Foo Fightersの人気ドラマー、
テイラー・ホーキンスのソロプロジェクト、
The Coattail Ridersのアルバムです。前回は元祖馬鹿ドラマー、
キース・ムーンのソロアルバムを紹介したので、今日は現代を代表する(No.1と言っても良いでしょう!)馬鹿ドラマーのアルバムで・・・。国内盤はつい先日リリースされたばかりですが、非常に良いタイミングで出てくれました(笑)。・・・一応、誤解の無いよう言っておくと、この間から僕は、ファンも沢山いるであろうドラマーを馬鹿だ馬鹿だと言っていますが、僕はホントにこの人達好きですから。素晴らしいドラマーだと思っているんですが、それと同時に馬鹿だと思っているだけなんです(笑)。・・・これは以前から何度も書いていることですが、僕はミュージシャン・・・特にロックミュージシャンたるもの、馬鹿な面を持っていなければ面白い演奏、人を感動させる演奏はできないと思っているんです。・・・ギタリストで言えば、
ジェフ・ベックなんて、音色からして馬鹿丸出しだし、エディ・ヴァン・ヘイレンがギターを弾いている姿だって大馬鹿じゃないですか(笑)。そして、ミュージシャンの中で、もっとも馬鹿さを要求されるのがドラマーだと思っているんです。ドラマーが馬鹿だと(下手じゃ駄目ですよ・笑)、バンドも燃えますよね。僕はそんな風にバンドを煽ってくれるドラマーが好きなんです。・・・キース・ムーンは馬鹿が先行してますが(笑)。
・・・僕がテイラー・ホーキンスというドラマーの演奏に初めて触れたのは、
アラニス・モリセットの1stアルバムに伴うワールドツアーの様子を収めたドキュメンタリービデオ(勿論現在はDVD化されています)
“Jagged Little Pill,
Live”の中でした。僕は、ここで初めてアラニスのLIVEを(間接的に)観た訳ですが、それはもうアルバムの何倍もロックしていて、彼女は素晴らしいシンガー・ソングライターであると同時に、凄いLIVEパフォーマー/ロッカーであると気付いたんです。そして、彼女のLIVEを支えているバンドが、若くて才能を持ったミュージシャンの集まりだと思っていたんですよね。彼等はアラニスの曲をアルバムと同じように再現しているのではなくて、そこに新しいアレンジを加えてその曲を見事にロックさせていたんですよ。2人のギタリストも凄く上手いと思ったし(やっぱり僕の場合、まずギターに目と耳が行ってしまうんですよね~)、
Sexual Chocolate(笑)というバンド全体が素晴らしく良かったんですが、その中でも目立っていたのがドラマーのテイラー・ホーキンスだったんですよ。叩き方はトミー・リー(この人も大馬鹿)のようだし、手数も決して少なくはないんですが、しっかり曲を生かしたドラミングなんです。それを観ながら、“このドラム良いな~”なんて思っていたら、そのビデオの後半には、もうひとつ僕の中での彼の評価を決定付けるシーンが収録されていたんです・・・。そのツアーでは、コンサートの終盤にアラニスがドラムを叩くという演出がなされていて、そこで彼女はQueenの
“We Will Rock You”のリズムを叩くんですよ、例のリズムを。・・・そして、そのリズムに乗って、ステージ前方に出てきて歌いだすのが、テイラー・ホーキンスだったんです。フレディ・マーキュリーのようにマイクを持ち、時にはパンツを下ろすフリまでして、観客を煽るのが彼なんです(笑)。“わはは、コイツ馬鹿だ~”と思いつつも(大体、アラニスのバンドがプロとしての初キャリアだったんですよね・・・にも拘らずこの馬鹿炸裂ぶり・・・)、僕は彼の大ファンになったのでした。
・・・そんな風に、僕のFavorite馬鹿ドラマーの1人となったテイラー・ホーキンスでしたが、今度は
Foo Fightersに加入するというニュースが入って来たじゃないですか。これはビッグニュースですよね。だって、あのバンドには、デイヴ・グロールという、これまた野獣と言うか、原始人のようなドラマーが居るんですから。そんなバンドにあんなドラマー(笑)が加入する、・・・こりゃえらいこっちゃ~。・・・と言いながらも、実は、それまで僕はFoo Fightersというバンドに、まるで入れ込んではいなかったんですよ(笑)。アルバムは一応聴いてたんですけど。・・・と言うのもですね、2ndアルバムまでの彼等は、やはりバンドと言うより、“デイヴ・グロールのソロプロジェクト”といったニュアンスの方が強かったと思うんですよね(・・・まあ、アルバムで叩いているドラマーが、LIVEではギターを弾きながら歌っているんですから、当然と言えば当然なんですが)。・・・そこで、デイヴ・グロールが“いつまでもこれではアカン”と思ったかどうかは定かではありませんが(多分そうなんじゃないですかね)、バンドの正ドラマーとして白羽の矢を立てたのが、テイラー・ホーキンスだったんですねえ。やっぱりデイヴ・グロールは鋭いですよね。素晴らしいメンバー選択です。僕なんて、 “テイラーの演奏がやっとCDでも聴けるな~”と喜びましたからね(アラニスのシングル等で、彼がタイコを叩いているLIVE音源が聴けたりはしましたが)。・・・彼のバンド加入第1作となった
“There Is Nothing Left To Lose”では、2ndギタリストはまだ正式に加入していない状態ですが、その音は確実に“バンドサウンド”になったと思います。ああ見えて、テイラーって凄いんですよ。“そんなドラマー”なんです。しっかり自分の個性も出してますしね。もうオープニング曲
“Stacked Actors”のイントロから
“バッカ!バッカ!”(ホントにこう聴こえるんですよ・笑)言ってます。
・・・Foo Fighters加入によって、テイラー・ホーキンスというドラマーの姿がかなりクリアに見えたので、アルバム発売当時、少し真面目に彼のドラミングを聴いてみたんですが(・・・いや、僕はいつも真面目なんですけどね)、アラニスのバックを務めていた時から、“誰かのドラムに似てるよな~”と思っていた“誰か”は、
スチュワート・コープランド(この人もしっかり馬鹿)だと気付きました。・・・って、遅いですか?(笑) Foo Fightersの曲は比較的シンプルなリズムパターンのものが多いので、彼のこういう面が結構分かり難かったりするんですが、
“Generater”という曲のオカズの入れ方なんてモロですね。スチュワート・コープランドからの影響を強く感じます。音色もちょっと似てますね(・・・なんて思った後に、テイラーが影響を受けたと公言しているドラマーは、スチュワート・コープランドとロジャー・テイラーだと知って、“お~、そうだろ~、やっぱりな~”などと、1人満足感に浸っていたのはこの私です)。・・・スチュワート・コープランドと言えば、LIVE映像等で見せるその落ち着きの無さでも有名ですが、彼のそんなところにまで影響を受けたのか(元々そんな奴だったに決まってるけど・・・)、テイラーもインタビューを受けている時とか、妙に落ち着きが無いんですよ。始終ソワソワしていて、足に手をやったりと、殆ど猿のようにも見えます。 ・・・ついでにロジャー・テイラーと言えば、勿論Queenのドラマーですが、テイラーはかつて自分のアイドルであったであろうQueenのギタリスト、
ブライアン・メイとも競演を果たしているんです。アルバム
“Another World”収録の
“Cyborg”という曲で。テイラー・ホーキンス豆知識(知っていたからどうなるというものではない)。
・・・そんなテイラー・ホーキンスが、Foo Fightersの活動休止中(デイヴ・グロールが子育て休暇取っているらしいですね)に進めていたサイドプロジェクトが、この
The Coattail Ridersで、バンドは現在アメリカでクラブツアーの真っ最中らしいです。 ・・・が、その話を始める前にいい加減疲れてきました(笑)。僕って奴は、何て計画性が無いんでしょうか・・・。バンドが所属するインディレーベル
Thrive RecordsのHPで、アルバムの全曲試聴可能なようなので、手っ取り早くそれを聴いてみて下さい(そんないい加減なことで良いんか~)。テイラーは曲を書き、ドラムをプレイする他に歌も歌っています。Foo Fightersというバンドに居ては、中々出来ないような曲調とドラミング(デイヴ・グロールは、“ジョン・ポール・ジョーンズと共演”なんてことになると、自分が叩いたりするからな~・笑)が聴けます。オープニングナンバーの
“Louise”では、スチュワート・コープランドからの影響がストレートに感じられるし、彼のプログレ好きが現れたような曲、・・・かと思うと、アコースティカルで、ウェストコーストを彷彿させる曲が入っていたりと、Foo Fightersで見せているのは、テイラー ・ホーキンスというドラマー/ミュージシャンの一部でしかないと思わせるものになっています。“Foo Fightersの曲に較べてどうか?”というのは皆さんの判断にお任せしますが(そんな風に書くということは、個人的には“ちょっとフックに欠けるかな?” みたいに思っている訳ですけど・笑)、とりあえずドラムはテイラーが叩きたいように叩いてます。ドラミングという観点から観れば(聴けば)、こっちの方が圧倒的に面白いですね。・・・テイラー・ホーキンスは一見すると馬鹿のように見えて、実際そうだと思いますが(笑)、ホントに素晴らしいミュージシャンです。ベースはアラニスのバンドでの同僚、
クリス・チェイニー(
Jane's Addiction)が弾いてます。
それじゃ、そういうことで・・・。(今日も)長々とすみませんでした。