Dixie Chicksが2003年の夏に行った“Top Of The World Tour”からのLIVEアルバムです。2003年リリース(くどい・笑)。・・・Dixie Chicks、以前も取り上げたことがありましたが、その時点では、まだアルバムを1枚持っているだけでした。あの時は、ハリケーン・カトリーナによる被災者救援チャリティLIVE
“Shelter From The Storm”に措ける彼女達(とロバート・ランドルフ)のパフォーマンスに感動して、1枚しか持っていない彼女達のアルバムを取り上げたんですが、その後、また何枚かアルバムを聴いてみたんです。 ・・・そして、これは2枚組のLIVEアルバム(同タイトルの映像版もリリースされています)。日本盤の帯にはこう書いてあります。
“表現の自由を!話題騒然の中で敢行された最新ツアーからのライヴCD!” 本国アメリカでは、数千枚以上のアルバムセールスを誇る超人気グループのDixie Chicksですが、ここ日本では、この “一連の騒動”と関連づけられて紹介される場合が多いようですね。
・・・かなり有名な話ではありますが、一応簡単に説明しておくと、イラク戦争開戦直前、ヨーロッパツアー中だったDixie Chicksのボーカリスト、
ナタリー・メインズが、ロンドン公演のコンサート会場で、“合衆国大統領が(自分達と同郷の)テキサス出身で恥ずかしい”といった発言をしたことが、本国で(悪い意味での)大きな反響を呼び、それがラジオ局のボイコット、コンサートチケット廃棄などのChicksバッシングに繋がったんです。ナタリーはそれ以前にも、他のカントリー歌手がヒットさせた(9.11以降の)国粋主義的愛国ソングに対して、“頭悪いと思う”という発言をしていたので(笑)、それもまた保守層の気持ちを逆なでしていたようです。カントリーミュージックのオーディエンスには保守層が多いでしょうしねえ。・・・僕は、ナタリーがこの一連の発言をした頃は、まだChicksのファンという訳ではありませんでしたが、彼女の発言を全面的に支持しますね。僕がテキサス州民だったら、ブッシュに対してそう思っただろうし、東京都民だったら、石原慎太郎に対してそう思います。石原慎太郎関係ないけど、彼に対してはいつもそう思ってます。東京都民じゃなくても。頭悪いし、恥ずかしい。ってか、何様のつもり?・・・ちょっと話ずれましたが、そういった騒動の真っ最中に行われたツアーの記録が、このLIVEアルバムなのです。
・・・このツアーの前年2002年にリリースされた
“Home”で、Dixie Chicksの音楽は、ブルーグラス寄りにシフトしたようで、このLIVEアルバムで聴かれる音楽/バンドの演奏も、そういったカラーが強いです。ブルーグラスを含むカントリーミュージックの人気は、残念ながら日本ではイマイチと言えると思いますが(そう言う僕も、入れ込んだことはありません・・・)、それはやはり空気が違うからだと思うんですよね。日本とアメリカでは、文化も違えば風景も違うじゃないですか。カントリーミュージックの中で歌われている世界が、日本にいては良く理解出来ないからだと思うんです(勿論理解している人、またはその空気に憧れてカントリーを聴いている人も大勢居ると思いますが)。Dixie Chicksの音楽を聴いていて、頭に浮かんでくる情景は日本には無いものだし、歌詞からもそれを強く感じます。“4H Club”とか、“FFA”とかが出てきますからねえ。ちょっとピンときませんわねえ・・・。でも、そういった音楽を気持ち良いと感じる場合も勿論あって、今の僕は何故かそんな感じなんです。“収穫の秋” だからかなぁ・・・。農作業なんてしたことないけど。
・・・毎度のこととは言え、アルバムの話を殆どしていませんが(汗)、ここで聴かれる音楽がどんなものかというと、やはり強くアメリカを感じさせるものです。ブッシュ政権批判/偏った愛国心批判を繰り返した彼女達ですが、その音楽からは、アメリカという国に対する強い愛情が感じられます。演奏は言うまでも無く上手いです。メチャクチャ上手い人達がChicksの3人を支えています。ライナーによると、このツアーからバンドを一新したそうですが、バンマス兼ギターに、ジョン・メレンキャンプのところやStoryvilleに居た
デヴィッド・グリッソム、ベースには
ロスコー“こんなところにおったんかー!”
ベック、・・・あとは知らない人ばかりですが(笑)、それはもう皆さん上手いです。Chicksの2人も上手いです(マーティは全米フィドル選手権で全国3位に輝いたこともあるんだそうだ)。クレジットを見て行くと “このアルバムは完全なLIVE録音、スタジオでのオーバーダブは一切なし”と書いてあるんですが、“ホントかよ!”とツッコミ入れたくなるほど素晴らしい演奏が収められています。・・・そんな感じで、演奏も完璧と言えるものなんですが、僕がChicksの最大の魅力だと思うのは、やはりナタリーのボーカルですね。コンサートを通じてこの力強い歌唱は凄いと思います。彼女は、如何にも意志の強そうな素晴らしい声をしていますが、咽も強いんでしょうね。顔も強そうだし。
・・・本国と日本での人気の差を考えると、これからも日本でDixie ChicksのLIVEを観られる可能性は極めて低いと思いますが、アルバムを聴いていたら、無性に彼女達のLIVEが観たくなってきました。DVDも買うかな~。NEWアルバムもまだ買ってないけど・・・。実際に観れればベストなんだけどなぁ・・・。無理っぽいよなぁ・・・。
追記 :その後、DVDも観ましたが、CDよりLIVEっぽくないという不思議な映像作品でした(笑)。1曲の中で編集しすぎですね~。曲の途中で、メンバーの衣装や楽器が変わったりするんですよ・・・。TOTOの“ヤングミュージックショー”か!