あけまして3日経ちましたが、まだおめでたい気分です。2004年、世界のロックファンにとって、めでたかったニュースといえば、エディ・ヴァン・ヘイレンが、闘病生活から完全復帰して(病状はかなり深刻だったみたいですね)、サミー・ヘイガーもついでにバンドに復帰して、VAN HA-
LEN が久々にツアーを開始した事が挙げられますが、今日は遅れ馳せながらそれを祝って、
おめでたいアルバムを紹介したいと思います。ジャケットも素晴らしいですが(笑)、内容も素晴らしいですよ。いや、まじで。
VAN HALENのトリビュートアルバムです。以前、あるHPでもチラッと紹介した事があるんですが、覚えてる人はいないでしょうね(笑)。
アルバムジャケットに使われている漫画のフキダシには “A Loose Interpreta-
tion of the Musical Genius of VAN HALEN”とあるんですが、このアルバムに収録されている曲は、まさに
“自由な解釈”がされていて(まあ、始めにネタを用意していたような気もしますが・・・)、よくある、売れなくなったハードロックミュージシャンが小金を稼ぐ為に、
ただ曲をコピーして演っているのとは全然違うんです。
どれぐらい自由な解釈がされているかというのを分かってもらう為に、アルバム収録曲を1曲ずつ紹介したいと思います。
“Eruption” このアルバムは、
パイプオルガンによる“暗闇の爆撃”で始まります。カトリックの教会でLIVEレコーディングってホントなんでしょうか?
“Could This Be Magic?” は、アコースティックギターのストロークと、
元気なおねえちゃんのボーカルをフィーチャーした
軽快なPOPナンバーになっています。原曲も軽い感じだったのでそれほど違和感はないですね。
“Jamie's Crying” は、いきなりコンガと裏返ったようなサックス(?)の音が響く、ちょっとマヌケなアレンジが
脱力を誘いますが、ボーカルは
デイヴ・リー・ロスにちょっと似てるんです(笑)。
“Everybody Wants Some” は、女性ボーカルをフィーチャーした
ラウンジJAZZ風にアレンジされていて、原曲の面影はまったくないです。原曲は殆んど原始的といっていいような曲でしたが、
素晴らしくお洒落にアレンジされています。
“Atomic Punk” も女性ボーカルをフィーチャーしていますが、こちらは
ダークな感じです。“Atomic Bomb”について話し合っている、古い映画のセリフのような会話で始まりますが(曲間にも色々挿入されてます)、最後にはおねえちゃんがおかしくなるというオチがついてます。
“Why Can't This Be Love?”、これはもう完全に
The Beatles、イントロからして、“She Loves You”な感じです。ドラムは左のスピーカーから聴こえてきたり、各楽器の定位や音色もバッチリ似せていて、The Beatlesの色んな曲をモチーフにした見事なアレンジです。最後はしっかり“Yeah Yeah Yeah~♪”で締めてます。え~と・・・、サミー・ヘイガー時代の曲はこれだけですね。
“Beautifl Girls” は
FUNK風味、クラビネットが効いています。VAN HALENにもファンキーな曲はありますが(エディのリズムって、ファンキーですよね)、これは見事にはまってます。
“Take Your Whisky Home” は、まるで
Black Sabbathのような(そういえば、デビュー直後のVAN HALENって、サバスの前座もしていましたね)ヘビーなアレンジ。ボーカルはオジーというより、サバスに影響を受けた最近のバンドのような唸り声で歌ってます。
“Jump” は、女性ボーカルをフィーチャーした、
ソフトなアコースティックサウンドにアレンジされています。この曲、元が非常にPOPな曲ですし、Aztec Cameraのようなネオアコースティックのグループもカバーしていましたが、こういう音作りが見事にはまる曲ですね。
どこに出しても恥ずかしくない仕上がりだと思います(他が恥ずかしい訳ではない)。
“Somebody Get Me A Doctor” は、NYパンクというか、New Waveという呼ばれ方をしていたバンドというか・・・、そんな感じの~・・・、要するにしょぼい音で始まるんですが(笑)、原曲の
ギターソロ導入部をフルートで(笑)演って、そこから突如ハードな音に!・・・でも、またしょぼい音に戻って終わるんですよ(笑)。
“Mean Street” は、歪んだスライドギターの音色で始まる、
非常にブルージーな仕上がりです。全編にフィーチャーされているアコースティックスライドとハーモニカもカッコ良いですね。
“Feel Your Love” は、
60年代のガールズグループ風です(例えばMartha & The Vandellasみたいな、もっとマイナーな感じで、白人ぽいですけど)。この曲も、アレンジがはまってますねえ。
“Panama” は、
アホですな~(笑)。まあ、元々そんな曲ですが。これは
ブラスバンドで演ってます。
ギターソロも完コピですよ。管楽器で(笑)。ボーカルも無理矢理アホさを強調していて面白いです。普通の人が歌うとなると、ここまで無理しなきゃいけない事を 素でできるデイヴ・リー・ロスって、ホントにアホなんだなぁ。
“Little Guitar” は、うって変わって、
弦楽三重奏風です。バイオリン、チェロ、アップライトベースという編成ですが。そこに囁くようなボーカル(男)がのってきます。
“Dance The Night Away” は、
見事なカントリーソングになってます。この曲、明るくてカントリーに持ってこいですもんね。僕がアメリカの田舎のカントリーバンドのメンバーだったら、これ絶対レパートリーに入れますね。ダンスパーティーの人気者間違い無しだ。
“Romeo Delight”、ここでようやく歪んだギターが大々的にフィーチャーされた
ハードロックが出てきます(笑)。
遅すぎる~!VAN HALENって、ハードロックバンドじゃないのか~?VAN HALENの曲の中でも、この曲はかなりメタリックで、ハードな部類に入りますが、それを更に凶暴にした感じです。
“Eruption”、ハードロックを期待してこのアルバムを買った人は(いないか・・・)、さっきまで泣きそうになっていたと思うんですが(笑)、やっとハードロックが始まったと思ったら、
バンジョーによる“暗闇の爆撃”で、このアルバムは終わりです(笑)。原曲ではライトハンドで演っているパートが、バンジョーらしくて良いですねえ。
・・・ざっとこんな感じです。
どうです!聴きたくなってきませんか?僕だったら、絶対聴きたいですね。・・・安く売っていれば。実際、僕はレンタルビデオチェーンの輸入盤特売コーナーで見つけたんですが、見つけた瞬間、心の中でガッツポーズが出ました。実は このアルバムが新譜として売られていた時は、購入を迷って結局買わなかったという経緯があったんです(笑)。でも、聴き終わった時、“こんな素晴らしい内容だったら、もっと早く買えば良かった”と思いました。でも、安く売ってなかったんですよ(笑)。買った頃は、車の中でよく聴いてましたねぇ。
アルバムの構成も良くできていると思うんです。馬鹿なアレンジで笑わせたあとは、もの凄くお洒落なアレンジの曲を持ってきたり。プロデュースした人はサービス精神豊かな人なんでしょうね(笑)。あと、本当にVAN HALENが好きな人に違いないですね。選曲からそれが窺えます。まあ、ひと言でいえば、
企画の勝利といったアルバムですね。
最近、トリビュートアルバムが氾濫していて、中にはKISSのように、自分達でトリビュートアルバムを企画してしまう凄い人達もいたりしますが(笑)、内容が充実しているのは数えるほどしかありませんよね。僕は、一部ではトリビュートフェチとか、企画盤バカみたいにも言われているんですが(実際はそんな事ないです)、自信を持って人に薦められるトリビュート盤って、ホントに少ないんです。このアルバムに参加しているミュージシャンは殆んど無名の人達で、もしかしたら、この企画の為に組まれたバンドみたいなのもいるかも?という感じなんですが、どれも見事にVAN HALENの曲を独自の解釈(という訳でもないか・・・)で演っていて、素晴らしいと思います。VAN HALENのメンバーが、自分達の曲を腕達者だけど売れてないミュージシャンが、ただコピーしたようなアルバムを聴いても、何とも思わないだろうし、ひょっとしたら怒り出すかもしれないけど、このアルバムだったら、
大笑いしてくれると思います。やっぱり
トリビュートはこうじゃないと。安く見つけたら是非聴いてみて下さい。