今年一番悔しかった事は、僕のFavoriteバンドのひとつであるLOS LOBOSが、約7年ぶりに行なった来日公演を観に行けなかった事なんですが(涙)、そんな僕の残念な思いを和らげてくれるかのように、日本公演の2ヶ月ほど前、7月29、30日に、ロックの殿堂、サンフランシスコのフィルモアで行なわれた、バンド結成30周年を記念したコンサートを収めたDVDが発売されました(フルアルバム、そして、それと対になるようなミニアルバムも発表して、久々の来日も果たすなど、今年はやけに活動が活発だなぁと思っていたら、30周年だったんですねぇ・・・、まあ、あまり関係ないような気もしますけど・・・笑)。
多くの日本人がそうだったように(?)、僕が彼等の音楽を初めて聴いたのは、やはり“La Bamba”で、その後もしばらくは、LOS LOBOSと言えば、
“La Bambaのバンド”という意識しか持っていなかったのです。恥ずかしながら。ところがある日、何気なく点けていたテレビの
“セサミ・ストリート”に、突然LOBOSのおっちゃん達が出てきたんですよ。デヴィッド・イダルゴ(当然、その時は名前も知らず・・・)はアコーディオンを抱えて。僕は思わず “お、LOS LOBOS”と口走ってしまいました。そこで彼等が演奏した曲は“La Bamba”みたいな曲では全然なくて、“Kiko And The Lavender Moon”という、何とも不思議な感じの曲でした。この時から、僕の中で、LOS LOBOSはちょっと気になるバンド、“La Bamba”だけではない(勿論、こういったメキシコのフォークソング等も、彼等の音楽の中の大きな要素なんですが)バンドという意識が芽生えたのです。遅まきながら。遅すぎるっちゅうねん・・・。
とりあえず“Just Another Band From East L.A.”という2枚組コンピレーション盤を買ってみたら、これがもうカッコ良かったんですよ。色んな音楽の要素が入っていて、ホント素晴らしかった。そこから遡って、アルバムも全部揃えましたよ。いつの間にか、彼らは僕のFavoriteバンドのひとつになっていたのです。僕は、彼等の持つ幅広い音楽性は、初期のアルバム1枚聴いただけでは見えてこないんじゃないかと思うんですよ。数年前に再発された彼等の幻のデビューアルバム “Del Este De Los Angeles”は、すべて
“マリアッチ!”といった感じのメキシコ/ラテン系の曲で占められているし、続くメジャーデビューアルバムなどは、もっとストレートな(チカーノ系)R&Rバンドのようになっています(その後、更に変化を続ける・・・というか、広がりを見せるのであった・・・)。彼等の育ったイーストL.A.という土地が、彼等の幅広い音楽性を生んだとも言えるのでせうか。僕の場合、最初にバンドの歴史が分かるコンピ盤を聴いて、逆にラッキーだったのかもしれませんね。・・・いや、彼等の素晴らしさに気づくのが遅かった自分に対する言い訳ですけど・・・。
そして、このフィルモアLIVE、LOS LOBOSのような長いキャリアを誇るバンドの30周年を祝うのに、これほどおあつらえ向きの会場はない訳で、コンサートの雰囲気も素晴らしく良いです。満員の客席は平均年齢高めという感じで、やはりヒスパニック系の人が目立ちますね。オープニングは“Good Morning Aztlan”アルバムから “The Big Ranch”、タイトル通りのでかいノリがたまりません。30周年だからといって、何か特別な仕掛けがある訳でもなく、普通にステージに登場して、普通に演奏していくんですが、この普通さ加減、おっさん達が肩肘張らずに、メキシコ~ラテン~ブルース~R&B~そして、ヘンドリックス/クリーム/ZEP世代であるという事を証明するかのようなハードなロックチューンといった、多種多様な音楽の間を自由に行き来するところに僕はシビレるんですよ。今回初めて彼等のLIVEに触れて(DVDですけどね・・・、また観れなかったですけどね・・・)、その思いは更に強くなりました。それと、DVDのオマケ映像 “Imported From E.L.A.”(コンサートの内幕ドキュメンタリー)に、ベースのおっちゃんが子供達に朝食を食べさせたあと、ベースを肩に掛けて、“それじゃ、父さん行ってくるね”みたいに、ふつ~にL.A.の家を出て行くシーンがあるんですが、そこに、このバンドのカッコ良さを見た気がしました。
バンドのスターは、やはりボーカルも取るデヴィッド・イダルゴとセサール・ロサスの2人という感じで、特にギターを弾きながら歌い、アコーディオン、バイオリン、しまいにはティンバレスまで叩いてしまうデヴィッドは
驚異的なミュージシャンと言う外ありません。セサールがドスの効いた声で歌うスペイン語の曲も良いんですよね~。
メジャーデビュー当時はバンドのドラマーの筈だったルイ・ペレス(笑)も、最近ではギターを持ってステージ前方に出てくる事が多いみたいで、ステージ上は音が溢れてます。デヴィッドは白いファイアバード(たまたまこのギターが気に入ってるのかと思っていたら、最後の方で色違いのファイアバードも使ってましたから、最近のデヴィッドはファイアバードの音が気に入ってるみたいですね)、セサールはES-335、ルイはレスポール・ゴールドTOPをそれぞれメインにしているんですが、どれもやけに新しい感じがするのは、今回のツアー前にギブソンの工場にでも行って、もらってきたんでしょうか?オマケ映像の中で、スタッフの1人がギブソンのロゴ入りジャンパー着ていたし(笑)。・・・白いファイアバードのデヴィッド・イダルゴ、僕、この人のギター好きなんですよ~。何気ない顔で、切れのある熱いフレーズを弾くところなど、僕の大好きな
ピーター・グリーンを彷彿とさせます(実際、LOBOSの2人のギタリストは、ピーターの大ファンらしいです)。
あくまでもマイペースに、客席を煽る訳でもないし、メンバー同士煽ってるようにも見えませんが、音は徐々にヒートアップしていって、お客さんも自然と良い顔になって 踊りだしたりするんですよ。会場の中は素晴らしい空気が満ちていたんだろうと思います。アンコールの“Mas Y Mas”では、“Crossroads Guitar Festival”に続いて、またしても(って言い方はないか・笑)ロバート・ランドルフが登場。・・・丁度良い機会だから、ここでハッキリ言ってやる!“ロバート・ランドルフ!お前は最高だ!” LOS LOBOSもホント最高のバンドです。もう、
“現在最強のオヤジバンド”と言い切ってしまいましょう!ミック・ジャガーやスティーヴン・タイラーみたいな妖怪はいないけど、このバンドはまじで凄いぞ!・・・大体ね、カエターノ・ヴェローゾ達と一緒にアルバム作っておきながら、PANTERAやSLAYERも聴いてるおっさんなんて他にいてまへんで(笑)。デヴィッドの事ですけどね。変なおっさんだなぁ・・・。
オマケ映像の中で、セサール・ロサスが “ドワイト・ヨーカムも、メリサ・エスレッジも、スティーヴィー・レイ・ヴォーンも、昔 俺達の前座やってくれたけど、みんなビッグになったね・・・俺達を除いて(笑)”などと言ってるんですが、別にビッグにならなくても構わない(ってか、充分ビッグだと思いますけどね)、好きな音楽ができればそれで良いみたいに思ってるのが、あのおっさん達のプレイからは伝わってきますね。その証拠に、世界的なバンドとなった今でも、ダンスパーティで演奏したりするらしいんですよ。
真のミュージシャンって、こういう人達の事を言うんだろうなぁ・・・と、つくづく思います。そんな 最強オヤジバンドの初のLIVE DVD、バンド結成30周年を祝う記念すべきDVD、
一家に1枚置いておこう!!
・・・と、強力にプッシュして、最初の方では “残念な思いを和らげてくれるかのように”などと書いてはみたものの、このDVDを観る度に、やはり今年10月の日本公演を見逃したという事実を後悔する事しきりです・・・(泣)。ホントのとこ、見逃して悔しい思いをしている
人の傷口に塩を塗るような恐ろしいDVDです。