ナマステ。早くも3月に突入し、いよいよ春らしくなって参りました。花粉症でお悩みの皆さん、くしゃみ出てますか?目痒いですか?僕はとりあえず目が痒いです。・・・と言うか、お久しぶりです。またしても間が空いてしまいました。ジェフ・ベックのコンサートを観てから既に1ヶ月が経ってしまいました。でも、その話まだ終わっていないんですよ(汗)。“そんな古い話もう良いじゃないか、今更誰も気にしていないんだし” という声が色んなところから聞こえてくるような気がしますが、やはりこれを終わらせておかないと次に進めません。ホントいい加減な奴なのに、変なとこきっちりしててすみません。思い出話はとっとと終わらすので勘弁して下さい(うそ泣き)。ってか、とっくに色々忘れてるかも(笑)。
・・・開演予定時刻を5分ほど過ぎて始まった2月9日のNHKホール公演、オープニングナンバーは4年前のツアー同様、“Beck's Bolero”でした。・・・と、今更書くのもマヌケですねえ(笑)。書き始めて実感しました。まあ良いや、始めたからには最後までやらないと・・・。まずはバックの3人、ヴィニー・カリウタ、デヴィッド・サンシャス、タル・ウィルケンフェルドがステージに登場したんですが、噂の女性ベーシスト、タルちゃんの小柄なことにまずビックリ・・・と言うのは大袈裟ですね、彼女が演奏している姿は既に色々目にしていたんだし・・・ビックリはしませんでしたが、感心しました(笑)。“うわ~、ホント小っちぇな~、この子”と・・・。タルちゃん愛用のSadowskyのJazzベースモデルは、彼女用(?)に若干ダウンサイジングされている筈ですが、それでもまだ大きく、重そうに見えましたからね。そんな小さなタルちゃんでしたが、演奏はホントに素晴らしかったですね。
2007年のCrossroads Guitar Festivalでお披露目され、彼女を一躍有名にした“Cause We've Ended As Lovers”等で聴かれるメロディアスなプレイ、“Space Boogie”等でのハイテンションなプレイ、 “Brush With The Blues”等でのドッシリとしたプレイ、どれも文句のつけようがありませんでした。それに加えて顔も可愛く、小柄であるのに巨○、時にステージを大股で歩き回る彼女は、今回のツアー、今のベックバンドのスターであることは明らかだと思います(4年前のスターは勿論ジミー・ホール・笑)。メンバー紹介の時も彼女に対する声援も大きかったし、日本でもファン増やしたでしょうね。
・・・観客の側でさえそう思ってしまうんですから、オヤジ3人の他のメンバーに“タルちゃん効果”が出ない筈は無くて、3人のおじさん達のテンションも終始高めでした。今回のツアーでのジェフ・ベック、妙に衣装衣装した衣装を身に着けていたことでも話題になりましたが(今月号のPlayerの表紙を飾った白尽くめ姿は強烈・・・)、あれもタルちゃんに構って欲しい、少しでもカッコ良く思われたいという気持ちの表れではないかと踏んでます。でもまあ、僕が観た日は、黒のベストに白のスカーフ、足元は編み上げブーツという、これまでのベック先生のイメージとそれほど違ったものではなくて、個人的には助かりました(そう言えば、朝日新聞に掲載されていた普段着姿?も迫力ありましたねえ)。・・・衣装に加え、マーシャルのアンプもここ数回のツアーで使っていたものと異なっていたことは前回の記事にも書きましたが、出てくる音も当然変わってました。依然“ジェフ・ベックの音”であることには変わりありませんが、これまでよりも歪み成分が減って、より生音に近づいていたよう感じました。近年(つっても、既に20年以上経ってるか?)、指弾きに完全移行して、より細かいニュアンスに拘るようになった先生には、こういったアンプ/音の方が向いていると思いますが、僕が今回のコンサートを観て“円熟期に入ってきたのかな?”みたいに感じたのも、この音色の変化が関係しているのかもしれません。今にして思えば。ベック先生がプレイ中に頻繁にいじるボリュームやトーンにダイレクトに反応し、常にクリアかつ太い音を出す謎のマーシャル(Playerの綴じ込みポスターにその姿がチラッと写っていましたが、コントロールパネルの位置がやっぱり普通じゃないですね)は、先生の新たな(古くて珍しいマーシャルかもしれないけど・・・)武器となっているのではないでしょうか(音的には若干古くささを感じさせるものになっている訳ですが)。
・・・バンドの2大スターを支える他2名(笑)についても触れておくと、ドラムのヴィニー・カリウタは相変わらず手数足数ともに多く、そのやかましさが先生のケツを蹴飛ばして・・・ちょっと品が無いですね・・・え~、先生のやる気に火を注いでいるように感じました。・・・と言うか、前回観た時からそれは感じていたんですが、今回改めてそう感じました。ヴィニーにしてもまるで遠慮なしでしたから。ドラムのヘッドやシンバルを親の敵のように引っ叩いてました。一部ファンには余り評判もよろしくないそのやかましさですが、先生がこういった手数足数の多いドラマーを好むのは明らかですよね。カーマイン・アピス然り、
サイモン・フィリップス然り、
テリー・ボジオ然り。ヴィニーが“Led Boots”(だったかな?)のイントロを
“ドカドカドカッ!”と叩き出した時、先生は耳を抑えて“うるさっ!”みたいなジェスチャーをしながらステージの袖の方へ逃げて行ったんですが、僕はそれを観ながら“ホントはこういうの好きなくせに・・・” と思いました(笑)。あと、“Nadia”で聴かせてくれたタブラ風のプレイ(パッドか何かを素手で叩いてる?)が前回同様印象に残りましたね。テリー・ボジオの身体が空いたりすれば話は別ですが(あの人もワーカホリックみたいなとこあるから当分は無理でしょうねぇ・・・)、今のベックバンドにヴィニーは無くてはならない存在なのではないでしょうか。・・・そしてもう1人、キーボードのデヴィッド・サンシャスはデヴィッド・サンシャスでした(笑)。ってかまあ、ぶっちゃけた話、僕はベックバンドのキーボーディストは、マックス・ミドルトンとヤン・ハマー以外は、その存在に重きを置いていない感じなので(好きなのは断然マックス・ミドルトン)、結構誰でも良いんですよね。甚だ失礼な話ですが。・・・なので、今回も“あ、デヴィッド・サンシャスなのね~”程度の感想しか持ちませんでした。サンシャスファンの皆さん、すみません。
・・・そんなメンバーの演奏をバックに弾きまくるベック先生の演奏について今更クドクド書く気はありませんが(既にウンザリするほど長いし・・・)、先生の30年以上に及ぶキャリアの中で、60歳を超えた今がギターのテクニック的にもピークと呼べる時期なのではないでしょうか。・・・まあ、常人とは決して呼べない先生のことなので、ひょっとしたらこの先もっと凄くなるのかもしれませんが(汗)、前々回の記事にも書いたように、僕は今回のコンサートを観て、“さすがのジェフ・ベックも円熟期に入ったかな?キャリアもまとめの段階に入ったかな?”みたいな感想を持ちました(完成間近とも噂される新作が、これまたもの凄かったりして・・・)。自分のアンプの前よりもステージ中央付近・・・ヴィニーやタルちゃんの近くまで寄って行って(まるでニール・ヤングとCrazy Horseのように)楽しそうにギターを弾いている姿からも、今の4人での演奏を気に入っていることが窺えました。こういうのも絶対タルちゃん効果だと僕は思いますが、この日のジェフ・ベックは終始ノリノリで、そのテンションの高さはアンコールを終えた後、最前列の観客にそれまでずっと使っていたギターを手渡すというとんでもない形でも表現されました(とっくの昔に出回っている情報だと思いますが)。これには驚きましたねえ。ギターを(ひとまず)受け取った人は当然として、それを観ていた僕達も驚きましたが、それ以上に驚いたであろうと思われるのが先生のローディです(笑)。メチャメチャ焦った様子で、速攻でそのギターを取り戻しにきてました。でも、ジェフ・ベックから直に手渡されたギターを“はい、そうですか”と素直に返すファンなんて居る筈ないので、“ローディ対ネックを掴む数本の腕”という光景がしばらく繰り広げられていましたが、最終的にはローディが無事に(?)取り返していました。僕には、先生がそれを観ながら“手を離さなければ殴るぞー!”みたいなジェスチャーを(勿論笑いながら)していたように見えたんですが、“あんたが余計なことするからだろう!”って話ですよね(笑)。天才の考えることは分からん・・・。
・・・やっぱり長くなりましたね(汗)。でも、もう少し続けます(笑)。・・・え~、
この日のセットリストを観ても分かるように、今回の・・・と言うより、このところのツアーで演奏される(またはされた)曲目は、自身のキャリアから万遍なく選んだ“Jeff Beck Greatest Hits”的なものになっていますよね。また今回のツアーは、ジミー・ホールという素晴らしいボーカリスト(涙)も同行させ2部構成で行われた4年前のツアーとは違い、約90分で全編が終了するというあっさりとしたものでした。個人的には、そのボリュームに若干の物足りなさは感じたものの、各メンバーが聴かせたくれた演奏の濃さには充分満足がいったし、巷で賛否両論のある“新作アルバムを出さないままの興行”というのにもさほど文句はありません(少しはあると言うことか?)。 “ジェフ・ベックが来日する、ジェフ・ベックのギターが生で聴ける”となれば、やはり観たくなると思うので。それでも敢えて注文をつけるとすれば・・・と言うか、ちょっとしたリクエストをするのであれば、“こうしたツアーを続けてもらっても良いんだけど、他の曲も聴かせて下さい”ということですかね。勿論、新作に伴うツアーが行われればそれに越したことはありませんが、過去の曲を演るにしても、もっと他の曲・・・本人も弾き方を忘れているような曲も演って欲しいんです(“Definitely Maybe”なんて良いですねえ)。“哀しみの恋人達”がストラト用にアレンジされ(奏法的には)生まれ変わったように、昔の曲を今のジェフ・ベックが弾くとどうなるかというのも観てみたいんですよね(ボーカルナンバーを復活させるなら“Hi Ho Silver Lining”が良いですね・笑)。ここはひとつ、御検討お願いします。・・・と言うことで、約1ヶ月を掛け(汗)書いてきたジェフ・ベックのコンサートリポートを終了したいと思います。今回も長々と失礼しました。・・・あ、そうだ!もうひとつ書いておきたいことがありました!今回、ジェフ・ベックがチューニングするシーンを観たんですよ。4年前のツアーで僕が2回観たコンサートでは、“ギターのペグに手を持って行くジェフ・ベック”というのを1度も観なかった気がするんですが、今回は確かに目撃しました。間違いなくペグ回してました。自分で。“あっ!ジェフ・ベックがステージでチューニングしてる!ジェフ・ベックも人の子なんだ!”とか思ってホッとしましたよ(笑)。・・・でも、チューニングをきちんと終える前に次の曲に突入し、メロディを弾きながら更にペグを回す姿が余りにもジェフ・ベックらしくて、“あ、やっぱりこの人、普通じゃない・・・”とも思いました。