1990年にリリースされた、エイドリアン・ブリュー、5枚目のソロアルバムです。・・・発売から既に15年が経っています(汗)。昨日はHip-Hopのアルバムを紹介するフリをしてバケットヘッドの事ばかり書いていたんですが(笑)、それを書き終えた時に、“バケットヘッド以前の変なギタリストといえば誰だろう?”という考えが頭に浮かびました。そして一番に思いついたのがこの人です、バケットヘッドとはまるでタイプは違いますが、彼以上に
孤高の人だと思います。少し前に、妙にエイドリアン・ブリューを聴きたくなった時期があって、こういうところにも書きたいなんて思っていたんですが、ついにその時がやってきたという感じです(笑)。
・・・で、その時から、“どのアルバムにしようかな?”とか考えてながらアルバムを聴いていて、一応
“The Acoustic Adrian Belew”に決めていたんですが、それだと“変なギタリスト”からは遠ざかる事に気づきまして・・・(笑)。という事で、この
“Young Lions”に変更したんですが、このアルバムにはデヴィッド・ボウイが参加しているんですよね。最近、ボウイファンの方にコメントを頂いたからという訳では決してないんですが(笑)、なるべくPOPなアルバムにしようと思ったら、このアルバムになりました。このアルバムの前作
“Mr. Music Head”が良いかな?とも考えましたが、今日聴いたらこっちの方が良かったんですよ。明日になれば、また違ってくるのかもしれません。
エイドリアン・ブリューというと、(日本ではダイキンのCMでもお馴染みの)ギターで象や犀といった
動物の泣き声を再現する事で有名になった人でもありますが、僕の場合はソングライターとしての彼が好きなんです。・・・大体にして、動物の泣き声や他の楽器の音色の再現というのは、彼のプレイのほんの一部分でしかなくて、何よりも凄いのは、そういう事をしようとする発想だと思うんですよね。エイドリアン・・・ここからは親しみを込めて
エイドリやんと呼ぶ事にしますが・・・エイドリやんがホントのとこどれぐらい“普通のギター”を弾けるのかは分かりませんが、世間一般的に言うところのテクニカルなギタリストではない彼が、デヴィッド・ボウイやデヴィッド・バーンのような先鋭的なアーティストと共演したり、フランク・ザッパやロバート・フリップといった超テクニシャンのバンドに参加しているのは、彼の
音楽に対するセンス、自由な発想が誰よりも凄いからだと思います。練習して身につくものではないものをエイドリやんは持っているんですね。
それに、エイドリやんは
素晴らしいソングライターで
ボーカリストでもあるんですよね。エイドリやんのビートルズ好きは有名ですが、そんな彼が書く曲はPOPな感覚に溢れていて、伸びやかな歌声も非常に気持ち良いものだと思います。エイドリやんは “The Acoustic Adrian Belew”で
“Crying”を、このアルバムでは The Traveling Wilburysの
“Not Alone Anymore”をカバーしていますが、彼のボーカルはロイ・オービソンの影響大なんですよね。昔はそんな事気づきもしませんでしたが、最近になってようやく気づきました(笑)。声質も少し似てると思います。
あと、King Crimsonの
“Matte Kudasai”に代表されるように、彼の書く曲には品があるように思うんですよ。顔は面白いんですけどね。King Crimsonでのテンションの高い彼のプレイも凄いと思いますが(周りが高いだけで、エイドリやんは普段と一緒なんですかね?)、僕はどちらかと言うと、ソロアルバムで聴かれるようなリラックスしたPOPな彼が好きなんです。特に、この“Young Lions”と前作“Mr. Music Head”辺りは大手レーベルからのリリースという事もあってか、コマーシャルな曲も多いと思います。
このアルバムは収録曲も結構バラエティに富んでいるし、エイドリやんらしさも満開だと思います。オープニングの
“Young Lions”ではライオンが鳴いているし、続くボウイ作の
“Pretty Pink Rose”は勿論ボウイとのデュエット、この曲はビデオクリップも作られて、テレビでも結構観ました。エイドリやん、結構売れようとしてたのかもしれん・・・。このアルバム、カバー曲も多いし・・・。それにクリムゾンの曲が続いて、4曲目
“Looking For A U.F.O.”はモータウン調・・・と、ホントに楽しめるアルバムなんです。ギターの音も素晴らしいですし(変な音ばかりではなくて、クリーントーンも)。エイドリやんという人は、まさしく“Mr. Music Head”なんだと思います。このアルバムでも殆んどの楽器を自分で演奏しているし、四六時中音楽の事を考えていて、そうしている事が楽しくて仕方がない人なんじゃないでしょうか。エイドリやんが楽しんでいる事がこちらにも伝わってくるアルバムだと思います。
Mr. Music Headって良いなぁ・・・、ブログのタイトル、これに変えようかな(笑)。
・・・これを書く前に知ったんですが、つい先日、エイドリやんのNEWアルバムが出たらしいんですけど、そこに
レス・クレイプールが参加してるみたいなんですよ。昨日から
“この2人似てるよな”なんて思っていたので(色んな面で)、これは成るべくして成ったという気がしますね。これは是非聴いてみたいと思います。エイドリやんもレス・クレイプールも働き者だなぁ・・・。