあくまでもベースらしいシンプルなプレイに徹していました。・・・で、基本的には、コンサートの間中、フィオナに注目していた訳なんですが(これは僕に限らないと思うけど・・・)、いつの間にかドラマーのプレイに目と耳が行っていたりもしたんですよ。“この人、上手いなぁ~”とか思いながら。細かいところまで神経の行き届いた歌心溢れるドラムで、素晴らしかったんです。でも、僕の目は、またフィオナに戻る訳です。“やっぱり、フィオナを観ておかないと・・・”みたいな感じで。そして、あとで気づけば、その上手いドラマーは
チャーリー・ドレイトンでした(汗)。“あとで気づいた”って、家に帰ってきてから気づいたんですけど・・・。フィオナばかりに気を取られて、メンバー紹介もまともに聞いていなかった・・・。駄目じゃん、俺・・・。
・・・そんな感じで、フィオナ・アップルの歌も素晴らしければ、バックの演奏も素晴らしい、非常に充実したコンサートでしたが、フィオナのジャジーな熱唱が光っていた
“Slow Like Honey”、チャーリー・ドレイトンのドラムが炸裂していた(・・・って、恥ずかしげもなく・笑)本編最後の
“Fast As You Can”が特に印象的でした。 ・・・デビューから10年経った今も、まだ20代である彼女が、この先、どんな風になるのか分かりませんが、今回のコンサートを観て、彼女は本物のアーティストであると確認出来たし、僕はずっと彼女のファンでいようと思ったのでした。
・・・それでは最後に、僕のFavoriteナンバーのPVでも観てもらいましょう。ちょっと大きい子供が、子供と踊っているビデオです(笑)。
“Paper Bag”