1994年にリリースされた、
スティーヴ・ペリーの2ndソロアルバムです。スティーヴ・ペリーのソロアルバムというと、'84年にリリースされ
“Oh Sherrie”という大ヒット曲生んだ1stソロ
“Street Talk”が多くの人の記憶にあると思いますが、敢えてこちらのアルバムを紹介したいと思います。何故ならば、この2枚目のソロは大した話題にならなかったから(笑)。話題にもならず、セールスも芳しくなかったみたいですけど、内容は悪くないと思いますよ。・・・それにしても、ここ1、2年、テレビやラジオで、
Journeyの曲を良く耳にしますよね。これは、80年代の彼等の全盛期を知っている世代にとっては、結構驚きでもあります。産業ロックだ何だと揶揄され、バンドの人気が凋落していったのも見てますからねえ。そんな彼等の曲が、20年後の今、CMやドラマの主題歌として頻繁に使われているんですから面白いです。口の悪い人に産業ロックだと言われても、JourneyやTOTOのようなバンドは最高のミュージシャンの集合体で、実際、誰が聴いても良い曲を演っていたし、歌や演奏も素晴らしいものばかりでしたよね。僕はそんなに熱心に聴いていませんでしたけど(笑)。・・・まあ、良い曲というのは、いつまで経っても良い曲で、新たなファンを生むものなんですね。って、当たり前ですが。
JourneyやTOTOが“産業ロック”と言われてしまった理由には、彼等があまりにも上手いミュージシャンで、“歌や演奏に完璧を求めすぎた”というのもあったと思います。勿論、こういった事にはプロデューサーの意向も少なからず影響したと思いますが、スティーヴ・ペリーというボーカリストは本物の完璧主義者だったらしいんですよね。同じサンフランシスコ、ベイエリアのミュージシャン仲間であるサミー・ヘイガーがチクってました(笑)。サミーによると、スティーヴ・ペリーは、歌を
ワンフレーズごとに区切って録音していたらしいんですよ。ひとつの歌詞にも完璧を求めていたみたいですね。普通に歌っても物凄く上手い人がここまでやれば、“産業”と言われてしまうのも無理ありませんが(笑)、こちらとしては気持ち良く聴けるに越した事はありませんからね。細切れに歌っているからフィーイングに欠けるかというと、決してそんな事はないし。スティーヴ・ペリーという人は、才能もあるけど、努力もする人なんでしょうね。僕の好きなボーカリストかというと、そうでもないんですが(笑)。・・・って、さっきから
誉めてんのか、けなしてんのかハッキリせんかーい!・・・いや、誉めてるんですよ。本当に上手いと思うし。こんな風に歌えたら気持ち良いでしょうねえ。
この
“For The Love Of Strange Medicine”も、そんなスティーヴの完璧主義者ぶりが如何なく発揮されたアルバムだと思います。いかにも80年代的な、ちょっとした軽さも感じる音作りがされた
“Street Talk”に較べると、こちらはどの楽器の音も大きく聴こえて、今度はちょっとわざとらしいぐらい派手でビッグな音です。こういうのが90年代の音なんですかね。でも、凄くクリアでもあるので、スティーヴ・ペリーのブレスの音まで“まる聴こえ”なんですよね。個人的には、こういう感じの音をずっと聴いていると疲れたりもするんですが、たまに聴く分には結構気持ち良かったりします。楽曲的には、長年に渡ってJourneyの看板を務めてきた人のアルバムですから、
“ひとりJourney”といった感じも多々あります。“最近、Journeyのファンになったんすよ~”という若い人が聴いても、充分満足のいくものではないでしょうか。バックの演奏陣も当然腕達者揃いです。有名どころでは、
マイケル・ランドウ(ラストの
“Anyway”1曲のみの参加ですが、この曲のバッキングは“流石!”という感じです)、マイク・ポーカロ、元Wingerのポール・テイラーといった人達が参加していますが、僕はこのアルバムで初めて名前を知った
リンカーン・ブリュースター、この人のギターが良いんですよ。コンポーザーとしても数曲でクレジットされているんですが、ブルージーなギターも弾けるし、さり気なく披露する速弾きやアームによるビブラートなど、中々のセンスを持った人で、このアルバムの重要人物だと思います。
・・・このアルバムを聴いて、リンカーン・ブリュースターというギタリストが気になってはいたんですが、結構それっきりだったんですよ。・・・で、今日これを書く前に検索してみたら、この人は今ではソロアーティストとしてアルバムを何枚も出している事など、色々分かりました(ギターの音を聴いた感じで“かなり若い人だろうな”みたいに思っていたんですが、彼がこのアルバムに参加したのは、まだ20代前半だったようです)。この人、非常に上手いギタリストでもありますが、ソロアーティストとしての彼は、CCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)と呼ばれるジャンル(?)に属する、シンガー・ソングライターでもあるようです('94年当時は気になっても調べる手段がありませんでしたが、今は簡単に調べられる良い時代になりましたねえ)。