ブルース界期待の新星(25年前の話)ロバート・クレイのRYKOレーベル移籍第2弾のアルバムです。え~と、これは2番目に新しいアルバムという事になるでしょうか。~部屋の中を探索中~あ、そうですね、そうなりますね。レーベルも既に移ってるみたいですね。僕はロバート・クレイのアルバムにハズレは無いと思っているので、どれを紹介しても良かった・・・と言うより、どれを紹介しようか迷ったんですが、この
“Shoulda Been Home”と、その前の
“Take Your Shoes Off”のRYKOから出た2枚のアルバム(今知ったんですけどね・・・笑)は、ブルースアルバムというよりは、
古いソウルのアルバムのようで聴いていて非常に気持ちが良いんですよね。という事で、今回はとりあえずこっち。
まだ2000年に出たばかりだし(笑)。
ロバート・クレイが出てきた80年代前半、僕はまだそれほどブルースには興味がなかったんですよね。・・・そんな僕だったんですが、バンドの練習帰りに寄った喫茶店で、ドラムの先輩(この人が、当時からもうホントにいっぱいレコード持ってましてね)が、Walkmanでロバート・クレイを聴かせてくれたんですよ。“ちょっと聴いてみ”とか言いながら。そこで初めて耳にしたろバート・クレイのギターは非常に印象に残りましたね。
ペケペケ、ペペーン♪みたいな音で、言ってみればストラトをただアンプに繋いだだけ、シールド1本で繋いだだけの音なんですが、そのひとつひとつの音にはしっかりと感情が込められているように思えたし、彼の歌もこれまた素晴らしくて、 “へぇ~、こんな人がいるのか~”みたいに思いました。・・・その時、一緒に聴いていた、これまた先輩がいたんですけど、その人はそれから少ししてロバート・クレイがバンドで来日した時、僕に黙って観に行ってやがったんですよ。それは確か京都の
拾得というメチャメチャ狭いLIVEハウスでの公演だったと思うんですが、あとから “最高やったで”とか教えたその先輩には腹が立ちました(笑)。“いつの間に~!抜けがけすんな~!”みたいな事を(もうちょっと丁寧に)言ったと記憶してます。
そんな悔しい思いをした僕が、ようやくロバート・クレイを観る事ができたのは、彼が
エリック・クラプトン日本公演のサポートアクトとして日本に来た時でした。拾得と大阪城ホール、大分距離が違うなぁ・・・。元々クラプトンファンでもなかった僕なんですが、この時はロバート・クレイも観れるという事で、コンサートに足を運んだような気もします。このコンサートでは、最後にロバート・クレイが出てきてクラプトンとセッションをしたんですが、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったロバート・クレイの溌剌としたプレイに較べると、クラプトンはいかにもやる気が無さそうで、掛け合いのようなシーンでは明らかに勝負を避けているような感じでした。あとから知った話では、当時のクラプトンはアルコールの量が非常に増えていた時期で、やる気出そうにも出ないような状況だったのかもしれませんが、僕の目には単にやる気が無いように見えて、音楽に勝ち負けは無いとは思っていても、クラプトンに向かって
“お前の負けだ!” と言ってやりたい気持ちでした(笑)。その後、“From The Cradle”を聴いたり、そのツアーで再びクラプトンを観るまでは、僕はしばらくアンチクラプトンといった立場を取るようになってしまったんですよ。
僕の目の前で
クラプトンを撃沈したロバート・クレイですが、彼の音楽を聴いていると、いつも思い出す話があるんです。彼がまだデビューする前、
スティーヴィー・レイ・ヴォーンと同じブルースコンテストに出たらしいんですけど、その時は
スティーヴィーが1位で、ロバート・クレイが2位だったらしいんですよ。それはスティーヴィー来日時のインタビューを読んで知ったんですけどね。インタビュアーがロバートについての感想を求めた時、スティーヴィーのマネージャーが
“歌はロバートの方が上手いけど、ギターはスティーヴィーの方が上手い”とか言ってたんですよね。ロバートとヴォーン兄弟は非常に仲が良かったらしいんですが、マネージャーが対抗意識燃やしてるところが面白かったですね(笑)。・・・わざわざこの話をして、何を伝えたかったのかというとですね・・・、
“ロバート・クレイってホントに歌が上手いですよね” と言いたかったんです(笑)。うちの母親も褒めてましたからね(笑)。車の中でロバート・クレイの曲を掛けていたら”良い声だね~”と言ってました。そのあとトレイシー・チャップマンを男だと思ったんですけど。“え?おんな?!”と驚いてやがりました。
そのように、うちの母にも絶賛されたロバート・クレイの歌ですが、ホントに上手いですよね。ギターも勿論上手いし素晴らしいんだけど、それと同じぐらい素晴らしいのが彼がギターを弾く時の顔と歌!ロバートにこんな事を言うと(そんなチャンスはないけどさ)恐らく謙遜して否定するでしょうが、オーティス・レディングやアル・グリーンといった、
偉大なソウルシンガーと同列で語っても良いぐらい素晴らしいシンガーだと思います。特にRYKOから出た2枚のアルバムでは楽曲やアルバムの音作りが
70年代ハイサウンド風になっているので、より
ボーカリスト/ロバート・クレイに焦点が合っているように思います。メンフィス・ホーンズとは長い付き合いですしね。
今気づきましたけど、この2枚のアルバム、同じプロデューサーだったんですね・・・。それはまあ、音を聴けば分かる事でもあったんですが、この人がプロデューサーだったとは今まで知りませんでした・・・。知っていたのかもしれないけど、完全に忘れていたというか、頭から飛んでました。ロバート・クレイの新譜は無条件で買ってしまうので、プロデューサーなんて気にした事ないんですよね。・・・で、そのプロデューサーは誰かというと、これがまたしても
スティーヴ・ジョーダンです(笑)。“笑”っていうのも変なんですけど、某コメンテイターを狙い撃ちしてるように思われそうで・・・。
いや~、いつも冗談めかして“こういう記事を書くのは勉強になる”とか言ってるんですけど、ホントにそうなんですよね。こういう風な文章を書く時は、やはりアルバムを聴きながら、ライナーを確認しながら書く事になるので、自分が単純に好きだったそのアルバムの知らなかった面を知る事にもなるんですよ。これは別に、文章が長くってしまう事の言い訳ではないですが、より深くそのアルバムなりアーティストを知ってしまうと、次から次へと書きたい事が出てくるんです。今日は、自分がスティーヴ・ジョーダンのプロデュースしたアルバムが好きだというのを知りました。
先ほどから言っているように、スティーヴ・ジョーダンプロデュースのこのアルバムは 古いソウルアルバムのような雰囲気を持っていて、
素晴らしいボーカルアルバムとしても楽しめるものだと思います。とは言え、クラプトンを撃沈した(笑)彼のギターも健在で、アルバムラストの
“The 12 Year Old Boy”といった曲では、強烈なブルースフィーリングを醸し出しています。25年前はブルース界期待の新星だった彼も既に50代ですが、ブルースの世界では50代なんてまだまだ若手なので、これからも新人のつもりで頑張って欲しいと思います。まあ、彼は真面目そうなので、今もそういう気持ちでいると思いますが。・・・って、俺 何でこんなに偉そうやねーん!