ヴァン・モリソン、リッキー・リー・ジョーンズ、エルヴィス・コステロ、ルー・リード・・・様々なアーティストとの共演でも知られるベーシスト、
ロブ・ワッサーマンのアルバムです。1994年リリース。・・・このところ、ギタリストのアルバムを紹介する事が非常に多かったので、今日はベーシストのアルバム。もの凄く安易な決め方です(笑)。しかも、僕の持っている彼のアルバムもこれ一枚きりで、冒頭に挙げたアーティストのアルバムに参加しているというのも、ついさっき知ったんですよ(笑)。凄いレビューだなぁ。このアルバムの発売当時、彼の名前は全然知らなかったんですけど、CDショップの店頭でジャケットを手に取って、そこに参加しているアーティストの名前に釣られて買ってみたんです。でも、このアルバムは最初に聴いた時から気に入ってます。“でも”って言い方ないですけど・・・。
皆さんは、どんなタイプのベース/ベーシストがお好きですか?僕は色んなタイプのベーシストが好きです(笑)。何て卑怯な言い方なんでしょう。でも、世の中にはホント色んなタイプの音楽があって、色んなスタイルのベーシストがいますよね。だから、色んな人が好きなんです。・・・しかし、ホントに卑怯な奴ですね。人に聞いておいて 自分の答えがこれなんて。まあ、そういうのを書き出すとキリがないので、こういう答え方をしていると思って下さい。ただ、ひとつ言える事は、ギターや他の楽器と同じで、上手いけれど面白みのない人はあまり好きではありません。勿論、この“面白みのない”と言うのは僕の個人的な感じ方だし、“好きではない”というだけで“嫌い”という訳でもありません。こんな風に名前を挙げるのは失礼かとも思いますが、JAZZ/Fusion方面のジョン・パティトゥッチ、ロックではDream Theaterのジョン・マイアング・・・、こういった人達は(奇しくも2人ともヤマハプレイヤー・笑)上手いのは分かるけど、あまり好きではないんです。まあ、僕が
最初にカッコ良いと思ったベーシストはジーン・シモンズですからねえ・・・(笑)。ジャンルを広げると収拾がつかなくなるんで、ロックに絞ってちょっと挙げてみると、ロン・ウッド(いきなりロン・ウッドって・・・笑)、アンディ・フレイザー、スティングといった人達が好きですね。勿論、ポール・マッカートニーも凄いと思うし、最近(?)ではフリーも凄いと思います。日本人では湯川とーべんや川上シゲ(笑)。あまりにも古い人が出てきてしまったので、おもわず“笑”とつけてしまいましたが、この人達は凄いロックベーシストだと思います。・・・あとで絶対 “あ、あの人も!この人も!”なんて事になると思いますが、とりあえずこんなところで。
・・・で、このロブ・ワッサーマン、基本的に
エレクトリックアップライトベースを弾く人です。・・・てことは、当然、一般的にイメージするロック/POPSのベースとはちょっと違うベースを弾く人なんですが、このアルバムでは色んなジャンルのゲストを迎えて、色んなタイプの曲を見事に弾きこなしています。彼の個性はきっちり加えた上で弾きこなしているという感じですね。個性的でありながらも、非常にバーサタイルなプレイヤーと言う事ができると思います。彼はこのアルバムを発表する前に、
“Solo” “Duet”という2枚のアルバムを出していて、この
“Trio”はその
3部作の最終作という事らしいです(これは以前から知ってました)。タイトルが示す通り、2人のゲストを加えたトリオで色んな曲を演っていて、その組み合わせも素晴らしいんですよ。
オープニングはカーニー&
ブライアン・ウィルソン親子を迎えた
“Fantasy Is Re-
ality”、プロデュースはドン・ウォズです。まあ、このアルバムを買う時は、ブライアンの名前がかなり効いた訳なんですが、そんな僕の期待に答えてくれた素晴らしい曲です。続く
“Put Your Big Toe In The Milk Of Human Kidness”(長いタイトルだなぁ・・・)は、エルヴィス・コステロとマーク・リボーをゲストに迎えたジャジーな曲。これも良いです。マーク・リボーはアコースティックギターを弾いています。 ・・・それで3曲目も素晴らしいんだな、これが。
ブルース・ホーンズビーとブランフォード・マルサリスを迎えた
“White-Wheeled Limousine”というブルース・ホーンズビー作の曲です。ブルース・ホーンズビーのピアノのタッチって良いですよねえ。あと、ブランフォード・マルサリスは、こういう歌ものでのプレイの方が好きなんですよね。スティングのアルバムでのプレイだとか。この曲、ホントに良いです。かなり久々に聴いたんですけど、こんなに良い曲だったかと感動してます(笑)。・・・で、このアルバム、ゲストが参加している以外の曲では、ロブ・ワッサーマンのベースソロ・・・色々ダビングもしてあるのでソロではないか・・・ベースがメインのインスト曲
“Bass Trilogy: Part 1-3”が収録されているんですが、それぞれまったく違うタイプの曲なんですよ。まず出てくるのは、
“Country”というズバリなタイトルの曲です。
5曲目のゲストにも購入意欲をそそられました。
エディ・ブリケルとジェリー・ガルシアです。
“Zillionaire”というゆったりとした曲で、エディがエディらしく歌ってます。この人の歌はホントに自由な感じがして良いですよね。途中テンポアップするところなんて、非常に彼女らしいと思います。う~ん、この曲のベースは素晴らしいですねえ(他のも良いけど)。6曲目
“Dustin' Off The Bass”には数々のブルースの名曲を生み出したソングライターでもあるベーシスト、ウィリー・ディクソンが参加です。 ドラムはアル・ダンカン。こういうのを聴くと、やはりブルースって、つくづくヤクザな音楽だと思いますねえ。これがウィリー・ディクソンの最後のレコーディングとなったそうです。合掌・・・。7曲目
“Easy Answers”が始まると、汚な美しいギターの音が聴こえてきて、一瞬“誰だ?”と思うんですが(なんせ久々に聴いたから・笑)、これはニール・ヤング。Grateful Deadのボブ・ウェアーと一緒に演っていますが、メインボーカルはボブの方です。8曲目はBass Trilogy Part 2
“(I Can't Get No) Satisfaction”です。ストーンズの。ボーカルのメロディもベースで演っています。
9曲目
“Home Is Where You Get Across”には、変な奴が参加してますねえ・・・。レス・クレイプールです(笑)。クリス・ウィットリーの弾くドブロに合わせて2人の凄腕ベーシストが強烈なベースを弾いています。でも、歌はクリス・ウィットリーなので、安心して下さい(笑)。レス・クレイプールに歌わせるとギャグになるから・・・。Bass Trilogy Part 3
“Spike's Bulls”を挟んで、11曲目
“Gypsy One”12曲目
“Gypsy Two”は、マット・ハイモヴィッツとジョーン・ジャンルノーという2人のチェロ奏者が参加。このうちの1人(ジョーン)がKronos Quartetのメンバーだったと今日初めて知りました(笑)。10年目の真実。・・・って、僕が知らなかっただけですが。そしてラストの
“American Popsicle”は、再びエディ&ジェリーがゲスト。ジェリー・ガルシアがMIDIギターを弾いている、トライバルな感じの曲です。エディ、いっちゃってます(笑)。
・・・以上、日付が変わったのを良い事に全曲紹介してしまいましたが、結構面白いアルバムだと思います。あまりベースに興味はない人が聴いたとしても。それぞれのゲストのファンが聴いても満足できるんじゃないでしょうか(最後のエディ・ブリケルはちょっと微妙ですけど・笑)。ロブ・ワッサーマンが素晴らしいベーシストであるというのは、このアルバムがベーシストのソロアルバムでありながらも、ゲストと一緒に素晴らしい曲を創り上げているところに表れていると思います。ロブ・ワッサーマンのベースが聴きたい、上手いベースが聴きたいという人に限らず、普通に良い音楽を聴きたいという人にも安心してお薦めできるアルバムです。 ・・・と言っても、いつも不安に思いながら薦めている訳ではないし、ホントの事言えば、薦めているつもりも大してないんですけど(笑)。