Ska-Punk-Funk-Rockバンド、
Fishbone 4枚目のアルバムです。1991年リリース。昨日紹介したアルバムと同じ年に出たアルバムですが、この時代はこういった音楽を演るバンドが一気に増えた感じで、僕も良く聴いていました。リリースから既に15年近くが経っている訳ですが、今聴いても非常にカッコ良いと言うか、最近の どれも似たような音しか出していないラップメタルバンドなんかより
一枚も二枚も百枚も上手といった感じです。
Fishboneは'85年にミニアルバム
“Fishbone”でデビュー(結成は'79年)しましたが、その頃の彼等の音楽はスカの要素がかなり強く(スカは彼等の音楽の中の非常に重要な要素であり続けますが)、僕が最初に彼等を聴いた時も
パンキッシュなスカバンドという印象を持ちました。その頃の僕は、ハードロックを中心に聴いていたので、Fishboneが出てきた時も、“何か凄いエネルギーを持ったバンドが出てきたな・・・”と思ってはいたものの、アルバムを買ったりはしなかったんです(まあ、未だに初期のアルバムは持っていなくて、ベスト盤でお茶を濁していますが)。周りにそういうのが得意な人がいたりしたので、そっちにお任せという感じで。・・・基本的に若い頃の僕は、歪んだギターが入っていないと駄目だったんですよね~(笑)。彼等のこの路線は、3枚目のアルバム
“Truth & Soul”まで続いたと思います。勿論その間にも、例えば3rdアルバムで、カーティス・メイフィールドの
“Freddie's Dead”を取り上げるなど、音楽的に広がりを見せて行くのですが。
・・・そんなFishboneの音楽でしたが、'91年発表の この
“The Reality Of My Surroundings”で、劇的な変化を遂げるのです。少なくとも僕の中では
イメージチェンジと呼べるほどの大きな変化でした。新たに
ジョン・ビッグハムというマイルス・デイヴィスとも活動していた(らしい)ギタリストを加え6人組になった彼等が出す音は、これまでより大幅にロック色を感じさせるものになったんです。具体的に言えば、(僕の好きな)歪んだ音のギターが増えた訳ですが。彼等のごった煮の音楽性の中に
“Metal”という要素が増えたと言う事もできると思います。この音楽性の大きな変化には、'88年にデビューし大成功を収めたブラックロックバンド、
Living Co-
lourの存在が少なからず影響していると思いますが、Living Colourも Fishboneから影響を受けたバンドだったりするんですよね。・・・という感じで、ここにきて彼等の音楽は、まさに
何でもあり状態となり、Fishboneはある意味、
最強のバンドとなってしまったんです。ボビー・オロゴンの例を見ても分かるように、その気になったアフリカ系の人達は、最強と言えるのです・・・。
アルバムは、彼等のハード路線を象徴する
“Fight The Youth”で幕を開けますが、この上手さは半端ではないです。元々上手いバンドで、特にリズム隊の強力さには凄いものがありましたが、そこに凄腕のギタリストまで加わり、そんじょそこらのメタルバンドでは太刀打ちできないほどのヘビーさとテクニカルさを身につけました。ここまで演奏できるのって、Dream Theaterやスティーヴ・ヴァイのバンドぐらいじゃないですかね。まじで。勿論、これは純粋にテクニック的な話で、エネルギーの凄まじさでいえば、Fishboneに軍配を上げたいぐらいです。と言っても、アルバムを通してこの路線が続く訳ではなくて、Fishboneらしいユーモア感覚に溢れる(でも、歌詞はシビアだったりする)曲も入っています。このアルバムには
“If I Were A ... I'd”というLIVE録音の演説(は大げさか?)のようなパートが散りばめられていて、これなんかは非常にFishboneらしいと言うか、アメリカの親は子供に聞かせたくないものだと思います(笑)。
“Everyday Sunshine”という曲も非常に印象的ですが、これはハイパーなSly & The Family Stoneといった感じです。エネルギーが充満しまくったアルバムは、アコースティックギターのカッティングで始まる
“Su-
nless Saturday”という曲で幕を閉じますが、この曲もカッコ良いですよ。
この曲をカッコ良いと思わない人とは、友達になりたくないと思うほどカッコ良いです。
・・・'93年にリリースされた
“Give A Monkey A Brain...”で聴けるのも、こういった路線でしたが、その後レーベルを移籍して発表したアルバム
“Chim Chim's Badass Revenge”ではメンバーチェンジもあり、音楽性も少し変わりました。そして今のところ、2000年リリースの
“The Phychotic Friends Nuttwerx”が彼等の最新アルバムという事になっているようですが、これはThe Red Hot Chili Peppersのフリー、ジョン・フルシアンテ、チャド・スミス・・・アンソニー以外と書けば良いのか(笑)・・・や、Jane's Addictionのペリー・ファレル、ジョージ・クリントン、リック・ジェイムスにNo Doubtのグウェン・ステファニ・・・と、非常に多彩なゲストが参加したアルバムです。Slyの
“Everybody Is A Star”のカバーがカッコ良いんですよね~。突然スラッシュメタルになったりするんですよ(笑)。
Fishbone、今挙げたバンドが好きな人は勿論、ラップメタルバンドに飽きてきた人(て言うか、あんなの飽きるだろ・笑)にも聴いて欲しいバンドですね。