1993年にリリースされた、
ジュリー・クルーズの2ndアルバムです。ジュリー・クルーズと聞いて、懐かしく思う人もいるかもしれないし、全然ピンとこない人もいると思うんですが(今はこういう人の方が多いですかね?)、TVシリーズ
“Twin Peaks”で、歌を歌っていた人です。 “何で今頃Twin Peaks?”と思われる方もいると思いますが、人の記憶というのは、どこでどう繋がるのか分からないものなのです(笑)。
今日、ビデオでケヴィン・スペイシー制作の
“The United States Of Leland”
(16歳の合衆国)という映画を観ていたんです。ちょっと救いの無い話ではあるんですが、中々面白い映画でした。そこで使われていた音楽が、一瞬ではあるんですけど、ジュリー・クルーズを連想させたんですよ。曲調は全然違っていた筈なので、音響効果という面でそう感じたんだと思いますが。一瞬そう感じて、今日のブログではジュリー・クルーズ取り上げようかなと思っていたら、その映画に
シェリリン・フェンが出てきましてね。僕はこのシェリリン・フェンという女優が“Twin Peaks 4人娘”
(そんな言葉があったのかは知りませんが)の中で一番好きだったんです。メッチェン・エイミックもきれいでしたけどね~。・・・とか言っておきながら、ちょっと歳をとっていたので、すぐに誰かは分からなかったんですが(笑)。・・・で、ジュリー・クルーズの事を思い出した傍から、シェリリン・フェンが出てきたというのは、
何かのお告げに違いない・・・なんて思って(笑)、このアルバムを取り上げる事にしたのです。
“そんな話は良いから、早く音楽の話しろよ~”と、思われた方、すみません。今から音楽の話します・・・。
映画は総合芸術であるとよく言われますが、ホント、良い映画には良い音楽がつきものですよね。勿論、音楽が目立つ事はなくても素晴らしい映画というのもありますが、僕としてはやはり映画の中で使われる音楽は良いものであって欲しいし、僕が好きな映画監督には、音楽の使い方が素晴らしい人が多いです。そういう人達は、脚本や撮影スタッフにも時間とお金をかけますが、それらが音楽によって更に素晴らしくなるというのを熟知しているんですよね。そして、そういう人達の中には、ある特定のコンポーザーとの強い関係を築いている人も少なくありません。例を挙げると、デヴィッド・クローネンバーグとハワード・ショア、ピーター・グリーナウェイとマイケル・ナイマン・・・、ヴィム・ヴェンダースはライ・クーダーやU2といったミュージシャンとの関係が強いですし、クウェンティン・タランティーノやマイケル・ウィンターボトムといった人達は、特定のミュージシャンと関係を築くような事は少ないとは言え、音楽の使い方が非常に上手いロックエイジの監督だと思います。・・・何か好きな映画監督の名前を列挙しただけみたいになってますが(笑)。そして、“Twin Peaks”で有名な(笑)
デヴィッド・リンチは、アンジェロ・バダラメンティとの関係が非常に強い訳です。
勿論、他の監督の映画で、彼の名前を見かける事もありますが(ジャン・ピエール・ジュネの新作もそうなんですね)、アンジェロ・バダラメンティと言えば、やはりデヴィッド・リンチ・・・。彼等の映像と音楽は密接に関係していて、アンジェロ・バダラメンティの音楽抜きでは、デヴィッド・リンチの映画はどこか物足りないものになるだろうし、アンジェロ・バダラメンティの音楽も、デヴィッド・リンチが描く映像世界の中で聴くと、よりいっそう素晴らしいものになると思うんです。デヴィッド・リンチを始めとして、“彼が一緒に仕事をする監督の作品には明るい感じのものが少ないから”というのもあると思うんですが、僕は彼の音楽に
少しダークな感じと、
浮遊感みたいなものを感じています。まあ、“ダーク”と言っても、おどろおどろしい感じや、憂鬱になるような暗さではないですけどね。“浮遊感”というのは・・・ジュリー・クルーズの1stアルバムのタイトルが
“Floating Into The Night”であったりもするんですが・・・これはどうも、彼の音楽のテーマなんじゃないかという気もするんですよね。個人的には。僕なんかは、その浮遊感が気持ち良い訳なんですけど。
この
“The Voice Of Love”というアルバムは、1作目の“Floating Into The Night”同様、全曲デヴィッド・リンチ作詞、アンジェロ・バダラメンティ作曲で、プロデュースもこの2人がやってます。要は、
この2人のプロジェクトみたいな面もあって、ジュリー・クルーズの歌も、楽器のような使われ方をされている感じがありますね。ただ、“楽器のような”と言っても、彼女の声は非常に特徴的で、(ある海外サイトでは
“Airy Voice”と紹介されていました)、聴いていて非常に気持ちの良いものなんです。癒される声と言っても良いですね。・・・最近、この言葉がやたらと使われていて、中には、あまり上手くないボーカルや、それほど可愛くない人を褒める(ように見せかける)時にも使われているような場合もありますが(笑)。でも、“癒されるなぁ ・・・”とか思っていると、妙なテンションの曲が始まったりするんですよね(笑)。基本的には、2枚とも同じ音楽だと思いますが(やはり映画音楽のような感じもします)、1stアルバムはあまりに“Twin Peaks”色が強くて、裏サントラ盤みたいな感じも多々あるので、今回はこの2ndアルバムを選んでみました。・・・それに、こっちのジャケットの方が気持ち悪いんですよ(笑)。この地面から生えている人の顔のようなオブジェ、デヴィッド・リンチの手によるものなんですが、蟻がたかってるんです・・・。
“Blue Velvet”の耳を彷彿させますよね。
映画の話も出てきたから、この記事は“Movieコーナー”に入れておこうっと・・・。