L.A.を代表するセッションギタリスト、
マイケル・ランドウ率いる
The Raging Honkiesのアルバムです。昨日はジミ・ヘンドリックス・トリビュートの
“Power of Soul” を紹介しましたが、ジミの大ファンであるランドウは、自分もこのアルバムに参加したかったに違いありません・・・。でも、結果として、
エリック・ゲイルズのプロデュースのみでの参加・・・。さぞ無念だろうと思ったので、心優しい僕は、せめてそのアルバムのあとに彼のアルバムを紹介してあげる事にしました。・・・それで、“アルバムはどれを紹介したもんかなぁ・・・”と、少し悩んだんですが、何となくこのアルバムに・・・。悩んだ割に、何となくこれ(笑)。
マイケル・ランドウ、良く知らないけど、名前だけは聞いた事があるという人も多いと思います。そういう人の為にちょっと説明すると、80年代初頭からL.A.を拠点に様々なアーティストのアルバムに参加している凄腕のギタリストです。マイケル・ジャクソン、
ロッド・スチュワート、マイケル・ボルトン、ジェイムス・テイラー、マライア・キャリー、ジョニ・ミッチェル、そして矢沢永吉に浜田麻里・・・と、世界的ビッグネームから日本でビッグな人、更には全然ビッグではない人まで、ホント色んな人のアルバムでギターを弾いています。皆さんも、
どこかで彼のギターを耳にしているはずだと思います。この人が参加している事は知らずに、彼のギターの入ったCDを持っているかもしれない。機会があれば、何かのアルバムのクレジットを調べてみて下さい。 “何か”ってメチャメチャ抽象的ですが(笑)、アメリカ人ソロアーティストのアルバムなんて狙い目だと思います。L.A.のセッションギタリストと聞いて、まず思い浮かべるのはラリー・カールトン(は、現在ナッシュビル在住)や、TOTOのメンバーでもあるスティーヴ・ルカサーといった人達だと思いますが、このマイケル・ランドウもその一派というか、スティーヴ・ルカサーとは、子供の頃からの友人だったりするんですね(ルカサーの方がひとつ年上)。ルカサーがTOTOで忙しくなった為、彼がそれまでこなしていたセッションの仕事がランドウに回ってきたという話らしいですが。
僕が彼のギターを初めて聴いたのは、彼がL.A.周辺のミュージシャンと結成したバンド、
Maxusのアルバムが最初でした。このMaxusというバンドは、TOTOの成功を受けて、彼等と同じくセッションミュージシャンで組まれた、言ってみれば2匹目のドジョウを狙ったバンドだったんですが、TOTOのような成功を収める事はできなかったんです。世間はそんなに甘くないって事ですよ(笑)。・・・で、僕がこのバンドを気に入っていたかというと、これがもう全然なんですよね。今、手元にアルバム(LP)を持ってきたんですが、曲名見ても何も思い出せないんですよ・・・。これは別に僕がボケてきたとかそういう話ではなくて、このアルバムを殆んど聴いていなかったからなんです。というのも、この頃のランドウの音は全然僕の好みではなかったんです。いかにもその当時のスタジオミュージシャンっぽい音・・・、
コンプが強めにかかった当り障りのない音とでも言うんでしょうかねぇ・・・、殆んど聴いていないんでちょっと自信ありませんが(笑)、とにかく僕の好きな音ではなかったんです。この頃だったら、ルカサーの方が断然好きでしたね。Maxusは全然聴いていませんでしたが、その後、彼のギターを誰かのアルバムで聴く事も多く、やはり気になるギタリストではあったので、'90年に彼が初のソロアルバム
“Tales From The Bulge”を発表した時もすぐ買ってしまいました。そんなに好きでもないくせに、こういうアルバムが出ると気になってしまう自分が悲しいです。・・・でも、このアルバムもあまり面白くなかったんだな(笑)。すべてインスト曲のこのアルバムは、ルカサーやウェイン・ショーターなど、ゲストも豪華だったりするんですが、曲がどうも面白くなかったんです。ランドウのギターも、いかにもギャラの高いセッションギタリストといった感じの“高級そうな音”ではあったんですが、これまたそんなに好みの音ではなかったですねえ。まあ、Maxusの時よりは好印象を持ちましたが。・・・僕の場合、ギターの音色が気に入らないと、どんなに上手くてもそのギタリストの事を好きになれないんですよ。
ランドウのギター気に入らない段階で、一旦送信・・・。もう少し早く書き始めろ。>俺
そんなに好きじゃない音であっても、良い音なのは分かる、メチャメチャ上手いのも分かるという事で、今度は彼のバンドのアルバムが出たので、またまた聴いてみたんです。
Burning Water というそのバンドは、彼とドラマーのカルロス・ヴェガ、マイケルの弟テッドがベースで、そこにボーカルのデヴィッド・フレイジーという4人組でした。1stアルバム
“Burning Water”を聴いてみると、今度はボーカルがそれほど好きではなかったんですが(笑)、ランドウのギターにはビックリしましたねえ。僕がそれまで彼の音に持っていたイメージは、いかにもL.A.のセッションギタリストらしい、空間系のエフェクターがいっぱいかかった音、巨大なラックを連想してしまうような音でしたが、そこで聴ける彼の音は、
非常に生々しいストラトの音だったんです(まあ、多少はエフェクティブだったりしますけどね)。“おぉ~、
この人はこんなギターも弾けるのか~!”と思うと同時に、ルカサーがランドウの事を“ジミ・ヘンドリックスの影響を受けた凄いギタリスト”と評していたのを、初めて実感できました。
“Think Just Like A Man”という曲では、
スティーヴィー・レイ・ヴォーンを思い起こしたり。2ndアルバムでは
“Burning Of The Midnight Lamp”、LIVEミニアルバムでは
“The Wind Cries Mary”と、ジミのカバーも演っていますが、これはもう見事と言うしかないですね。彼のジミに対する思いが伝わってくるような演奏です。Burning Waterというバンドはそれほど好きにはなれなかったけど(やっぱりボーカルがイマイチで・・・)、このバンドによって、僕のランドウに対するイメージはまったく変わったんです。ルカサーとは立場が完全に逆転(笑)。
Burning Waterはミニアルバムを含めると、計4枚のアルバムを発表しましたが、ボーカルの脱退を受け解散・・・と言っても、売れっ子のセッションミュージシャンでもあるバンドのメンバーがいつでも揃う訳はなく、開店休業状態が続いていたらしいですが、その間に知り合った
エイブ・ラボリエルJr.とランドウ兄弟のジャムセッションから発展して結成されたトリオが、この
The Raging Honkiesです。
やっと本題にたどり着いた。花粉症で頭ボーっとしてるから、とろいの何のって・・・。
ドラマーのエイブ・ラボリエルJr.は、名前が示す通り、ベーシスト、エイブ・ラボリエルの息子で、若手ナンバーワンといって良い売れっ子ドラマーです。最近ではポール・マッカートニーのツアーバンドのメンバーでもあり、
k.d.ラングや
B.B.キングを始めとして、色んな人のアルバムで彼の名前を確認する事ができます。・・・で、このバンドはどんな音楽を演っているのかというと、これがもう完全にハードロック、
この音を聴いて彼等がセッションミュージシャンであると想像する人はいないと思います。オープニングからもの凄くハードなリフが炸裂するんですよ。Burning Waterではブルース色の強いギターを弾いていたランドウですが、ここでは完全にロックギタリストです。これはやはり、エイブ・ラボリエルJr.のパワフルなドラムに触発されてこんな風になったんじゃないかと思いますね。ボーカルもランドウが取っていますが、これも中々良いんですよ。個人的には、Burning Waterのボーカリストより良いと思いますね(笑)。まあ、とにかくハードです。その辺のただ音が歪んでるヘビーメタルバンドより、ずっとハードだと思います。ハードな音とクリーンの使い分けも素晴らしいし。
ううぅ・・・、この文章終わりが見えない・・・。こんなにも長くなって、僕がランドウに凄い思い入れ持ってるように見えるかもしれないけど、実はそうでもないし。ていうか、目が痒いし・・・(泣)。明日は・・・って、もう今日か、日曜だから休憩しながら、ゆっくり書こう。・・・あ、そうだ、ボヤキ、ボヤキ(笑)。最近ボヤキ癖がついてきて、ちょっとまずいと思ってるんですが、ランドウとなると、ちょっと言いたい事があるんですよ。
ランドウというと、やはりセッションギタリストとして絶大な支持を受けている訳ですけど、それは彼自身も言っているように、彼の音色を求めてセッションに呼ばれる場合が多いと思うんです。彼はそれだけ
良い音、
高級そうな音を出している訳ですが。それで日本には彼のような音色を出したいが為に、彼の機材と同じ物を揃えようとする人も少なくはないんですよね。
お金持ちギタリストのアイドルがランドウだと言っても良いと思います(ライバルはスコヘン)。日本の楽器屋も悪いと思うんですが、 “ランドウの音が出したければやっぱりこれ”だとか、中には“ランドウ放出品”とか “ランドウが先日のLIVEで使ったアンプ”みたいな謳い文句で高い値段つけてたりするんですよね。どことは言いませんけど。・・・って、分かる人には分かると思いますが(笑)。まあ、買う人がいるから売るんだし、お金があるなら買うのは自由ですが ・・・ってか、正直言えば羨ましいですが(笑)、そんな高い機材使いこなす腕があるなら、何もランドウの真似しなくたって良いと思うんですけどねえ。“ランドウ放出品” を喜んで買っている人には悪いんですけど、
それ本人がいらないって言ったやつですよ?良い音がするんなら手放したりしませんよ。まあ、本人が喜んでいるならそれはそれで良いし、ここでそんな事書いてもその人が読んだりはしないでしょうけど、何かひとこと言ってやりたいんですよね(笑)。日本人って、向こうのメーカーとかに絶対なめられてると思うから。一部の日本の楽器屋も客なめてるな。
ランドウ本人は、レンタルしたアンプやフェンダージャパンのギターでも素晴らしい音を出すのに、彼の熱心なファンが同じ機材じゃないと良い音が出ないと思っているって、おかしいですよ。そういう人達って、ランドウのプレイや音色じゃなくて、ランドウの機材が好きだったりするんでしょうか?・・・仮にその人が同じ機材で同じ音出せてたとしても、ランドウの名前が書いてあるアルバムをいちいち探しているような音楽の聴き方では、このThe Raging Honkiesで彼が弾いているようなギターは絶対弾けないと思います。このアルバムを聴けばランドウは凄くロックが好きな人だというのが分かるし、こういうところが日本のセッションギタリストとランドウやルカサーといった向こうのギタリストの違いだと思います。
ルカサーなんて絶対バカ だもん(笑)。やたらとギターが上手いバカ。まあ、彼等のようなギター弾きたいなら、機材を真似したり、彼等の参加してるアルバムだけ追い続けるより、もっと色んなコンサート観に行ったり、バイクでゴミ缶に突っ込んだりした方が良いと思いますね(←これ子供の頃のルカサー・笑)。
・・・ついにまったくまとまりのない文章になってしまいました(泣)。妄想から始まり、最後は大ボヤキ大会で終わるという前代未聞のアルバムレビュー(笑)。・・・まあ、色々言いましたけど、ランドウのような音出したい、機材真似したいって気持ちも分からないでもないんですよね・・・。実は僕もランドウと同じ機材買いましたから・・・。
Arionのコーラス、3,700円(税抜き)。せいぜいこれぐらいにして、余ったお金は困っている僕に下さい。