1995年5月11日、テキサス州オースティンで行なわれた
スティーヴィー・レイ・ヴォーン・トリビュートコンサートの様子を収めたLIVE盤(映像版もあり)です。リリースは1996年。・・・本日深夜1:00からエキサイトブログのメンテナンスがあるので、スティーヴィーにまつわる思い出話は
こちらを読んでもらうとして(笑)、今日は曲の紹介だけしたいと思います。・・・スティーヴィーのトリビュートアルバムは他にもいくつかありますが、これは兄のジミーが中心となって企画され、生前のスティーヴィーと親しかった人達が集まって演奏した
“正真正銘のトリビュート”なので、内容の充実度ではダントツです。このアルバムに収められた演奏は、ビデオ/DVDと同じものですが、映像版では各出演アーティストのスティーヴィーに対する想い、スティーヴィーの細切れ映像(
“Live From Au-
stin,
Texas”と同じもの)なども収められています。あと、ジミー兄ちゃんの司会と(笑)。・・・それでは、アルバムを聴きながら曲の紹介に移りますが、映像版で確認できたデータなんかも交えて書きたいと想います。
トップバッターはボニー・レイットで
“Pride & Joy”。バックを務めるのは、Double Troubleに、スティーヴィーも尊敬していたギタリスト、デニー・フリーマンが加わったバンドです。ボニー・レイットは長年の愛器、ブラウンのストラトで素晴らしいスライドギターを披露していますが、“このコンサートに参加している他の誰も、ボニーの前でスライドなんて弾けなかった”とは、ジミー兄ちゃんの弁(笑)。“She's My Pride & Joy♪”を“He's My Pride & Joy♪”と変えて歌っているんですよ。2番手は
ジミー ・ヴォーン&Double Troubleで
“Texas Flood”、スティーヴィーも長年レパートリーにしていた曲ですが、最近ではジミー兄ちゃんもいつもこの曲演ってますね。この頃はまだシグネチャーモデルがなかったので、
The Fabulous Thunderbirds時代から愛用している'58年製の白いストラトを弾いています。カポをはめて人差し指で弾くその音は、弟のそれとは違うものですが、このトーンも最高です。3番目に登場するのは
B.B.キング。・・・このコンサートに参加しているギタリストの多くはストラトを使ってそれぞれ素晴らしい音を出していて、このアルバムは
“ストラトの音見本”と呼べるようなものでもあるんですが、さすがにB.B.は違いますね(笑)。いつも通りルシールを弾いています。演奏するのは、The Vaughan Brothersのアルバム
“Family Style”に収められていた
“Telephone Song”、ドラムがTilt-A-Whirl Bandのおっちゃんに代わっていますね。僕は、この人のタイコ大好きです。その割に名前も覚えていませんが(笑)。・・・え~と、ジョージ・レインズです。覚えておきましょうね。しかし、B.B.はどんな曲でも、自分の曲のように演ってしまいますねえ。ホント凄い人です。最後はジミー兄ちゃんとの掛け合いで終わります。
4曲目は
バディ・ガイで
“Long Way From Home”、これも“Family Style”の曲ですね。でも、原曲とはまったく違うアレンジ、スローブルースにして演っています。バディが弾いているのは黒地に白の水玉模様、ランディ・ローズモデルのストラトです(笑)。このギターにはレースセンサーPUが付いていますが、僕はどうもこのPUの音って好きになれないんですよね。何かちょっとコンプくさいんです。良い音のするPUだと思うんですけどね・・・。これはやはり、映像を観た方が圧倒的に面白い演奏ですね。さりげなくフィードバックを交えたり、”ショーマンバディここにあり”という感じなんです。続いてはエリック・クラプトンの
“Ain't Gone 'N Give Up On Your Love”、スティーヴィー作のスローブルースです。映像版では彼がスティーヴィーのギターを車のラジオで初めて聴いた時の話を熱く語っているんですよ。やはりLIVEでスローブルースを弾くクラプトンは上手いです。今までも何度か書いていますが、彼は人のアルバムやコンサートで、こんな風に弾く時の方が良いギターを弾くと思います。結構敵も多い人ですけどね(笑)。ここでクラプトンが弾いているストラトもレースセンサー付なんですが、レースセンサーはクリーンな音の方が良いと思うんですよね。個人的には。歪ませると妙に音が潰れるように感じるんです。・・・まあ、
レースセンサーが付いたストラトも1本欲しいですけど。水玉じゃないバディ・ガイモデルなんて良いですねえ。想像するだけならタダなんで、いくらでも言っておこう。6番目に登場するのは
ロバート・クレイ、スティーヴィーのデビューアルバムのオープニング曲
“Love Struck Baby”を演ってます。これはもう圧倒的に歌が上手いですね。ギターの音も最高ですけど。バイオレットのロバート・クレイモデルを弾いています。
アームレスのストラトも1本欲しいですねえ(笑)。ストラトって色違い、仕様違いで何本も欲しくなるギターだと思いませんか?ロバート・クレイまでの3人(+ジミー)は スティーヴィーの最後のコンサートの共演者でもあるんですよね・・・。
続いてDr.ジョンで
“Cold Shot”、この人のピアノは最高ですねえ。“ピアノが踊ってる”って感じで。歌も大好きです。・・・何て言うんだろう、
“全身音楽”みたいな人ですよね。
ニューオリンズ行きたいなぁ・・・。何でも言っとけ。言うだけならタダだ(笑)。・・・で、ラスト3曲は、この日の出演者全員が出てきて、セッション風に演るんです。ここでThe Neville Brothersのアート・ネヴィルも加わります。まずはジミー兄ちゃんの曲で
“Six Strings Down”、弟を始めとして、亡くなってしまったブルースマンに捧げる曲です。このセッションでは、各メンバーが尊敬するブルースマンの名前を曲に乗せて挙げて行くんです。B.B.やバディはこのリストにずっと載らないでいて欲しいですね。ホントに。セッション2曲目は
“Tick Tock”。これも“Family Style” からの曲ですが、これはもう名曲ですよね。僕のAll Time Favoriteナンバーのひとつです。リードボーカルはTilt-A-Whirl Bandの黒人のおにいちゃん達です・・・けど、これは原曲の方が良いかなぁ・・・。あの曲には思い入れがありますから。スティーヴィーの声で歌われるあの曲が良いんですよね。やっぱり。そして最後は
“SRV Shuffle”という曲ですが、これはもう完全にセッションですね。ジミー兄ちゃんによれば、“あの場にいる誰もがステージを降りたくない、もっと一緒に演奏をしていたい”と思って始まった曲なんだそうです。6人のギタリストがソロを回して行くんですが、それぞれが個性的な音で(6人中5人がストラトであるにも拘わらず)、誰がどれを弾いているのか一発で分かる辺り、流石です。・・・
黒いセミアコも欲しいですねえ(笑)。別にルシールじゃなくて良いですけど。
・・・こんな感じのアルバムで、“トリビュートというのは本来こうあるべき”という素晴らしいお手本のようなアルバムだと思います。このアルバムと前後して、ロック系アーティストが中心となったスティーヴィー・トリビュートのアルバムが何枚かリリースされたんですが、その事について訊ねられたジミー兄ちゃんは、“弟の曲が汚されていたりしたら嫌なので聴きたくない”みたいに言っていたんですよ。・・・そんなジミー兄ちゃんの代わりに僕が聴いてあげたんですけど、その殆んどが“ジミー兄ちゃんには聴かせたくないなぁ・・・”みたいな出来でした。中には、“お前、スティーヴィーのファンじゃないだろう!”とツッコミたくなるものもあったりして。誰とは言いませんけどね・・・。勿論、僕の好きなギタリストが参加しているから聴いてみた訳ですけど、そういった人の中にも、“別にここで弾かなくても・・・”と思う曲がいくつかありました。でも、今日紹介したこのアルバムに限っては、そんな事は全然ないので、スティーヴィーのオリジナルアルバムの次に、これを聴いてもらっても全然OKだと思います。