首都圏では正月に公開されていた映画、
“Festival Express”が先日DVD化されたので、僕もようやく観る事ができました。これ観たかったんですよね~。予告を観た時から。去年の11月、
Ramonesの
“End Of The Centry”を観に行った時にこの映画の予告も観たんです。これがまたカッコ良くて、シビレるものだったんですよね。いきなりジャニス・ジョプリンの“Cr~y Baby~♪”という歌が始まって、“ん?ジャニスの新しい映画?” と思っていたら、次々に驚きの映像が流れてきたんです。“何これ?こんなのあったの?何で今まで全然伝わってなかったの?”とビックリしながら、“くっそ~、これ観たいなぁ・・・”と思ってました。でも、こういった映画は地方に住んでいると中々観る事ができないんですよね・・・。って、どういう映画か全然説明してませんね(笑)。どーもすみません。・・・1970年の夏に、
ジャニス・ジョプリンや
Grateful Dead、
The Band、
バディ・ガイといったアーティストを乗せた列車がカナダを横断しながら、ロックフェスティバルの出前をしたんです。しかも、移動中の列車の中では、ずっとセッションが行なわれていたというんですよ。シビレる話でしょう?30年以上、このフェスティバルを記録した映像が世に出る事はなかったので、このフェスティバルはロックの歴史の中でも
“幻のフェスティバル”と呼ばれるものになっていたんです。
・・・まあ、ここで僕がダラダラと書いたものを読んでもらうより、映画を観てもらった方が何億倍も良いに決まっているんですが、やっとこの映画を観る事ができた喜びを伝える為に(笑)、印象に残ったシーンの感想などを書いてみたいと思います。・・・まず結論から言うと、僕は
メチャメチャ感動しました。映画というより、その中で観る事のできるミュージシャンの姿と、彼等が生きていた時代に。こんな時代に生まれたかった・・・って、まあ、生まれてましたけどね。既に。・・・あまり詳しく書いてもネタバレみたいになってしまうんで程々にしておきますけど、とりあえずこのフェスティバルは大赤字を出して、興行的には失敗だったらしいです。そりゃまあ、そうですよねえ。列車を鉄道会社から借りているんですよ。たった5日のツアーの為に。食料とアルコール(勿論ドラッグも・・・)満載の食堂車は24時間オープンで、いつでもセッションができるようにアンプやドラム、オルガンを備え付けた車両も用意してあるんです。ミュージシャン達も相場より低いギャラで契約したらしいんですが、そういうのを差し引いてもこれはミュージシャンにとって天国ですよね。まさに
パーティ列車です。でも、そのパーティの主役はあくまでも音楽なんですよ。映画には当時の事を知る人達のインタビューも多く含まれているんですが、最近のバディ・ガイが“少し寝ようと思ってベッドに入るんだけど、何かを見逃すような気がして眠れなかった。結局すぐ起きて客車に戻った”なんて事を話しているんです。これもシビレる話ですよね。
・・・いつまでも終わらなさそう&ネタばらししそう(汗)なんでちょっと端折りますが、どの出演者も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれているんです。やはりジャニスはスターという雰囲気を漂わせていて、もの凄い歌を聴かせてくれるし(ただし、歌っている顔がたまにホンジャマカの石塚みたいに見える)、The Bandの曲の良さは群を抜いているという感じです。Grateful Deadについては僕は全然詳しくないんですが、この人達の良い意味で雑多な音楽性は、いかにもアメリカで多くのファンを生みそうですよね。フォークやカントリーの要素もやっぱり強いし。・・・で、こういった “幻のフェスティバル”の映像なので、僕が今まで全然聴いた事のなかったアーティストも色々出演しているんですよ。その中でちょっと面白いと思ったのが、
Mashm-akhanというカナダのバンドです。日本でも大ヒットした曲があって来日した事もあるらしいんですが、僕は全然聴いた事がありませんでした(多分・・・)。このバンドの演奏がちょっと昔のプログレっぽいところもあって面白かったんですね。フルートとかも入っていて。ただ、歌の入った曲はイマイチでした(笑)。・・・あと最高だったのが、若きバディ・ガイ(当り前だけどホントに若い)のギターの音。後に盗難にあったという50年代のメイプルネック/サンバーストのストラトを弾いているんですが、この音がとにかく素晴らしいんです。ハッキリ言って、彼が今出している音の何倍も良い。出演アーティストの中で文句なしに一番良い音で、もっともロックしているギターがバディのそれでした。彼は長いシールドを使っていて、ステージの下に降りていってソロを弾きまくるんですよね。当時の性能の良くないシールド、しかも長いやつを使って凄い音を出しているんですよ。最近良くいる“ギター歴数年、演っている音楽はビジュアル系、シールドにはこだわってます”みたいな奴等はバディの爪の垢でも煎じて飲みやがれ!・・・すみません、話逸れました。ホント、このバディにはビビりましたね。バディ・ガイさん、おめでとうございます。ベストギタリスト賞です。
LIVEパフォーマンスもそんな感じで素晴らしいんですが、やはりこの映画の売りというか、更に感動的なのは、列車の中で行なわれるセッションでしょうね。バディのバンド(これがメチャメチャファンキーなバンドなんですよ)が中心となって演奏するホーン入りの
“Sunshine Of Your Love”は素晴らしくカッコ良いし、明らかにラリっているリック・ダンコ(笑)がアコースティックギターを弾きながら歌い、ジェリー・ガルシアがソロを弾き、ジャニスがコーラスを被せる
“Ain't No More Cane”なんて、鼻血ブーというか、ヨダレでろーんというか、そんな感じのシーンです。こういう映像を観られるだけでもこの映画の価値はあると思います。膨大な量のフィルムからこの映画を完成させたスタッフはホントに偉いです。ボーナスディスクには、本編未収録の演奏シーンや(最近リリースされたジャニスの
“Pearl Legacy Edition”に収められているLIVE演奏はこの時のものみたいですね)、インタビューなどが多数含まれているので(本編より長い91分)、既に映画館で観た人にもお薦めしたいです。
全ロックファン必見!・・・てこともないけど、一度これ書いてみたかった(笑)。