ボブ・ディランが脚本を手掛け主演もした映画
“Masked And Anonymous”のサウンドトラックです。リリースは2003年。・・・なんですが、僕はこの映画観ていないんですよ。ボブ・ディランの他には、ジェフ・ブリッジスやジョン・グッドマン、ペネロペ・クルズにジェシカ・ラング、エド・ ハリスにヴァル・キルマー・・・と、個性的な俳優が数多く出演していて、非常に面白そうな映画なんですけどね。 “日本では公開しないのかな~”と思っていたんですが、今年の夏に公開されていたみたいですね。ごく一部の都市で。全然知りませんでしたわ・・・。
“ボブ・ディランの頭の中”という、素晴らしい邦題がつけられていたというのも知らなかった(笑)。・・・で、それがDVD化されて、明日発売されるんですが、これが何故か5000枚限定なんですよね。しかも、内容的にも不思議な感じなんです。ボーナスディスクのボブ・ディランのLIVE映像というのは普通として、本編収録のオーディオ・コメンタリー、これが何とも微妙なんですよ。“監督のコメント”というのも普通なんですが、その他に、ディランファンである事でも有名な、みうらじゅんや井上陽水・・・こういった人達の音声解説も入っているらしいんですよ(笑)。まあ、僕はみうらじゅんも井上陽水も好きですが、彼等のコメントの入ったディラン主演映画のDVDが欲しいかと言うと、それは別にいりません(笑)。安けりゃまだ良いんだけど、決して安くはないしな~。・・・“5000枚限定”というのは、絶妙なのかもしれませんねえ。熱心なディランファンは急いで買うだろうから、売れ残る事もないだろうし。
・・・そんな感じで、映画はまだしばらく観れそうもないんですが(レンタルビデオ屋に入ってくる訳ないだろうしなぁ・・・)、サントラだけ聴いていても結構面白いので紹介する事にします。・・・これ面白いんですよ。映画も“音楽コメディ”と呼べるものらしいですが、サントラも決して堅苦しい感じではないんです。4曲入っているディランの新録曲以外は、ディランの曲を色んなアーティストがカバーしているという趣旨なんですが。・・・勿論、ディランの曲ですから、曲に込められたメッセージはそのままですが、参加アーティストそれぞれが、原曲のイメージに捕らわれる事のない自由な解釈で演奏しています。映画のセリフに続く1曲目
“My Back Pages”にまず驚かされます。この曲を演っているのは、日本代表真心ブラザーズ。“日本人アーティストによるディランカバー集”ではなくて、ディラン自らが製作に関わったアルバムのトップバッターですからねえ。・・・でも、この曲はまるで吉田拓郎のように聴こえるんですよ(笑)。どこかの雑誌のレビューでもそんな風に書いてあった記憶がありますが。日本語歌詞の乗せ方がまるで拓郎なんです。僕なんて、日本のフォークには全然詳しくない奴ですが、これを聴いて、“そうか~、日本人もディランに影響受けてるんだな~”なんて、今更ながらに思いましたよ。
・・・続くシャーリー・シーザーの
“Gotta Serve Somebody”もカッコ良いですね。この人はゴスペルシンガーらしいですが、いかにも“そちら方面の人”的な熱い歌い方にシビレます。3曲目にはボブ・ディランの新録曲が出てきますが、この時のディランのバンドが中々素晴らしいんですよ。ギターにチャーリー・セクストンを擁したラインナップですが、凄く生き生きとした演奏をするバンドだと思います。・・・ディランの歌い方はいつも通りなんですが(笑)。他にカッコ良いのは、
Los Lobosの演奏する
“On A Night Like This”。・・・まあ、彼等の参加がアルバム購入の決め手になった事は否定しませんが(笑)、そんな僕の期待に充分応えてくれるナイスな曲です。・・・あとはArticolo 31の
“Come Una Pietra Scalsiata”、これは
“Like A Rolling Stone”のスペイン語バージョンです。・・・ラップの(笑)。セルタブという女性シンガーの歌う
“One More Cup Of Coffee”も良いですね。この人はトルコの国民的歌手と呼ばれる人らしいですが、中近東っぽい雰囲気が素晴らしいです。まさに“East Meets West”ですね。ジェリー・ガルシアが歌う
“Senor (Ta-
les Of Yankee Power)”も渋い。・・・ジェリー・ガルシアの曲が入っている事からも、このアルバムの収録曲には既発曲も含まれると分かりますが、これが意外と統一感があるんですよ。“意外と”と言っては失礼な気もしますが、言葉だってバラバラですからねえ。でも、とっ散らかった感じは受けないんです。とりあえず僕は。The Dixie Hummingbirdsの
“City Of Gold”も素晴らしいですねえ。
・・・こんな風に色んな国のアーティストが、色んな言葉と雰囲気でディランの曲を演ったりすると、曲の持つパワーが浮き彫りになったりしますね。やっぱりディランって偉大なんですねえ・・・。マーティン・スコセッシが撮ったディランの伝記映画を観たいです。早くBS2でもやんないかな~。この映画も観たいけど。