1994年にリリースされたピーター・フランプトンの、通算何枚目になるか分からない(なんていい加減な~)スタジオアルバムです。・・・12枚目とかそんなもんですか?2003年には久々のNEWアルバムが出ましたが、この
“Peter Frampton”も、まだ2番目に新しいアルバムという事になりますね。もう10年以上も前に発表されたアルバムですが、僕は未だに新鮮な気持ちで聴く事ができます。・・・と言うのも、買ってから何度も聴いていなかったので(笑)。先日、
“あの頃ペニーレインと”に関する記事を書きながら、“Fra-
mpton Comes Alive!”を聴いていたんですが、それによって僕の中でフランプトン再評価ブームが起こっているような感じです(笑)。
今更言うまでもない事ですが、僕のように70年代からロックを聴き始めた者にとって
“Frampton Comes Alive!”というアルバムは、もの凄く大きなものでした。 当然、それは日本だけの話ではなくて、世界的にそういう感じだったと思います。映画
“Reality Bites”の中に、ベン・スティラーの
“Frampton Comes Alive! は僕の人生を変えた”と言うセリフがありましたが(これ、以前も某所で書いたな・笑)、アメリカなんかじゃそう思っている人も結構いるんでしょうね。まあ、僕はそこまで大きな影響を受けてはいませんが、70年代の想い出と共にあるアルバムである事は間違いありません。・・・でも、正直な話、彼の栄光は、このアルバムと次に出したスタジオアルバム
“I'm In You”がピークで、そこからは完全に下降線を辿っていたと思います。彼が出演した映画
“Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band”が、見事にコケてしまったのも痛かったですね(僕もちゃんと観た事はないです、エアロの“Come Together”なんてカッコ良かったですけどね)。彼の人気を頂点に持っていった“Frampton Comes Alive!”ではあるんですが、あのアルバムは、それまで彼が獲得してきた男性ファンの“フランプトン離れ”も引き起こしたそうなんです。あのアルバムによって、彼のコンサートで前の方にいるのは女の子ばかり・・・という状況が生まれたらしいんですよ。まあ、無理もないっちゃあ無理もないんですが、それまで応援してきた男性ファンにしてみれば、やはり面白くなかったんでしょうね。
・・・そんな感じのピーターだったので、ぶっちゃけ、彼のアルバムを持っていると言っても、“Frampton Comes Alive!”と“I'm In You”の2枚だけ・・・みたいな人も多いんじゃないでしょうか?と言うか、僕が殆んどそのようなもんなんですけど(笑)。他にHumble Pieのアルバムとかを持っていても、ピーターのアルバムはそんなもんです。裏を返せば、それだけあの2枚のアルバムは、ピーター・フランプトンを代表するもので、極端な話、その2枚・・・いや、“Frampton Comes Alive!”1枚だけでも聴いていれば、他のアルバムはいらないという気持ちにさせるアルバムだと思うんですよ(笑)。“あとはベストアルバムでもあれば良いか”といった感じで・・・って、それも僕ですけどね。でも、ピーターをなめたらあきませんよ。・・・誰もなめてませんか?こうやって改めて彼のアルバムを聴いてみると、彼のギターやボーカル、そして勿論楽曲の素晴らしさを実感せずにはいられません。プレイもそうなんですが、特に彼のギターは
音色が独特なんですよね。
ちょっとハスキーな声も非常に特徴的だと思います(70年代の少女達は、ここにシビレていたんでしょうか?)。
“ピーター・フランプトンのギター”で、まず思いつくのは、
3PUのレス・ポール・カスタムと
トーキングモジュレイターですが、今回はその話は置いときまして・・・、彼のギターの音には、きらびやかなところがあると思いますが、70年代から音色には拘っていた人だと思うんですよ。具体的に言うと、LIVEに於いても、
マーシャルや
アンペグのアンプと一緒に
レズリースピーカーも鳴らしていたらしいんです。あと、
ビンソンのエコーを繋いでいたり。まあ、シンプルなセットではあるんですが、あの時代に、こういった機材をステージにも持ち込んで、ナチュラルなコーラス効果を生むようにしていたというところに、彼の音に対する拘りを感じずにはいられません。この事は、彼はアイドルロッカーなどではなく、本格的なギタリストであったという証拠だと思います。プレイ的にも、彼はケニー・バレルやウェス・モンゴメリーといったJAZZプレイヤーからの影響も受けているらしくて、それが普通のロックギタリスト的ではない指の動きや、メロディックなソロに繋がっていると思います。
80年代の低迷期を何とか乗り切ったピーターが(デヴィッド・ボウイのツアーバンドに参加した事もありましたね。ボウイとはアートスクール時代からの知り合いみたいです)、90年代に入って初めてリリースしたのがこのアルバムです(結果的に、90年代に出したスタジオアルバムは、これ1枚のみだったようです・・・)。ライナーによると、このアルバムに収められた曲は、すべてアコースティックギターかアコースティックピアノによる弾き語りで作られたそうなんですが、1曲目から非常に元気いっぱいで、多くの人が
ピーター・フランプトンと聞いてイメージするような曲ばかり入っていますね。ピーター・フランプトンの楽曲のイメージというと、やはりメロディアスで、ギターの音もどこか爽やかな感じ・・・、曲によってはアコースティックギターも多用されていて、そんなサウンドの上に、ちょっとハスキーな声が被さってくるというものだと思いますが、そういった期待に見事に応えてくれる音が聴けるアルバムです。
僕は彼のボーカルも個性的だと思いますね。・・・まあ、これは大部分がその声質によると思うんですが、少しハスキーで搾り出すような発生ですよね。声域は決して広くない・・・と言うより、狭い方だと思います。盟友スティーヴ・マリオットとは違って。 ・・・あ、そうなんですよ。って、別に忘れてた訳ではないんですが(笑)、このアルバムには、
スティーヴ・マリオットが参加しているんです。スティーヴは、このアルバムがリリースされる3年前に既に亡くなっていた訳ですが、彼等が再び一緒に何かをやろうとしていた時期に作ったデモテープを元に、サンプリング等のテクノロジーを利用して、アルバムに収められるクォリティに持っていったらしいです。2人がボーカルパートを分け合う、この
“Out Of The Blue”は、R&B調の曲で凄く良いです。過去の確執を捨て、再び一緒に演れる事になった喜びが伝わってくるような曲ですね。スティーヴへの鎮魂歌
“So Hard To Believe”も収められているし、それらの曲以外でも、とにかくピーターのやる気が伝わってくる、中々気合の入ったアルバムだと思います。“あの頃ペニー・レインと”に出演していた役者ではないですけど、 “70年代のロッカーってのはなぁ・・・”と教えられているような気持ちになりますよ。
・・・最後に、またしても“あの頃ペニー・レインと”情報ですが、最初に観た時には気づきませんでしたが(普通気づきません・・・)、ピーター・フランプトンは映画にも出演していたんですよね。今回確認しましたが、ホテルの部屋で、色んなバンドのマネージャー達が ビールとペニー・レインを賭けてポーカーをするシーンがありましたけど、そこでゲームに勝つのが ピーター演じる
Humble Pieのマネージャー(笑)です。セリフもしっかりあるんですが、カツラとサングラスで変装(?)しているので、すぐに彼とは分かりません。・・・最近の彼はホントにカツラを必要としてそうですね(涙)。