80年代を代表するガールズ・グループ
The Go-Go'sのアルバムです。グループ解散後(現在は再結成して活動中)の1994年にリリースされた2枚組コンピレーションもの。・・・昨日紹介したNuclear Valdezの“Summer” に続く“夏になると思い出す曲”第2弾として、The Go-Go'sの
“Vacation”を思い出したんですよ。最近ではブッシュ大統領のテーマソングのようにもなっていますが(笑)、この曲は思いっきり夏のイメージなんですよ。プロモーションビデオを覚えている人には“そうそう!”と言ってもらえると思いますけど、The Go-Go'sのメンバーが水上スキーをしている(勿論本物ではない)あのビデオの印象が鮮烈なんです。久々に水上スキーしたくなってきたなぁ・・・。一度もした事ないけど、言ってみた。
Vacationで夏のイメージのThe Go-Go'sですが、今日久々に聴いてみて、もの凄く80年代であるとも感じました。
見事なスカスカ具合が80年代なんですよ(笑)。80年代も後半になると、デジタル機器の発達で妙にキラキラ、ゴテゴテしてきますが、前半ではスカスカ、ペラペラといった感じだったと思います。60年代、70年代のレコーディングトラックのチャンネル数が少ない事から来るスカスカじゃなくて、その当時流行っていたドラムやギターの音作りから来るスカスカ。
“軽い音”と言い換えても良いですね。・・・このアルバムには、未発表のLIVEテイクやリハーサルテイクも多数含まれているんですが、そこで聴ける全編コーラスがかかったようなギターの音に、僕は猛烈に80年代を感じてしまいました(笑)。キース・リチャーズも、“80年代はコーラスだった”と言ってましたからね(“Start Me Up”の音を意味します)。
まあ、それぐらい気持ちの良い音だったんですよね。コーラスとはちょっと違いますけど、他に80年代的スカスカサウンドを代表するものとして、“Private Eyes”時代のHall & Oatesなんかが挙がりますね。ああいう音は今聴くと確かに古臭さを感じてしまいますが、そのあとに続くゴテゴテサウンドや、今流行りのウソくさビンテージサウンドに較べればずっと気持ちの良い音だと思います。なんたって、疲れないのが良いですよ(笑)。まあ、どの音もその当時はカッコ良いと思っていたんですけどね。
そんな80年代にThe Go-Go'sは大人気だった訳ですが、このアルバムに付いているブックレットを見ると、本国アメリカでは社会現象のようにもなっていたみたいですね。あんなに下手だったのにグラミーにノミネートされたり(笑)、Rolling Stone誌の表紙を(下着姿で)飾ったり。ジョン・ベルーシのような人とも仲が良かったみたいなんですよ。また、
後のガールズ・グループに影響を与えたという面でもThe Go-Go'sの功績は大きいんじゃないですかね。彼女達の前にもThe Runwaysのようなバンドがありましたが、彼女達の音楽はどちらかと言うと男性的だったじゃないですか。男勝りのハードロックを演る(好意的に見ると・・・の話)という事で話題になったバンドはいましたけど、女性にしかできない音楽を演ったという点で、The Go-Go'sは結構偉いと思います。当時、女の子がバンドを組むと、必ずと言って良いほどThe Go-Go'sの曲をレパートリーにしていましたからねえ。彼女達を観て、
“女の子でもバンドができる、上手くなくてもバンドはできる”と思った人は多いんじゃないでしょうか。僕も最初からファンだったんですよ。特にギターの
ジェーン・ウィードリン。SG Jr.を持つ彼女の姿が可愛くてですね、・・・まあ、勿論年上な訳ですけど、可愛かったんですよ。と言うか、他のメンバーは大して可愛いとも思わなかったんですよね(笑)。若いのにおばさんくさいメンバーもいたし・・・。
・・・ここまで、音楽的な話としては下手としか言ってませんが(笑)、曲は凄く良く出来ているものが多いと思います。それに下手というのも、このコンピ盤を聴くまでは確認できないでいたんですよ。薄々感づいてはいましたが(笑)。このアルバムの前半に収められている彼女達のリハーサル音源が強烈なんですよね。もうホント、アマチュア丸出しで、楽器を始めて間もない女の子がただ一緒に演奏しているだけという感じの音なんです。これを聴いて、自分がバンドを始めたばかりの頃、練習をカセットテープに録音してみんなで聴いていた事を思い出す人も多いと思います。それぐらい素晴らしい音源なんです(笑)。The Go-Go'sというとガールズPOPバンドという印象がありますが、
初期の彼女達が出していた音は殆んどパンクで、下手は下手なりにロックしているんですよ。もの凄く。だから、アルバムの曲が進むにつれ、音が厚くなっていったり、LIVEの演奏がしっかりしてくると、ちょっと残念な気持ちになるんですよ(笑)。
The Go-Go'sにはスッカスカのヘタクソでいて欲しいんです。ボーカルの
ベリンダ・カーライルはソロに転向してからも成功を収めましたけど、僕はあんな彼女嫌いです(笑)。・・・実は、この記事を書き始めてから、The Go-Go'sが再結成していた事、自分が再結成アルバムを持っている事を思い出したんですが(笑)、その
“God Bless The Go-Go's”も演奏がまともすぎて面白くなかったんです。“それですっかり忘れてたんだな~”なんて思いながら引っ張り出してきたら、
ロジャー・マニングがメロトロンを弾いている事に気づいた・・(汗)。