つい先日、吉田拓郎とかぐや姫が出演する“つま恋コンサート”が31年ぶりに開催され、大きな話題になりました。各メディアでの紹介のされ方も“中高年を中心に3万5000人の観客が・・・”といったものが多かったですが、ああいうのを観ると、“フォーク世代のパワーは凄いな、団塊の世代と言われる人達の思いは強いな”みたいに感じます。75年に行われた最初のつま恋コンサートも、僕は映像でチラッと観たことがある程度ですが、まさに“伝説”と呼ぶに相応しいコンサートだったんでしょうねぇ。最近、日本でも色んなフェスティバルが定着しつつありますが、あれはまだそういうレベルには達していないように思います。勿論、行った人の中では、そういう感じになっているのかもしれませんが、“つま恋”などに較べると、その思いが強くないような気がするんです。つま恋の参加者からは、吉田拓郎というアーティストや、かぐや姫の曲に対する強い思いを感じますが、最近のロックフェスティバルからは、どうも“フェスに参加することに意義がある”みたいな雰囲気を感じてしまうんですよね。“音楽はその次”的な。フォーク世代の人達は既に伝説を作っていると思いますが、ここ最近、盛んに行われているロックフェスティバルから伝説的なものが生まれるには、もう少し時間が掛かるような気がします(“箱根アフロディーテは凄かった”とかそういうのは無しでお願いします・笑)。“フェスティバル文化” みたいなものが出来つつあるのは、素晴らしいことだと思いますが。
・・・そしてやはり、伝説的なロックコンサート/フェスティバルと言えば、何と言ってもWoodstockフェスティバル(正式名称はWoodstock Music & Art Fair)が有名な訳ですが、あのコンサートの25周年を記念して行われた2回目のWoodstockが行われたのは1994年のことでした。・・・てことは、それから既に12年が経った訳です(汗)。何とな~くCD棚を眺めていたら、その事実に気づいてビックリしてしまいました。月日の流れるのはホントに早い・・・。棚から引っ張り出して、収録アーティストを確認してみたら、なるほど“そんな感じ”です。“それじゃ、久々にこれ聴いてみよう”ということで、今日は、コンサートから数ヵ月後に早くもリリースされた2枚組のLIVEアルバム
“Woodstock '94”を取り上げてみます。・・・平和で牧歌的な雰囲気の下(出演者は仕切りがまるでなっていない現場に辟易していたらしいですが)、40万人もの人が集まった'69年のWoodstockとは違い、Woodstock '94は大企業がスポンサーとなったことによって、開催前から非常に商業的な雰囲気を感じさせるものとなり、テレビ中継なども予定されていた為、あらかじめ売り出されていた25万枚のコンサートチケットも完売にはならなかったらしいです。しかも、実際に始まってみると、完全にオーガナイズされている筈の会場はドロドロのグチャグチャで、25年前の会場と同じような状況に陥り、
Mudstockと呼ばれたりしたことも有名です。・・・僕も、コンサートの映像や、'99年のWoodstock開催後に制作されたドキュメンタリー映画
“My Generation”を観ましたが、最近のWoodstockからは、余り楽しそうな雰囲気は伝わってきませんでしたねえ。僕は泥の中を転げまわったりしたくないし。・・・それはまあそれとして、CDを聴いて行くことにしますが。
・・・と、ここまで書いたのを観てみたら、既に充分すぎるほど長いので(汗)、個人的に印象に残ったバンドと演奏だけ挙げて行くことにしますが、当然と言うか何と言うか、このダブルアルバムには全ての出演アーティストの曲が収録されている訳ではありません。“Woodstockの精神を最も感じさせたバンド”と評された
King's Xや、(オリジナルWoodstockにも出演していた)
SANTANA、The Allman Brothers Bandといった如何にも“らしい”バンドの演奏が収録されていないのは何とも残念ですが(King's XのLIVE音源は彼等のベスト盤で聴けます)、それもまた時代なんでしょうか。・・・いや、契約がややこしかっただけでしょう。'69年のWoodstockでは “Love & Peace”な雰囲気が漂い、すべての観客がひとつのステージを見つめていた訳ですが、Woodstock '94のステージは3つに分かれ、それぞれ最近流行りの音楽を演るステージ、ブルースやR&B、ワールドミュージック系のステージ、そして、新人/ローカルバンドが出演するステージとなっていたようです。・・・まあ、Nine Inch NailsやMetallicaがブッキングされた時点で、“Love & Peace”というスローガンは成り立ちませんね(笑)。・・・Disc 1はLIVE(バンド名)の演奏で始まりますが、続く
Blues Travelerが僕は好きです。やはりこういうフェスティバルには、彼等のような盛り上げ役・・・観客の温度を上げるアーティストが必要だと思います。オリジナルWoodstockでも、伝説的なパフォーマンスを披露した
ジョー・コッカーも印象的。
The Cranberriesも爽やかで良いですね。客席からの合唱も生まれてます。続く
Blind Melonもイカシてます。・・・と言うか、この人達、遅れてきたヒッピーみたいなバンドだったから(笑)。その次にGreen Dayが出てくるんですが、このバンドの場合、映像で観た観客との泥合戦が印象に残ってます(・・・関係無いけど、Gibsonから出たビリー・ジョー・シグネチャーのレスポールJr.が気になります。Greendayのファンとかそういうことではなくて、白のレスポールJr.が良いのです。 ・・・レズリー・ウェスト・モデル!笑)
・・・ステージアナウンスを挟んで登場する
Red Hot Chili Peppersは、やはりこういった場所に強いですね。
デイヴ・ナヴァロ時代の演奏です(別の言い方をすると、電球を被っていた時代・笑)。そして、それに
Porno For Pyrosが続きます。映像や写真では、ここでも妙なパフォーマンスを展開していたことが確認されます。更に
Primus(笑)が続く。・・・この一連の流れ、Woodstockと言うより、ロラパルーザのようです(笑)。僕も、この頃は、こういったバンドばかり聴いてましたわ。久々に聴いたけど、Primusカッコ良いなぁ。笑えるけど。・・・でも、このバンドの自由な精神はWoodstock向きと呼べるかも。Disc 1の終盤には、
Aerosmithが登場しますが、これはどうかなぁ・・・。カッコ良いんだけどなぁ・・・。スティーヴン・タイラーは'69年のWoodstockには、観客として参加して(ラリって・笑)いたそうですが、やっぱり昔のエアロをこういう場所で観たかったですね。僕は。・・・
Metallicaの“For Whom The Bell Tolls”で始まるDisc 2は、2番目に出てくる
ポール・ロジャースが“フェスティバルならでは”といったパフォーマンスを披露してます。Free時代からの持ち歌“The Hunter”を演奏していますが、ニール・ショーンや
ジェイソン・ボーナムを擁したバンドに、
スラッシュとアンディ・フレイザーが参加しています。Half Free(笑)。ここにポール・コゾフが居れば最高なんだけど・・・。死んでるっちゅうねん。・・・
The Neville Brothersのパフォーマンスも素晴らしいですね。レノン/
マッカートニーの “Come Togerther”演ってます。次は前年デビューを果たしたばかりの
シェリル・クロウが登場、“Run Baby, Run”を歌っていますが、その後の成功を予感させるパフォーマンスです(・・・この頃、既に人気者でしたかね?)。続いて
CS&Nが登場しますが、やっぱりこういう音は和むし、“Woodstock”という感じがしますよね。
・・・こうして聴いて行くと、僕が個人的に印象に残るアーティスト/バンドは、やはり昔のWoodstockを感じさせるバンドが多かったりしますが、それはフェスティバルというものに、どこか平和的なものを求めているからというのがありますかねえ。別に“Love & Peace”がインプットされているとかそういうものではないんですが・・・いや、されてるか?・・・ああいう場所に行って大騒ぎしたいとかそういう気持ちになれないんですよね。僕の場合。もう若くないとかそういうのは関係なく。飛び跳ねたりするのは、クラブチッタとかそういう場所で酸欠になりながらした方が楽しいと思うんですけど(笑)。・・・なので、このLIVEアルバムを聴いていも、そういうバンドの演奏は飛ばしたくなりますね。“音だけ聴いていても、その熱さが伝わってこない”みたいな面もあるし・・・。(当時の)若いバンドでは、
Collective Soulが結構良い感じで盛り上がってますが、このバンドも最近パッとしませんね。・・・と言うことで、Disc 2のラスト3連発、
ボブ・ディラン、
Traffic、
ピーター・ガブリエルは流石に印象的なパフォーマンスを披露していますが、先ほど言ったように、音だけでは欲求不満に陥りがちです。今だったら、DVDでリリースされているんでしょうけどねえ。出演アーティスト多数のこういったフェスティバルこそ、大容量メディアであるDVD向きだと思うんですが、少し前の“LIVE AID”みたいにドーンと出ませんかね?・・・まあ、出ないだろうなぁ(笑)。如何にも中途半端だし。時代も参加しているアーティストも。出しても売れないと思う。・・・と言うか、僕も買わないような気がする(笑)。“ある時代を感じさせるLIVEアルバム”ってとこですかね~。良くワゴンセールのワゴンの中に入っていたりするので、そういう時にチェックするぐらいで良ろしいんじゃないでしょうか。