親日派ベーシスト、
T.M.スティーヴンスのプロデュースとアレンジによる
Deep Purpleのトリビュートアルバムです。リリースは1995年。
スティーヴィー・サラスの記事に対する反応が思いの外良かったので、急遽このアルバムを取り上げる事にしました。・・・いや、うそうそ(笑)。
Dan Reed Networkから始まったファンクロック攻めをこのアルバムでひとまず終わらせようと昨日から思っていたんです。・・・そーなんですよ、このアルバム、Deep Purpleのトリビュートアルバムであるにも拘わらず、
メチャメチャファンキーなんですよ。まあ、T.M.スティーヴンスが関わっている時点で、予想がつくと思いますが。
アルバムの紹介を始める前に、まずハッキリさせておきたい事があります。・・・え~ 僕は
Deep Purpleというバンドに対する思い入れは殆んどありません(笑)。第4期パープルのメンバーだったトミー・ボーリンには強い思い入れがあるし、リッチー、ロニー、コージー時代のRainbowを観に行った事なんかもありますが、多くの人がDeep Purpleと聞いてイメージする、“リッチー・ブラックモアがギターを弾いて、ボーカルがシャウトするパープル”、これに入れ込んだ事は殆んどありません。・・・スティーヴ・モーズは好きなので、この時代のパープルは観た事あるんですけどね。
“70年代ロック育ちのくせにけしからん!”と言われそうな気もしますが、どうも入れ込めないバンドだったんですよね。どうしてなんでしょうねぇ~?・・・なんつって(笑)。いや、ぶっちゃけ、パープルって何かダサいと思っていたんですよ。勿論、偉大なバンドで、メンバーもそれぞれ偉大なプレイヤーだというのは分かっているんですが、
何だかとってもベタじゃないですか。若いうちからルックスは非常におっさんくさかったし、クラシックに傾倒するメンバーがいる割に、歌詞は“俺のクルマにゃ誰も追いつけない”とか、“東京から来た女~”とかそんなのばっかりで(笑)。リッチーのパフォーマンスがカッコ良い時代もあったけど、あの人、最初ES-335持ってたんですよ?(笑) しかもビグスビーの付いた。いや、あのギターだってカッコ良いんですけど(ホントにそう思っているので、335並びにセミアコ持ってる人、怒らないで下さい・・・涙)、ハードロックバンドの人には持って欲しくないと思うじゃないですか。子供心に。まあ、僕は
KISSからロックを聴きだしたような奴なんで(こっちも歌詞の事とやかく言える立場じゃないな)、そんなミーハーが何か言っても気にしないで下さい。 ・・・でも、彼等の曲にカッコ良いものが沢山あるというのは、勿論知っています。そうでもなければ、こんなアルバム買ったりしませんよ。パープルトリビュート、もう1枚持ってるちゅうねん。・・・フォローになっているだろうか?(汗)
・・・で、このトリビュートアルバム
“Black Night”、本家Deep Purpleよりカッコ良い仕上がりの曲が数多く入ってます(って、またこんな事を・・・笑)。収録されている曲は、すべて
リッチー・ブラックモア在籍時のものです。トミー・ボーリン時代の曲は元々ファンキーで、こういったアレンジには向きませんからね。・・・と言うか、アレンジする必要もないですから、T.M.としても腕の見せどころがないって感じだったんでしょう(笑)。タイトルにもあるように、このアルバムに参加しているミュージシャンの多くは、NYをベースに活動する人達です。それでは曲の解説始めます。
1発目はこのアルバムのタイトルにもなっている
“Black Night”、この曲でT.M.とリズム隊を組むのは、
Living Colourのウィル・カルホーン、僕はもうこの人のタイコ大好きです。T.M.とは仲が良くて一緒に来日した時もありますよね。僕は観に行けませんでしたけど・・・。ギターはアル・ピトレリとヴィニー・ムーア、アル・ピトレリはハードロックギター職人って感じですね。取り立てて個性があるとは感じませんけど、本当に上手い人だと思います。ヴィニー・ムーアは顔が好きじゃないな(笑)。そしてボーカルはジョー・リン・ターナー・・・、なんだかなぁ・・・。“貴方、仮にもパープルのメンバーだった人じゃないですか。いくら友達に頼まれたからって、簡単にこういうのに参加するのやめなさいよ”と、ひと言言ってやりたい気もしますが、気持ち良さそうに歌っているんで、まあ勘弁してあげましょう。この曲はそんなにファンキーじゃないですね。原曲よりヘビー且つブルージーに演っている感じです。
2曲目は
“Strange Kind Woman”、バックは1曲目からヴィニー・ムーアを抜いたメンバーです。歌っているのは
リッチー・コッツェン、歌のみの参加。すんげー上手いです。これはファンキーですよ~。続く
“Fireball”も、素晴らしくファンキーです。個人的なベストトラックはこれですかね。リッチー君、今度はファンキーなカッティングで参加、リードギターはスティーヴィー・サラス。・・・スティーヴィーとT.M.は、やはり相性も良くて、仲も良いみたいなんですけど、一時ケンカしてた時期があったみたいですね。スティーヴィーがインタビューで“あいつは自分が目立つ事しか考えてない” とか言ってた事がありました。でも、またあとから“T.M.と俺はソウルメイトだ”とか言ってたりするんですから、ミュージシャンってホント感情的な生き物だと思いますね(笑)。この曲を歌っているのは、Living Colourのコリー・グローヴァー、最高です。 ・・・すみません、正直言うと、これが出た時、この頃は一時的に解散状態にあったLiving Colourのメンバーが参加しているというのも強烈に効いて、アルバム買ったんです。パープルの曲より、Living Colourのメンバーの演奏が聴きたかった。あとリッチー君のボーカルと。・・・まあ、これは
パープルより全然カッコ良いです(笑)。バーニー・ウォーレルもキーボードで参加。
4曲目、出た!
“Smoke On The Water”、やっぱりこの曲演らないと駄目なんでしょうか?(笑) まあ、リッチー君の歌がかなりファンキーでカッコ良いんですが。そしてタイコを叩いているのはレニー・クラヴィッツのバンドにもいたシンディ・ブラックマン、この女性ドラマーカッコ良いですよね~。音もルックスも。最近どうしてるんですかね?レニーのバンドにまだいますか?・・・あ、リーダーアルバム何枚も出してるんですね。今度聴いて見よう。憶えていたら・・・。そして次の曲が結構面白いんですよね。
“Child In Time”です。最初の部分は原曲とそんなに変わらないんですが(ここで歌っているのはTNTのトニー・ハーネル)、途中から雰囲気がガラリと変わります。T.M.の
“Jah,
Rastafy!”という掛け声と共にレゲエにチェンジです(笑)。レゲエパートではT.M.も歌ってます。レゲエのアレンジが凄くはまってるんですよ。イアン・ギランに聞かせてみたいですね。あの人なら結構気に入ると思うんですけどね。リッチーは怒りそうだけど。リッチー君の抑えた感じで入るソロ(後半は弾きまくり)や、バーニー・ウォーレルのオルガンも良いっすね。6曲目は
“Woman From Tokyo”、原曲とそんなに雰囲気は変わりませんが、ワウギターがチャカポコ言って、T.M.のベースがベチベチ言ってます。ボーカルは今まで挙げた4人が代わる代わる取っていて、お祭りといった感じですね。
7曲目は
“Space Truckin'”、T.M.とトニー・ハーネルのツインボーカルが良い感じです。T.M.はベースソロも弾きまくって楽しんでますね~。この人の演奏はホント楽しそうで良いです。アホ丸出しって言うか(笑)。リッチーのギターソロもナチュラルで良いですよ。最近、Exciteでブログを始めた(これには驚いた・笑)ポール・ギルベルトと彼は、この辺が違いますよね。ポールは凄いキッチリしてる。次は
“Storm-
bringer”、
“Speed King”と続くんですが、この2曲ではジョー・リン・ターナーがボーカルを取っている事もあってか、原曲とそれほど雰囲気変わりませんね。どうせなら、まったく別の曲みたいに歌って欲しかったです。そして本編最後は
“Burn”のファンクバージョン、コリー・グローヴァーが歌っていて、それもカッコ良いんですが、この曲の聴きどころは、ラーズ・Y・ラウドアンプという謎のギタリストによるソロでしょう。・・・いや、これイングヴェイ・マルムスティーンですけど(笑)。イングヴェイ、当然のように弾きまくってますね。“これでもか!”ってぐらい。彼はリッチーが抜けたあとのパープルにジョー・サトリアーニがヘルプで加入した時、“何で俺じゃないんだ!” と怒っていたらしいですけど、
“あんた入れたら、全編これ演るからだよ”と言ってやりたいです。それぐらい弾きまくってます。・・・まあ、やっぱり上手いわな(笑)。 “T.M.からテープが送られてきたからギター入れて返した”って話みたいですけど。そして最後は
“Deep Purple NY”という曲で終わりますが、これは勿論パープルの曲ではないし、曲らしい曲でもありません。
こんな感じのアルバムで、聴きながら一気に書いてみましたが、何だかんだ言っても、パープルの曲はカッコ良いですね(笑)。元々演奏が上手い人達が作り上げた曲なので、こういう風に上手いミュージシャンが素材にするにはピッタリなんでしょう。このアルバム面白いと思いますよ。“パープルって何かダサい”と思っている罰当たりな人(あ、俺か・笑)が聴いても、楽しめると思います。バリバリのパープルファン、特にリッチー信者が聴いてどう思うかは、ちょっと分かんないですけど(笑)。リッチーって、グレン・ヒューズが持ち込んだファンキーな音や、R&Bっぽいフィーリングが嫌いだったんでしょう?“靴磨きの音楽”とか言って。やっぱ、リッチーダサい(笑)。