カナダのギタリスト、コリン・ジェイムスのアルバムです。リリースは1998年。この人、80年代から活躍している人で(デビューは'88年)、既に長いキャリアを持った人なんですが、日本ではあまり知られていないし、僕もこのアルバム1枚しか持ってません(笑)。デビュー前、まだ20歳の時に
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの前座を務めたり(本名を芸名に変えるようアドバイスしたのもスティーヴィーなんだそうです。本名はColin Munn)、元々・・・今もか・・・ブルース・ギタリストとしてキャリアをスタートしたみたいですが、このアルバムで聴ける音楽は、タイトルからも分かるように、
ビッグバンドを擁したスウィング、ジャンプ・ブルースが中心です。
最近、映画
“Swing Girls”がDVD化もされましたけど、最近女子高校生の間でスウィングが流行ってたりするんですかね?僕はまだあの映画観てないんですけど、あんな風にJAZZを演る女の子が増えたら素敵ですよね~。ビッグバンドJAZZって楽しそうで好きです。“楽しそう”じゃなくて、楽しいに決まってますよね。演奏する方も、聴く方も。“ギタリストとビッグバンド”と言うと、やはり
Brian Setzer Orche-
straが有名ですが、僕もあのグループは大好きです。コンサートも何回か観ています。観に行く度に、ホントに楽しいLIVEだと思うし、彼等のショーマンシップには関心しますね。・・・まあ、毎回同じで変わり映えしないという穿った見方もできますが、ああいう音楽・・・アメリカの伝統芸能みたいな音楽に対して、そんな事言ってもしょうがないでよね。楽しんだ人の勝ちだと思います。ホントあのバンド上手いよなぁ・・・。ブライアンは勿論だけど、タイコとベースも最高ですよ。コーラスのおねえちゃん2人組も良いですね~。・・・って、これはブライアンの記事では無いんだった。
タイトルに
“The Little Big Band II”とあるように、彼がこういった音楽を演ったアルバムはこれが2作目らしいです。最初にそういうアルバムを出したのは'93年で、このアルバムを出すまでに5年のインターバルがありますが(その間に2枚のアルバムを出した模様)、これはやはりThe Brian Setzer Orchestraを中心としたネオ・スウィングブームの影響が少なからずあるでしょうね。最も、ブライアンの方は '94年に初めてビッグバンドとのアルバムを発表しているし、彼の大ヒット作
“The Dirty Boogie”も、このコリン・ジェイムスのアルバムとほぼ同時期にリリースされているので、コリン・ジェイムスとしても真似と言われては困るんでしょうけどね。 ・・・でも、やっぱりブライアンの方が派手で目立ちますかねえ。あっちはビッグバンドもちゃんとした固定メンバーだという強みもありますよね。グラミーも獲ったし(笑)。
・・・が、しかし、ジャケットを観てもらえば分かるように、コリン・ジェイムスは
非常にハンサムです。俳優でもやって行けそうなぐらい。もてるんでしょうねぇ・・・。地元ではブイブイ言わせてるんだろうな。奥さんいるのかは知らないけど。音の方も、この端正なルックスと同じような印象を受けます。
歌もギターもちょっとお上品な感じです。僕が若い娘を持つ父親だったら、“悪い事は言わないから、ブライアンとは別れて、コリンと付き合いなさい”と言いたくなりそうです。裏を返せば、ブライアンの方がロックンローラーとしての魅力に溢れていて、歌もギターもインパクトがあるって事なんですが・・・。でも(さっきからこればっかりだな・笑)、コリン・ジェイムスの音楽/ギターの方が、ブルースの要素が多いんですよね。そういった音楽が好きな人は、彼の方が気に入るんじゃないでしょうか。まあ、ブライアンもそういうギター弾けるんだろうけど・・・って、さっきから、コリン・ジェイムス褒める気があるのか、ないのか、ハッキリしませんね(笑)。いや~、ブライアンの事もホント好きなんでね~。あんなにギターの上手い人、滅多にいませんからね。
ジャケットの写真では、ブライアンのようにGretschのギターを持っていますが、彼はストラトも愛用しているようです。明らかにビグスビー付きのGretschを弾いていると思われる音も入っていますが、スローブルースなどでは、ストラトを使っているようです。中々良い音させてますよ。“凄く”じゃなくて“中々”とか言ってますけど(笑)。スタジオで即興的に作ったというインスト曲
“Triple Shout”以外はすべてカバー曲、キャブ・キャロウェイ、メンフィス・スリム、ウィリー・ディクソンの他、様々なアーティスト(いや、知らない名前も多いんで・・・)の曲を取り上げていて、そういうところからも、彼の古い音楽に対する愛情を感じますね。オープニングの
“Jumpin' From Six To Six”、レイ・チャールズの
“Mary Anne”、ジミー・マクラフリン(の事は全然知らなかった)の
“Think”辺りが気に入ってます。スティーヴィー・レイ・ヴォーンも演っていた
“Tin Pan Alley”も、スティーヴィーのそれとは雰囲気が違って良いですね(この曲をきっかけに2人は親しくなったんだそうです)。個人的には、歌にもギターにも、もひとつ押しが欲しい・・・と思いますが、ジャジーなスウィングではなく、
ブルージーなスウィングが聴きたい人には良いと思います。