・・・エディ・・・やっぱりここからはイーディと書こうかな、これまでは日本のレコード会社の表記に従っていたんだけど、このアルバムは国内盤のリリース無いし。彼女の呼び方変えるなら今しかない・・・って、何つまらないことに拘っているんでしょうか?(笑)・・・90年代初頭までNew Bohemiansというバンドの一員として活動していたイーディ・ブリケルがバンドを解散(?)して、初のソロアルバム“Picture Perfect Morning”を発表したのが1994年、この2ndソロ“Volcano”をリリースするまで実に9年(!)ものブランクが存在していたことになります。New Bohemiansの2nd “Ghost Of A Dog”を取り上げた時にも書きましたが、僕はその1stソロに対して余り良い印象を持っていませんでした。・・・う~ん、ちょっと違うな、“気に入っていなかった訳ではないけど、もひとつしっくり来なかった”という感じですかね。あのアルバムは当時、イーディと結婚してまだ間もなかったポール・サイモン(言うまでも無くS&Gのあの人)がプロデュースを担当していて(実際にはS&G時代からの付き合いがあるエンジニアとの共同プロデュース)、彼は若い嫁さんの為にやけに奇麗な音を用意してあげたんです。まあ、嫁さんに良いとこ見せたかったポール・サイモンの気持ちも分からなくは無いですけどね~。って、実際に彼がどう思っていたかは分かりませんが、ポール・サイモン(ともう1人)による妙に小奇麗なプロダクションと、イーディ・ブリケルという奔放なシンガーのマッチングに、ちょっとした違和感を感じてしまったのは事実です(バンド時代のイーディが小汚かったと言ってる訳ではない・笑)。曲、歌、演奏、どれも高レベルなアルバムだとは思いますが、どうもしっくりこなかったんですねえ。“当時のイーディは幸せボケだった”とまでは言わないまでも、アルバム全体から漂う雰囲気が緩めで、バンド時代には確かに存在していたファンキーな要素(音楽的な意味に限らず)が減っちゃったなぁ・・・と感じるアルバムでした。
・・・で、ようやく2ndアルバムの話(相変わらず本題までが長い・・・)、僕にはウケが良くなかったポール・サイモンに代わって、この“Volcano”のプロデュースを担当したのはチャーリー・セクストン、80年代にはアイドルロッカーとして売り出されたこともあるあの人です(テキサス繋がり?)。その後の彼が、Arc Angelsでの活動等を経て、ボブ・ディランのバックを務めるほどの本格派に成長したのは多くの人の知るところですが(ってか、元々本格派なんですよね、10代であんな演奏が出来たんだから・・・)、このアルバムでも素晴らしい仕事をしています。イーディの旦那、出る幕無し。ギタリストとしての自分は極力抑えて、イーディの書く曲の世界を捉えることに徹しています。他のメンツがまた凄い。殆どの曲(13曲中9曲)でリズム隊を組んでいるのは、スティーヴ・ガッドとピノ・パラディーノという非の打ち所の無い2人、そこにアンディ・フェアウェザー・ロウ(1曲)やカーター・アルブレクトというナイスなセンスの鍵盤奏者(この人の名前今知った、彼が2年前に撃たれて亡くなったことも今知った ・・・)が絡んでくるんですから、その演奏が悪い筈ありません。どの人も素晴らしく歌心のあるプレイを聴かせてくれています。先程も触れた通り、ギタリスト/チャーリー・セクストンは目立ったプレイは決してせず(ギターソロらしいギターソロがあるのは、ちょっとブルージーな“Come A Long Way”位ですかね)、燻し銀とも言えるプレイで曲を盛り立てています(この言い方矛盾してる?)。メンバーをほぼ固定してバンドっぽい演奏としたこともアルバムの雰囲気を良くするのに役立っているのではないでしょうか。・・・そして肝心の曲、イーディが9年間書き溜めていた(?)曲はどんな感じかと言いますと、かなり落ち着いた印象を受けるものが多いです。決して明るくは無いですね。ジャケット写真の色合いがアルバムの持つトーンも映し出している感じです。結婚して10年経てば色んなことがあったでしょうからね~。って、また勝手な想像してますが(笑)、普通に歳を重ねれば、かつては自然児としてならしたイーディにもこういう変化があって当然だと思います。New Bohemians時代とは一味違う “大人なイーディ”が楽しめるこのアルバム、秋の夜長に如何でしょうか?