1994年にリリースされた、
Creamのトリビュートアルバムです・・・けど、最初に言ってしまうと、このアルバム面白くないんですわ。トリビュートアルバムとしての価値も低いです。まあ、僕の嫌いなシュラプネルレコード総帥、マイク・ヴァーニーのプロデュースの下、暇にしてるミュージシャンが小遣い稼ぎに参加した雰囲気まる分かりのトリビュート盤ですから、それも当然っちゃあ当然ですが。 ・・・それでは、“何故そんなアルバムを取り上げようと思ったのか?”と言いますと、最近、このブログに、ある検索ワードで辿り着いた人達がいらっしゃるみたいなんですよ。その検索ワードとは、“
Buddaheads”若しくは “
アラン・ミリキタニ”です。先日も、“
フィリップ・セイス”でここを訪れてくれる人達を狙って、ここぞとばかりに
Buddaheadsのアルバムを紹介しましたが、今回はその “Buddaheads”で来てくれてますからね。これは、ちょっと嬉しいですねえ。やっぱり素晴らしいギタリストは、大して有名じゃなくても、全然売れてなくても素晴らしいし(当たり前だー!)、名前もすぐに広まるもんなんだな・・・と実感しているところです。 ・・・え~、それで、そのキーワードによるアクセスがどれぐらいあったのかと言いますと、“Buddaheads”と“アラン・ミリキタニ”を足して9(笑)、今月に入って10日起って9、1日1アクセス以下。今日の記事は、もの凄くピンポイントで、そういった人達を狙うものになりますね(笑)。しかも、このアルバムでアランがギターを弾いているのは、たったの1曲ですから。でも、書こう~っと。
・・・いきなり“アルバムとしては面白くない”とは書きましたが、各曲の演奏は決して悪くないんですよ。ベテランと呼べる人達も多いですし(トリビュートの対象がCreamなので、これも当然ですかね?)。・・・でも、ブルージーなプレイも得意とするギタリストが多数参加しているとは言え、それを
“L.A. Blues Authority”と呼ぶのは如何なものか?という気が多々します。マイク・ヴァーニー、図々しくもこれをシリーズ化してましたからね。ホント、どれも適当なアルバムなんですよ。・・・などと文句を言いながら、色々聴いている僕も僕ですが(汗)。・・・大体、このジャケットからして、 “適当感”が漂っているとしか言いようがない。何も“
トッド・ラングレンに
クラプトンのサイケSGを借りて来い”とは言いませんが、こういった色(ペルハムブルーかな?)のSG、ブリッジがバダス(かな?)に交換されたSGを、しゃあしゃあとジャケットに使ってしまうところが個人的には許せないのです。・・・“おい、ジャケットの締め切り明日までなんだけど、誰かSG持ってる奴知らない?” “あ~、確かあいつが持ってた” “あ、そう、じゃあちょっと借りて来て”・・・みたいな、いい加減な会話がスタジオでなされたに決まってます。トリビュートの気持ちが無さすぎですわ。こんなもん。だから僕はマイク・ヴァーニー嫌いなんですよ。・・・と、文句ばかり言っていても始まらないので、曲紹介に移りますが、こういうやっつけ仕事ってホントに嫌だなぁ・・・。
・・・こういった“適当トリビュートアルバム”の常として、オケを演奏するミュージシャン(このアルバムの場合、リズム隊とリズムギター)はほぼ固定されていて、ドラムは元Badlandsの(・・・と言うより、若い人達には、“Racer Xのボーカル”と言った方が通りが良いか?)ジェフ・マーティン、ベースは結構豪華にティム・ボガート、リズムギター(と、たまにボーカル)はマイク・オネスコが務めています。・・・“マイク・オネスコって誰だ?”と思いましたが、Badlands解散後、リズム隊の2人とBlindside Blues Bandというバンドを組んでいた人のようです。そう言えば、そんなバンドありましたね~。聴いたことないけど。・・・ってか、アレか、ベースはティム・ボガートか、完璧に忘れてたな。ジャック・ブルースのフレーズを弾くティム・ボガートって結構面白いかもしれない。そういうところにも注目して聴いてみよう。って、初めて聴くようなこと言ってますが(笑)。
・・・1曲目から
“Sunshine Of Your Love”というのも嫌ですねえ、何にも考えてなさそうで。まあ、良いけど・・・。ここでギターを弾いているのはパット・トラヴァースです。歌も半分・・・クラプトンのパートを彼が歌っていますね。パット・トラヴァースの音楽は結構好きですけど、最近パッとしませんねえ(駄洒落ではない・笑)。ちょっとモジュレーションの掛かったギターの音色が彼らしいですが、取り立ててどうこういう演奏ではないですね・・・。2曲目は
リッチー・コッツェンで
“Strange Brew”。 ・・・僕がこういったアルバムを結構買ってしまったのは、リッチー君の歌とギターを聴きたかったからというのも正直ありますね。この頃はまだ彼が歌っているアルバムはそんなに出ていませんでしたから。今では日本語で歌ったり、ガンダムの曲演ったりしてますが(笑)。リッチー君は、こういったトリビュートアルバムに参加する時、その曲をちょっとファンキーにアレンジするところが面白いんですよね。この曲もそんな感じで、クリーントーンのリズムギターがカッコ良いです。ギターソロとスキャットをユニゾンさせる得意技もチラッと披露してます。・・・まあ、彼にしてみれば、こんなのは朝飯前で、ホント適当に演っただけなんでしょう(笑)。3曲目はニール・ショーンがギターを弾き、ジョー・リン・ターナーが歌う
“Sittin' On Top Of The World”、
SANTANA加入前に、クラプトンにもバンドに誘われていたというニール・ショーンですから、Creamに対しても特別な思いを持っていると想像できますが、ブルースを弾かせてもやはり上手いですよね。ただし、僕は音色がどうしても好きになれないのであった・・・。かつて本人も“俺は脂っこいイタリア系だからな(笑)”みたいに言っていたことがありましたが、そういうトーンがどうも苦手です。クリーントーンで弾いている曲なんて結構好きなんですが。ジョー・リン・ターナーも固定ファンの多いボーカリストですが、僕はそんなに・・・。
4曲目は、ジェフ・ワトソンがギター、グレン・ヒューズがボーカルの
“Born Under A Bad Sign”、グレンもジョーも暇そうですね(笑)。グレン・ヒューズはホントに素晴らしい声を持ったシンガーだと思いますけど、たまにうるさすぎ、はしゃぎすぎと感じることがありますよね。この曲でも、多少そんな面が出てます。アルバート・キングに怒られそうです。ジェフ・ワトソンはワウをかませて、珍しくブルージーなギターを披露していますが、どうせなら8フィンガー演ってくれても良いのに(笑)。・・・そして、5曲目
“Crossroads”はレズリー・ウェストです。Creamとの縁も決して遠くないレズリーですから、この参加は納得ですね。ここまで出てきたギタリストの中では、僕の一番好きな人でもありますし(ちょっと贔屓入ってます)。・・・でも、これはどうってことないかな(笑)。やっぱりこういうのはLIVEで観たい(聴きたい)ですね。そうすれば凄く盛り上がると思うんですけど。でも、この人の場合、ギターもボーカルもまったく衰えを感じないところが凄いと思います。・・・6曲目
“Cat's Squirrel”は、当時Howling Iguanasというバンドを組んでいた、マイケル・リー・ファーキンスとハーモニカのリトル・ジョン・クリズリーの共演です。 ・・・マイク・ヴァーニーが発掘したギタリストの中で、ホントに個性的と言えたのは、マイケル・リー・ファーキンスの他は何人もいなかったんじゃないですかね?ブルースよりもカントリーがベースにあるマイケルですが、どちらもルーツは一緒ですから。なんつって(笑)。この曲でも素晴らしく上手いギターを聴かせてくれていますが、リトル・ジョンのハーモニカや、ティム・ボガートのベースの方が目立ってたりして・・・。続く
“Politician”は、マイク・オネスコがギターを弾いて歌っていますが、これはどうでも良いなぁ・・・。ギターの音も安っぽい感じだし。ボーカルは中々渋いですけど、
Los LobosがLIVEで演るこの曲の方が何倍もカッコ良いです(笑)。
・・・7曲目
“Sleepy Time Time”は、
エリック・ゲイルズによる演奏(と歌)です。エリック・ゲイルじゃないっすよ(笑)。この当時、彼はまだ10代だと思いますが、それはちょっとやめて欲しいですね。って、無茶言ってますが。最近のものに較べると歌は流石に若い感じですが、ギターはやはり大したものです。
ジミ・ヘンドリックスの遺族公認フォロワーになれたのも納得です(笑)。・・・9曲目にはリック・デリンジャーが登場して、
“Outside Woman Blues”を演っています。リック・デリンジャーは好きなミュージシャンですが、それはコンポーザーとしての彼だったり、総合的なミュージシャンとしての彼であって、ギタリストとしてはそんなに個性的ではないとも思っているんですよね。実を言うと。メチャメチャ上手いことに疑問の余地はありませんけどね。ただ、こういう風に誰かのカバーを演ってしまうと、その器用さが裏目に出てしまう感じで、イマイチ印象的に聴こえないです。残念ながら。・・・そしてラスト10曲目にアラン・ミリキタニ登場です。・・・お~、アラン、トリだったか~。演奏するのは
“Take It Back”、・・・まあ、とりたててどうこう言う出来でもないんですが(笑)、 このアルバムに参加しているアーティスト中、最もブルース濃度が高いのがこの人だと思うんですよ。個人的な意見を言わせてもらえば、“Blues Authority”と名乗っても良さそうなのは、この人ぐらいじゃないですかね(エリック・ゲイルズも中々やりますが)。ギターも歌も熱いです。・・・アランでここまで散々引っ張ってきて(嫌になるほど長いっすねぇ・・・汗)、“そんなオチあり?”と自分に訊きたくなってしまいましたが、こんなアルバムだからしょうがないんですよ(笑)。マイク・ヴァーニーが絡むとこんなもんです。マイク・ヴァーニーファンの人、すみませんね。・・・居れば。
・・・こんな感じのアルバムで、誰がどう見ても、“企画もの”の域を脱していないし、 “トリビュートの意識がどれぐらいあるのか?”と問い詰めたくなるような感じですが(Creamのオリジナル曲じゃない曲が半分を占めてますからね)、流石と思わせる演奏も中には入ってます。当然、廃盤になっているアルバムと思われますが、中古屋で見つけたら手にとってみて下さい(こういう薦め方結構多い・笑)。安かったら買ってみても良いんじゃないでしょうか。多分安いと思います。・・・と言うか、これを定価で買うのは勿体無いです。残念ながら、僕は定価で買いましたが(泣)。
・・・と、今回はあまり面白くないCreamトリビュートを紹介してしまいましたが(その割には長い・・・)、アラン・ミリキタニが参加しているトリビュートアルバムで、中々素晴らしいやつがあるんですよ。機会があれば、それも紹介したいと思います。