60年代に結成され、'84年にはロブ・ライナー監督によるドキュメンタリー映画も製作されるなど人気を博した伝説のバンド、
Spinal Tapが1992年にリリースしたアルバムです。・・・笑。今書いたことを信じてしまった人が居たとしたら、どうもすみません。
前回の記事の中で、スペインのフォークメタルグループ、Mago De OzがカバーしたZEPナンバー
“Whole Lotta Love”を“Spinal Tap的”と表現してみたんですが、そしたら“あの映画”とこのアルバムのことを思い出してしまいました。あの映画
“This Is Spinal Tap”(スパイナル・タップ)は面白かったですね~。・・・と言うか、あれがロブ・ライナーの監督デビュー作だったなんて、すっかり忘れてましたわ。観た順番入れ替わってたしなぁ・・・。“スタンド・バイ・ミー”で原作者スティーヴン・キングをも泣かせ、“恋人たちの予感”で世界中をうっとりさせた監督の映画デビューはあれだったか~(笑)。
ロック好きの間ではかなり有名な映画ではありますが、もう20年以上前の映画でもあるので、映画の内容を軽~く説明しておくと、
Spinal Tapという架空のバンドの歴史とその活動をドキュメンタリー風に撮ったものです。・・・って、これだけか~い!軽すぎるわ!すみません、めんどくさくて・・・。もっと知りたくなった人はWikipediaで調べてみて下さい。非常に詳しく載ってます。あの映画の出演者は、真顔ですっとぼけたことをしたり、言ったりしているところが最高でしたね。どこまでがジョークか分からないところが(全部がジョークなんですけど・笑)。僕が笑ったシーンというと ・・・まあ、殆ど全てなんですが、特に印象に残っているのは、ステージセットとしてストーンヘンジの模型を作ることにしたんだけど、完成したものはやたらと小さかった(仕方ないからそれ使う)というシーン、エルヴィスの墓参りに行って“Heartbreak Hotel”をハモる(ハモれてない)シーン、あとはやはりナイジェル・タフネルによる、あの有名な特注マーシャル・・・各コントロールの目盛りが11まであるマーシャルアンプやギターを解説するシーンですね。・・・ホント、あの映画は、ロックという音楽やバンドが好きであればあるほど楽しめる、自らも似た経験をしていればしているほど楽しめるものだったと思います。そんなところが、本物のミュージシャン達にもウケたんでしょうね(Spinal Tapのメンバーも実際に楽器弾けるんですけど)。
・・・そして、その架空のバンドだった筈のSpinal Tapが、1992年に発表したアルバムが、この
“Break Like The Wind”です。一応再結成アルバムということになるんでしょうか(笑)。先ほど“本物のミュージシャン達にウケた”と書きましたが、それを証明するかのように、このアルバムには多数のゲスト・・・それも非常に豪華なゲストが参加しています。ギターで、
ジェフ・ベック、
スティーヴ・ルカサー、
ジョー・サトリアーニ、
スラッシュ、
ドゥイージル・ザッパがクレジットされ(ワディ・ワクテルも1曲参加)、
“Just Begin Again”というバラードでは
シェールがリードボーカルを取り(この曲にはデヴィッド・ガーフィールドも参加)、数曲でティモシー“言いだせなくて”B・シュミットがバッキングボーカルを・・・と、豪華すぎるほど豪華な・・・と言うか、こんな冗談バンドのアルバムには勿体無すぎるメンバーが参加してます(笑)。・・・更に今日気付いたのは、ダニー・コーチマーが数曲のプロデューサーとして、チャド・ブレイクがエンジニアとしてクレジットされているということ(テクニカルノートを記しているのはウォルター・ベッカー)。どう考えても勿体無いです。・・・で、肝心の音、曲の方はどんな出来かと言うと、これが余り面白くありません(笑)。まあ、映画がやたらと面白かったので、こちらとしてもそれを期待してしまうんですが、アルバムの大半を占める妙に真面目にハードロックしている曲がつまらないんですよね。凄く。60年代ブリティッシュPOPS風の
“Rainy Day Sun”(この曲のキーボードは
ニッキー・ホプキンス)や、ロカビリーナンバー
“All The Way Home”なんかは凄く良い雰囲気なんですが、“ヘビーメタルバンドSpinal Tap”の楽曲は全然です。・・・まあ、カッコ良く演られたらそれもまた困ると言うか、“その微妙なズレも実は狙いなのかな?”という気もしないではないですが、これはとりあえず“ネタ的なアルバム”と評価した方が良いんじゃないでしょうか。・・・ってか、真面目に評価する人なんて最初から居ないだろうな(笑)。
・・・再結成で一大センセーションを起こした(ウソ)Spinal Tapは、'92年にウェンブリー・スタジアムで行われたフレディ・マーキュリー追悼コンサートにも出演し、このアルバムからの曲
“The Majesty Of Rock”を演奏しましたが、赤い絨毯の上をマントを羽織り、王冠を被って登場した割に、その演奏は素晴らしくショボく、大してウケていなかったことも印象的でした(笑)。・・・えっ?“みんなのうた”はナイジェル ・タフネルが監督で、Spinal Tapのメンバーも出演していたのか~!知らんかった~!気付かんかった~!あれもすっとぼけた映画だったなぁ・・・。今度観直そう。
・・・あ、YouTubeに動画ありました。
所有楽器を解説するナイジェル・タフネル。