いや~、このアルバムはやっぱり最高ですね~。僕が最初に買った
AC/DCのアルバムがこれなんですが、つい最近、ようやくCDも入手したんです。・・・で、久々に聴いてみたらホントにカッコ良かった。オリジナルミックスからリマスターされた音も中々素晴らしくて、“このアルバムこんなに音良かったかな~”なんて思いながら聴いていた訳です。これだけ生々しい音で録音されたLIVEアルバムというのも珍しいですよね。このアルバムのリリースは1978年ですが、ほぼ同じ時期に、Thin Lizzyの
“Live & Dangerous”や、UFOの
“Strangers In The Night”といったLIVEアルバムも発表されています。どれもハードロック史上に残る名LIVEアルバムだと思いますが、音の生々しさで言えば、
“If You Want Blood You've Got It”(ギター殺人事件)が一番でしょうね。・・・Aerosmithの
“Live Bootleg”も'78年にリリースされていて、あのアルバムも凄く生のLIVEアルバムでしたが、あれは色んな時代に色んな会場で行ったLIVE音源の寄せ集めみたいな感じでしたから、コンサートを(ほぼ)まるごと収録して、擬似LIVE体験ができるという意味ではこちらに軍配が上がります。・・・まあ、本来LIVEアルバムというものは、生々しくあるべきものだと思うんですが、そうも言ってられないのが、世の中の厳しいところです。でも、このアルバムはホントに生、
本生ですねえ。修正なんて殆ど加えられていないんじゃないでしょうか?
LPのジャケットには“1978年のワールドツアーで録音された”しか書いていなかったこのLIVE音源の多くが、その年の4月にイギリスはグラスゴーで行われたコンサートのものだと知ったのは最近になってからですが、バンドがまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった、この
“Powerage Tour”を実際に体験できた人が羨ましくてしょうがありません。AC/DCはこのLIVEアルバムのあと、
“Highway To Hell”、
“Back In Black”、
“For Those About To Rock”といったアルバムを立て続けに発表し、ドン!ドン!ドーン!とスケールアップを果たして行くことになりますが、この本生LIVEを聴いていると、LIVEにおける彼等のパワーは、この頃既にピークに達していて(その後も衰えていませんが)、その圧倒的なLIVEパフォーマンスが今も昔もAC/DC最大の魅力であるというのが分かります。目茶目茶ソリッドなリズムセクション(マルコム兄ちゃんも含む)も素晴らしいし、アンガスのエネルギッシュなギターも最高ですが、その魅力をスタジオアルバム以上に発揮しているのは
ボン・スコットでしょうね。ブライアン・ジョンソンのまるで楽器のような声も文句なしに凄いですが、ロックという音楽の持つ危うさみたいなものを感じるのは、やはりボン・スコットの方です。彼のことを“セクシーなロックスター”と表現するのは可能だと思いますが(とは言うもののオーディエンスには男しかいないような雰囲気・・・)、ブライアンをそう呼ぶのは不可能でしょう。どう考えても。ボン・スコットのお上品な魅力全開のアルバムです。
“She's gotta the jack”という素晴らしすぎる歌詞を観客に大合唱させる彼のようなロックシンガーが、今も生きていたらどんな風になってましたかねえ。
・・・いや、それでですね、AC/DCについて書くと、毎回こういう話になるんですが、彼等のアルバムを聴くと、マーシャルアンプの魅力と言うか、威力と言うか、素晴らしさを実感してしまうんですよね。特にこれはLIVEアルバムでしょう?Very 生な。あのアンプのボリュームを上げてギターを弾いたことのある人なら分かると思いますけど、右手の側面が低音弦にかすかに触れただけで、“ブワッ”とかそんな音がするんですよね。大袈裟に言うと空気が動くような音圧を感じる訳ですよ。・・・そしてこのアルバムには、スタジオにおいては一種のノイズとして邪魔者扱いされるようなそんな音も沢山収められているんです。ギターソロでいとも簡単にフィードバックに持ち込んでいるところから見ても、ギターから手を放せば即ハウリングが起きてしまうぐらいの大きな音を出していると思われますが、それを見事にコントロールしているのが分かるアルバムでもあるんですよ。“ミュートの大切さを学べるアルバム”という風にも言えますね(笑)。・・・てことで、“ギター殺人事件”(僕はこの邦題も好きですけど、こういったセンスが日本でのAC/DC過小評価に繋がったのではなかろうか?笑)、
ロック最高!ギター最高!マーシャル最高!なアルバムです。