この人知ってますか?知ってる人がいたら、ちょっと手を上げてください。昔からこのアルバムを気に入っていて、思い出しては聴いているんですが、彼女の事はよく知らないんで色々教えて欲しいんです(笑)。女性アーティスト特集も今日で3日目を迎えましたが、昨日はやけにメジャーなアーティストを紹介したので、今日はちょっとマイナーな人を紹介してバランス取っておかないと・・・と思いまして。という事で、
ジュリアナ・レイのデビューアルバムを紹介したいと思いますが、アルバムのライナー以外に大した情報がありません。
女優業もやっている人で、このアルバムのあとにもアルバムを1枚リリースしているようなんですが、僕は聴いた事がありません。さっきから、ありません、ありませんってうるさいですねぇ・・・。彼女のHPを見てみたら、
ジュエリーデザイナーもやっているらしいんですよ。つかみどころのない人ですね(笑)。
このアルバムは
ジャケット+
帯買い(笑)でした。何かとってもPOPな内容が想像できるジャケットじゃないですか。そして帯には
“ジェフ・リンが全面協力して創り上げた最高のポップ・アルバム”・・・、もう完璧ですね。これをレコード屋で見つけて買わないでいられるPOPSファンがいるでしょうか?そうなんですよ、このアルバムの
プロデューサーはELOのジェフ・リンなんです。80年代後半から90年代初頭にかけて、ELOの活動を停止していたジェフ・リンは、色んなアーティスト・・・ジョージ・ハリスンやトム・ぺティといった人達のプロデューサーとして成功を収めて、その2人+ボブ・ディラン、ロイ・オービソンと
The Traveling Wilburysを結成してそれも成功(トム・ぺティのプロデュースはこのあと)、ついでに初めてのソロアルバム
“Armchair Theatre”を出して・・・と、結構調子にのっていました。それはまあ冗談ですが、生来ヒネクレ者の僕は、ELOが売れに売れている時はこのバンドに関心のないフリをして、殆んど聴いていなかったんです。でも、一度表舞台から姿を消して裏方として戻ってきた(という訳でもないんでしょうけど)ジェフ・リンの作る音楽がやけに素晴らしく聴こえて(元々素晴らしかったんですけど・・・)、その頃から妙にジェフ・リンが気になるようになったんです。これを
再評価と言います(笑)。
そして'92年にこのアルバムがリリースされた訳なんですが、ここでジェフ・リンはプロデュース以外にも、ギター、ベース、キーボード・・・と、
様々な楽器も担当していて、アルバムの全曲に参加しています。これで、このアルバムの素晴らしさは保証されたようなもんです。
ジェフ・リンワールド全開です。ジェフ・リンの作り出す音の魅力は、美しいメロディを包み込むコーラスやストリングスのアレンジであったり、各楽器の温かい音色にあったりすると僕は思うんですが、このアルバムでも当然その音を愉しむ事ができます。アルバムに収録されている曲は、すべてジュリアナ・レイが独りで作ったようなんですが、ジェフ・リンサウンドがドンピシャリといった感じですね。・・・アルバムのライナーによると、ジュリアナ・レイは、映画音楽や最近ではMetallicaとの仕事でも知られる、故
マイケル・ケイメンのいとこらしいんですよね。その縁で彼女はジェフ・リンに紹介されたそうなんです。そしてジェフ・リンは彼女の事が凄く気に入ったという事らしいんですが、それも納得という感じがしますね。・・・と言っても、アルバムを聴いていない人には“何がやねーん!” という感じだと思いますが(笑)、ジェフ・リンが手を加える素材として、彼女の作る曲やメロディ、そして彼女のキャラクターは最適だったような気がするんです。
今やThe Beatlesのメンバーやブライアン・ウィルソンからも一目置かれ信頼も寄せられるという、まさにファン冥利に尽きるといった気持ちでいるであろうジェフ・リンですが、彼の作る音楽はそれらの先輩達が作る音楽のように(普通に聴く分にはそういった事を感じさせないとしても)もの凄くテンションが高いものではなくて、何かこうリラックスした非常に心地良いものだと思うんですね。・・・まあ、ジェフ・リンも高いテンションで音楽を作っているのかもしれませんが、聴いているこちらには凄く力が抜けているように思えて、それが気持ちが良いんです。彼のボーカルもそんな感じがしますよね?ポール・マッカートニーのように上手い訳でも、ジョン・レノンのようにシャウトする訳でも、ブライアン・ウィルソンのように偏執的にコーラスを重ねていく訳でもないですし。ジュリアナ・レイの音楽もそんな感じなんですよ。歌だってとりたてて上手くはないんですが、その声とメロディが心地良いんです。あと 彼女には
“Some-
thing Peculiar”というタイトルの通り、
“何か奇妙”な感じ
“一風変わった”感じがあって(ライナーのパクリじゃないですよ・笑)、ジェフ・リンも彼女のそういうところが気に入ったんだと思うんです。この2人には、どこか共通するところがあるようにも思いますが、ジェフ・リンは職人肌で色んなネタを持っているのに対して、ジュリアナ ・レイは
天然ボケみたいな感じでしょうか。そんな2人なので、このアルバムもジュリアナ・レイが元々持っていた音楽性から、さほど離れたものではないと思うんですよ。“ジェフ・リンらしさ”をあちこちに見る事はできますが、ジュリアナ ・レイの個性もそのまま生かされているんじゃないかと思います。
・・・といった感じの、
ジェフ・リンサウンドが堪能できるホントに楽しいアルバムで、国内盤もしっかり出ていたんですが、あっという間に廃盤になったらしくて、意外と入手が困難になっているらしいんです。中古屋で見つけたりしたら、是非買ってみて下さい。POPS好きの人ならば、絶対気に入ると思いますよ。僕もそのうち彼女の2ndアルバム(?)
“Restless Night”というのを聴いてみたいと思います。
僕のお気に入りナンバーは、ちょっとオリエンタルでホント妙な雰囲気の
“I'll Get You Back”や、タイトル曲の
“Something Peculiar”辺りです。“Someth-
ing Peculiar”のイントロで“ハァ・・・”と溜息つかれると、こっちまで力抜けますよ(笑)。