長年に渡って
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの活動を支えてきた
Double Troubleが、数々のゲストを迎え製作したアルバムです。2001年リリース。Double Troubleは元々、ドラマーのクリス・レイトンとベーシストのトミー・シャノンの2人ですが、アルバム
“Soul To Soul”からはキーボーディストのリース・ワイナンスを加えた3人組となりました・・・が、このアルバムでは、リースは数曲のみに参加に留まり、ジャケットにもリズム隊の2人が写っているだけです。こういうのを見ると、“彼は他の2人よりギャラが安かったんじゃないか?”とか、そういう余計な事まで考えてしまいますが(笑)、アルバムにはちゃんと参加しているし、リースとしてもこの扱いが気に食わない訳でもなさそうです。・・・って、ホントに余計なお世話ですね。すんません。
・・・ところで、こういう音楽系のブログをやっている人にお聞きしたいのですが、自分のブログで取り上げるアルバムやアーティストを選ぶのに苦労していませんか?僕は結構苦労するんですよ。・・・まあ、苦労というと少し大げさで、苦労と思うぐらいなら休めば良いんですが、紹介したいアーティストについて何を書いたら良いか分からない時も結構あって、いつまで経っても決まらない時があるんですよね。22時ぐらいまでそういう状態が続くと、かなり焦りだすんですが(笑)。取り上げるアルバムが決まれば、ある事ない事適当にでっちあげて・・・いや、ない事を書いたりしませんけど ・・・まあ、たまにウソも交えますけど・・・書く事ができるんですが、決まらないとホント焦るんですよね。・・・で、今日は
こちらのブログのこの記事のおかげで、“あ、これこれ、このアルバムにしよう”と簡単に決める事ができたんです。ラッキーでした。
・・・という事でDouble Trouble、まあ、正直言って、僕は彼等(クリスとトミー)の事を、強烈な個性を持った強力なリズム隊と思った事はないです。あくまでも主役の引き立て役に徹していて、バンドにスティーヴィー・レイ・ヴォーンのような人がいれば、その音楽は派手に聴こえますが、それはスティーヴィーがバンドを引っ張っている結果だったりするんですよね(スティーヴィーと一緒に演る前のトミー・シャノンは、
ジョニー・ウィンターと活動していましたが、ジョニーも完全にそういうタイプのギタリストですね)。彼等が
Arc Angelsのあとに加入した
Storyvilleは、良い音楽を演っていたと思いますが、個性的な音楽だったかというと、決してそうではなかったと思います(僕は
“Dog Years”というアルバム1枚しか聴いていませんが)。そして、それはやはりプレイヤーに強い個性が無かったからではないかと思うんですよ。・・・ぶっちゃけ、彼等がこのアルバムをリリースできたのも、スティーヴィーのおかげと言う事ができるでしょうねえ。でも、派手なプレイ、個性的なプレイが全部良いかと言うと、決してそうではなくて、彼等のようにバンドの音を優先してスタープレイヤーを引き立てるようなプレイをするリズム隊があっても良いと(当然)思います(叩き方や弾き方を観ても華のない人達なんですよね・笑)。そんな2人の初のリーダーアルバムなので、一聴するとかなり地味ですが、聴けば聴くほど味の出るアルバムだとも思います。それでは曲の解説を・・・。
オープニングは
“Cry Sky”というミドルテンポのナンバーで、歌っているのは Sto-ryvilleのボーカリストであり、エリック・ジョンソンのAlien Love Childのメンバーでもあるマルフォード・ミリガン。この人、Storyvilleで聴いた時よりも、このアルバムやエリック・ジョンソンのアルバムでの歌が良く聴こえるんですが、どうしてでしょう?(笑) 渋めのギターソロを弾いているのは、
ケニー・ウェイン・シェパードです。2曲目
“Turn Towers The Mirror”は“Arc Angels再び”という曲です。Arc Angelsは、Double Troubleの2人とチャーリー・セクストン、
ドイル・ブラムホールIIが結成したグループですが、今ではギターの2人も完全に本格派のミュージシャンとなったので、'92年発表されたアルバムで聴ける音楽よりも、こっちの方が全然良いです。メインボーカルはチャリ坊。続く
“Say One Thing”は、ドイル・ブラムホールII作のファンキーな曲です。彼の記事の中でも書きましたが、以前はこの人、それほど好きではなかったんですよね。アルバム何枚も買ってるくせに。でも、
“Crossroads Guitar Festival”で、動く姿を観たら、あっさり好きになってるんですよ(笑)。我ながら単純です。チャーリーとドイル、長身の2人が並ぶArc Angelsは、かなりカッコ良いバンドだったと思われます・・・ってか、最近もまたやってるみたいですね。
4曲目はLED ZEPPELINのカバーで
“Rock And Roll”。歌っているのは 天才スライドプレイヤー、デレク・トラックス(最高!)の奥方でもあるスーザン・テデスキで、ギターはケニーくん(このアルバムでの彼のプレイからは“らしさ”が感じられなくて、ちょっと残念です)。何で突然この曲が入っているのか、少し不思議に思っていたんですが、今日になってやっと気づきました(笑)。アルバムのタイトルと、この曲の歌詞が一緒なんですね。 “Been A Long Time~♪Been A Long Time~♪” ってとこが。いつもCDを買うと、曲名どころかアルバムタイトルもろくに覚えないので、こんな事になるんですねえ・・・。ホント、毎日勉強させてもらってます・・・。5曲目の
“Skyscraper”は、再びマルフォード・ミリガンがボーカルです。これもミドルテンポの曲で、ギターソロを弾いているのはドイルでしょうか。チャーリー・セクストンは6弦ベースも弾いてます。ホント、この2人は凄く良いミュージシャンになったと思いますね。←偉そう(笑)。6曲目はカッコ良いですよ~。
ジミー・ヴォーンとルー・アン・バートンのデュエットによるジョニー“ギター”ワトソンのカバー、
“In The Middle Of The Night”です。この曲 ホントにカッコ良いんですよ。ジミー兄ちゃんもこの曲の仕上がりには満足したのか、自分のアルバムにも、これを収録してます。・・・このアルバム、意外な事に(まあ、こちらの勝手な思い込みとも言えますが)、ストレートなブルースナンバーは何曲も入っていないんですよね。
7曲目はドイル・ブラムホールの歌う
“She's All Right”・・・“ブルースナンバーは何曲も入っていない”とか書いた途端に続いて出てきやがんの(笑)。ちょっとは予習してから書けよ。>俺 最近妙にドイルのギターが良く思えてきました。人の趣味って変わるもんですね。今度クラプトンが来日したら、観に行きたくなるかもしれないです。ちょっと待てよ・・・、8曲目もブルースじゃないか・・・。ブルースナンバー何曲も入ってないけど、固まって入ってます!
“Groundhog Day”を歌うのは
ジョニー ・ラング、僕はこの人の歌を聴くたびに呆れます・・・。何故、彼のような若者がこんな風にブルースを歌えるのか?まあ、歌えるから歌えるんでしょうね・・・。ここでギターを弾いているのは、ゴーディー・ジョンソンとデニー・フリーマンの2人で、僕はこの人達の音楽をちゃんと聴いた事はないんですが、デニー・フリーマンは、スティーヴィー ・レイ・ヴォーンがFavoriteとして挙げていたギタリストでもあるんですよね。もの凄く地味なおっちゃんなんですけど・・・。9曲目の
“In The Garden”も良いですね。スーザン・テデスキが歌い、エリック・ジョンソンがギターを弾いています。エリックらしいトーンのオブリガートがところどころに入ってきて気持ち良いです。彼のギターはいつ聴いても、お上品な感じがするざます。でも、テキサス男らしい骨っぽさも持っているんですよね。本編ラストはDr. Johnの歌う
“Baby,
No One Like You”、これはストリングスをフューチャーしたバラードで凄く良いです。ガットギターによるソロは、カントリーの大スター、ウィリー・ネルソン。このソロも良いんですよね。例の穴の開いたギターで弾いているんでしょうか?バックボーカルのヨシカ・ヴォーンって誰?ヴォーン兄弟に日系の親戚いたりするの?ストリングスのサラ・ネルソンって?・・・この曲で一応終わりなんですが、最後 シークレットトラックとして、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのLIVE音源が一瞬出てくるんですよ。これがケニー・ウェイン・シェパードだったりすると、とっても面白いんですが(笑)、間違いなくスティーヴィーでしょう。
・・・こんな感じのアルバムで、結構豪華なゲスト陣(テキサス人脈多し)の割に、演っている音楽は決して派手ではありません。でも、派手ではなくても非常に良質の音楽なんですよね。それはやはり、Double Troubleの2人が、曲や一緒にプレイするアーティストを大事にしながら演奏している結果だと思うんですよ。地味な2人ではありますが(去年出たスティーヴィーのDVDを観たら、クリス・レイトンが結構喋る人で驚いたけど)、素晴らしい仲間を沢山持った音楽が大好きな人達だと思います。