新企画
“こんなバンドいたなぁ”シリーズ第1弾(第2弾があるかどうかは未定です・・・)として、本日御紹介するのは、
BAD 4 GOODが唯一残したアルバムです。一部のハードロックファンや、スティーヴ・ヴァイのファンにしか憶えられていないバンドだと思いますが、スティーヴ・ヴァイのプロデュースでデビューを飾った
平均年齢14歳の少年グループです(ギタリストのトーマス・マクロクリンはレコーディング時は12歳・・・笑)。それを聞いて、“あ~、いたなぁ、そんなバンド”と、思い出した方もいるかもしれませんが、あのバンドです。・・・今までも、僕の紹介してきたアーティストには“いたなぁ”みたいな人達が少なくなかったので、“何を今更・・・”といった感じだと思いますが、実は、“こんなバンドいたなぁ”というよりも、僕が“こんなCDも持ってたか~”という感じで思い出したアルバムを紹介しようと思ってるんですよ。マンネリ防止には、よく聴いたアルバムだけではなくて、こういったアルバムを紹介するのも結構有効かと思いまして(笑)。
このバンドがデビューしたのは'92年ですが、80年代末から90年代初頭と言えば、Nirvanaの大ブレークによってグランジが台頭してくる時期であり、The Black Cr-
owes等の70年代を思い起こさせるシンプルなR&Rバンドも人気を博していた時期ではありますが、テクニカルなギタリストを主役としたハードロックバンドの人気もまだまだ高かった時期でした(・・・こういったバンドが妙にグランジを意識したアルバムを作るようになってから、ハードロックの人気に翳りが出てきたように思いますねぇ。ファンの期待を裏切るようなアルバムを作った事によってセールスも落ちて、結局バンドは解散・・・みたいな)。だから、我々リスナー側としても、まだハードロックがハードロックらしくあって、更には新しくて活きの良いバンドも次々に登場したこの時期は、選択肢が多くて楽しい時代だったと思います。このブログでたまに思い出したように、その頃に発表されたアルバムを紹介するのも、そういった理由があるような気がします。 ・・・で、そんな感じのグループや、テクニカルなプレイヤーに対する人気も高かった時代なので、僕もしっかりこういうアルバムを買っていたんですね(笑)。
バンドの売りでもあった
トーマス・マクロクリンくん(・・・と言うか、この少年の為にメンバーを集めて組まれたようなバンドなんですが)は、もっと小さかった頃に、NAMMショー(アメリカで毎年行なわれている楽器の見本市)のデモ演奏で注目を集め、スティーヴ・ヴァイのプロモーションビデオに出演したりした後、満を持して・・・といった感じで、バンドでのデビューを飾ったのです。ボーカルの
ダニー・クックシーくんは、子役としても活躍し、“ターミネイター2”に出演していた事でも知られていましたね。ベースの
ザック・ヤングくん(何かメチャメチャロックな名前ですね、AC/DCにザック ・ワイルドが加入したような)は、ベース専門学校の卒業生、そして注目はドラムの
ブルックス・ワッカーマン、チャド・ワッカーマンを兄に持ち、後に
Infectious Gr-
oovesや
Suicidal Tendencies等でも活躍した彼ですが(今はBad Religionにいるんですか?)、この頃からもの凄く上手いです。このアルバムをレコーディングした頃は、まだ12歳とかそれぐらいだったみたいですが・・・(汗)。
スティーヴ・ヴァイがプロデュース、アレンジ、エンジニアリングのすべて担当していて、アルバムに収められた曲の殆んどにクレジットされてもいますが、音楽的には、
スティーヴ・ヴァイ流産業ハードロックといった感じがします。・・・これは、別に悪い意味で言っているのではなくて、自分が演りたくてもできないようなコマーシャルな曲(やはり、彼はギターヒーローである自分を意識している筈ですから・・・)を少年達に演らせているといった印象も受けるんですよ。アルバムのオープニングを飾るのは、フィル・ライノットの
“Nineteen”、僕はここでまず1ポイントあげたい気分です(笑)。アルバムを通してコーラスの重ね方も非常に凝っていたりと、スティーヴ・ヴァイの趣味丸だしで、どこか デイヴ・リー・ロスのアルバム“Skyscraper”のような雰囲気も感じさせますね。Tears For Fearsのような
“Devil In The Angel”や、ボーカルハーモニーが美しい
“Slow And Beautiful”、パワーバラード
“Nothi-
n' Great About A Heartache”といった曲は、誰が演奏しているかとか、メンバーの年齢がどうといった事に関係なく良い曲で、ヒット性も充分だったと思います。
アルバムには、わざわざ
“トーマス・マクロクリンがすべてのギター、1音残らず弾いています”とクレジットがあるんですが、このアルバム以前にビデオで観た彼のギターに較べると、音色が格段に良くなっていて(最初に観た彼のプレイは“ギュルルギュルル”みたいな速弾きだけが目立っていて、単なるビックリショーといった感じも無きにしも非ずでした)、この辺はスティーヴ・ヴァイのエンジニアリングの勝利といった感じがしなくもありません。また、フレージングもモロにスティーヴ・ヴァイを感じさせるものが少なくなくて、彼がトーマスくんに“こうして弾きなさい”みたいな事を言っていたような気もしますが、それをちゃんと弾けてしまう辺りはやはり凄いです(まあ、この辺も編集でどうにでもなりますけど・・・)。その後、ドラマーのブルックスくん以外の活躍を耳にする事は殆んどありませんが(スティーヴも今度の来日の時、
G3.5 とか言って連れてきてあげれば良いのにな~)、こういったバンドがデビューできた時代を僕は決して嫌いではありませんでした。
ちなみに、ジャケットに写っている子供は、スティーヴ・ヴァイの長男、
ジュリアンくんらしいです。