アイク・ターナーがCobraレーベルに残した音源をまとめた編集盤です。アイク・ターナーと言えば、ティナ・ターナーの伝記映画
“What's Love Got Do With It (Tina)”によって、最低の暴力男として一躍有名になりましたが(汗)、ミュージシャンとしての彼はやはり魅力的だと思います。・・・まあ、あの映画もどこまでがホントの話か分かりませんが、恐らく殆どが事実でしょう(笑)。このアルバムは彼がティナと知り合う前、腕利きのブルースマンとしてシカゴで活躍していた時代の記録となるものです。この時代(50年代後半)の彼を観て、ティナは惚れちゃったんですねえ・・・。“Tina”の中でアンジェラ・バセットを観た時は、その成りきりぶりに驚きましたが、冷静に考えてみると、ティナの何倍もきれいですよね(笑)。アイク・ターナーを演じたローレンス・フィッシュバーンもしかり。・・・でも僕の場合、この映画の印象が強かったので、そのあと“The Ma-
trix”でカッコ良い役を演じる彼を観ても、あの暴力亭主のイメージが拭いきれないんですよ。迷惑な話です(笑)。
話を本物のアイク・ターナーに戻すと、
Ike & Tina Turnerで人気を博す前の彼は、
Kings Of Rythmを率いて、ブルース/R&B色の強い音楽を演っていました。当然、この路線はIke & Tinaにも引き継がれていった訳ですが、ティナはアイクの好きなそういった音楽・・・曲や歌詞の内容を古臭いものだと感じていて、その事で揉める2人が映画の中でも描かれていましたよね。ティナのような圧倒的な歌唱力を持った人なら、他にもっと歌いたい曲があって当然ですが、アイクの演っていた“古臭い音楽”もまたカッコ良いものだと思います。アイク・ターナーは、こういう事を演らすとやっぱり凄いんですよね。奥さん殴らせても凄いですが。また、彼は曲を書いてギターを弾きながら歌い、更にはキーボードも弾けちゃうというマルチなミュージシャンでもある訳ですが、ギタリストという面だけを見ても素晴らしく個性的なんですよ。僕が素晴らしいと思うのは、やはりその音色ですね。引きつったようなアーミングも個性的で良いですが、
“これがストラトの音だ!”と叫んでいるかのようなストレートな音色は最高です。ホント、ストラトって色んな音の出るギターですが、ストラト本来の音というのはアイク・ターナーが出しているような音だと思います。この
“Down & Out”というアルバムは、プレイヤー/アイク・ターナー、ギタリスト/アイク・ターナーに焦点を絞ったとも言える、中々イカした編集盤だと思います。同じ曲(のバージョン違い)が何度も出てくるんですけど。
・・・たとえ暴力男というのが事実であっても、ミュージシャンとしての彼を僕は好きなので、数年前のブルースカーニバルに彼が出演するのを楽しみにしていました。・・・まあ、一番観たかったのは
ソニー・ランドレスでしたが。ホント言うと。でも、アイク親分は大阪空港まで来ていたのに、日本に入れてもらえなかったんですよね(コンサートには親分抜きのKings Of Rythmが出演しました)。当時、彼のHPには持病の薬のせいで入国できなかったという言い訳が書いてありましたが、それ以前に出回った話では、過去の麻薬所持が問題となって入国できなかったという事でした。恐らくこっちが事実でしょう(笑)。悪い事はするもんじゃないですねえ。・・・こんな風に、いつまで経ってもネガティブなイメージがつきまとうアイク親分ですが、本当に素晴らしいミュージシャンでもあるので、ここはひとつ大目に見てやって下さい。映画会社と元のかみさんにあんな風に描かれても、そのかみさんに良く似たシンガーをバンドに加入させざるを得ないアイク親分・・・。そんな彼に、僕は男の哀愁を感じます。・・・ちなみに、このティナのそっくりさん(ティナよりかなり太め)、入国拒否された親分と一緒にアメリカに帰ったそうです。2人は付き合ってるんですかね?
・・・実はこの記事、次回へ続きます。