L.A.を代表するキーボードプレイヤー、
デヴィッド・ガーフィールド率いる凄腕インストグループ、
Karizmaのアルバムです。2001年リリース。
“Document”というタイトルからも分かる通り、LIVEアルバム(2000年に行なわれたヨーロッパツアーを収めたもの)です。“もう勘弁して下さい・・・”と、泣きたくなるほど上手い演奏が収められています。デヴィッド・ガーフィールドと言うと、TOTOの
スティーヴ・ルカサー達とやっている
Los Lobotom-ysもよく知られていますよね。KarizmaもLos Lobotomysも長く活動しているバンドですが、どちらメンバーはよく入れ替わっています。・・・まあ、セッションで忙しくしている人達ばかりですから、“時間が取れる人がメンバーになる”という感じなんでしょうね。誰が入っても上手い人ばかりだし・・・。
・・・で、このLIVEアルバムにおけるメンバーは、キーボードは勿論
デヴィッド・ガーフィールド、ギターに
マイケル・ランドウ、ベースは
ニール・スチューベンハウス、そしてドラマーが現在ジェフ・ベックと共に来日中の
ヴィニー・カリウタです。・・・正直、僕はマイケル・ランドウのギターが聴きたくてこのアルバムを買ったみたいなところがあったんです。でも実際に聴いてみると、他のメンバーのプレイも想像以上に凄くて参ってしまいました(ランドウのプレイには勿論大満足)。メンバーそれぞれが上手いのは勿論知っていましたが、こういった人達が本気を出すとどれだけ凄いかというのを思い知らされるアルバムです。彼等がセッション等で見せるプレイはあくまでも実力の一部でしかないというのが分かります。KarizmaやLos Lobotomysのようなバンドは、“セッションで色んな制約を受けて悶々としているミュージシャン達の鬱憤晴らしの場”という事もできるのではないでしょうか?ホント、強烈に上手いんですよ。音数、手数も多いし。でも、聴いていて疲れるという事はないんですねえ。
マイケル・ランドウはセッションでは決して派手なギターを弾かない人で、自身のバンド
Burning Waterや
Raging Honkiesではストレートなロックギター、ジミ・ヘンドリックスの影響下にあるようなギターを主に弾いていますが、もっと弾ける人なんですよ。・・・って、今更僕が説明するような事でもないんですが、このLIVEアルバムに収められた彼のプレイはホントに凄いんです。ジャジーでもあるのに、ロックフィーリングもたっぷりで、それはもう素晴らしいです。
アラン・ホールズワースとジミ・ヘンドリックスの混血みたいなギターも弾いてます。しかも、音がまた良いんですよね。個人的には、彼のソロアルバムやソロLIVEアルバムより、このアルバムでのプレイの方が好きですね。それはやはり、他のメンバーに触発されている部分も多いと思うんです。現在ジェフ・ベックの後ろでドラムを叩いているヴィニー・カリウタのプレイはランドウや他のメンバーを刺激しているでしょうねえ。ヴィニーのドラムが凄いんですよ。・・・凄い凄いの連発ですが、実際、凄いんだからしょうがない(笑)。
・・・ジェフ・ベックのコンサートを観に行った人は、やはり自分でも何か楽器を演奏する人が多いと思うんですが、そういった人達の楽しみはヴィニー・カリウタのプレイにもあったのではないでしょうか?ベック先生のバックで叩くヴィニーは勿論凄かったですが、個人的にはまだちょっと遠慮があるようにも感じました(勿論、曲によっては凄まじかったですが)。やはりセッションマンとしての顔みたいなものが頭を持ち上げて、“ジェフ・ベックの曲はこうあるべきだ”みたいな意識もあったんじゃないですかね?この辺が、同じフランク・ザッパ門下生であっても、何の遠慮もせずに攻撃的なドラムを叩くテリー・ボジオとヴィニーの違いであるような気もします。・・・2週間に渡ったジェフ・ベック日本ツアーの後半で、グループの演奏が更に良くなっている可能性も充分ありますが、このKarizmaのアルバムでの彼のプレイを聴くと、やはりもっと凄い事のできる人だと思ってしまうんですよ。ロベン・フォード達とやっている
Jing Chiも凄いテンションですからねえ。あのバンドの音楽はテンション高すぎて、僕なんて買ってから何度も聴いてません(笑)。
・・・ここまで読んでくると、このアルバムにはもの凄く難解な音楽が入っているんじゃないか?みたいに思われるかもしれませんが、決してそんな事はないんです。 ・・・まあ、実際凄い高度な曲と演奏が収められているんですが、
もの凄くロックしているんですね。・・・すみません、また“ロックしてる”です(笑)。各メンバーの音がビシッとしていて、気持ち良いんですよね。僕はフュージョンと呼ばれる音楽はそんなに好きではないし、特に日本のフュージョンバンドに多いチマチマした演奏(笑)、
・・・ややこしい“決め”ばかり盛り込んだ演奏を聴いても全然ピンとこない奴なんですが(と言うか、そういうの嫌いです)、KarizmaやLos Lobotomysのようなグループの演奏は好きなんです。このふたつのグループのメンバーの中には自分の事をロックミュージシャンだと思っている人は殆んどいないと思いますが(ルカサーぐらいですかね?笑)、彼等の出す音からは凄くロックを感じて、その辺が日本の面白くないフュージョンバンドとの違いだと思います。・・・あ、ギターとドラムの話しかしてないわ(汗)。・・・デヴィッド・ガーフィールドとニール・スチューベンハウスの2人も勿論上手いです(笑)。デヴィッドのラテンフレイバーを感じさせるピアノは好きですね。